ティモンディ前田裕太の“おとな”入門

「お金はあくまで“引換券”」ティモンディ前田裕太が、気持ち良くお金を使えないと悩む人に伝えたいこと

ティモンディ前田裕太

担当編集者からのひとこと 私も、基本的にはできるだけお金を使いたくないタイプで、「ケチ」に大別されると思います。調味料ひとつ買うのにも、ついついグラム単価を計算してしまいます。 小さい頃から、「食べ放題」は「好きなだけ食…

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「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!
その内容は、「お悩み相談」です。これまで約1年半のコラム連載を通して、食・あそび・勉強・旅…と、様々なテーマで「(理想の)大人とは?」について考え、目指してきた (そしてこれからも目指していく)前田さん。その経験を生かした視点で、皆さんから寄せられたお悩み相談に答えていきますよ◎
第10回の今回は、ちょっとした出費も躊躇してしまう…お金にまつわるお悩みです。

[今回のお悩み]

「数百円の出費でも、もったいなく思ってしまう…ほしいものも躊躇してしまう私は、つまらない人生を送っているのでしょうか?」

私は何かを始めたい時、または気になった物があった時に真っ先にどれくらい金額がかかるのかを計算して、少しでも高いと思ってしまうと出費するのを躊躇してしまう事がよくあります。

例えば、気になる腕時計を見つけても別にスマホで時間が見れるからと買うのを諦めてしまったり、綺麗に飾り付けられた美味しそうなケーキを見て食べてみたいなと思っても、1ピース500円以上するのを見ると勿体無いと思ってしまって結局スーパーで安売りしているケーキを代わりに買ってしまいます。

特に今は色んな物が値上げされていたり将来の不安から少しでも貯蓄をすることが多くなり、ちょっと贅沢して高い買い物をした時に心のどこかで後悔しているところがあって、その時に自分はつまらない人生を送っているんじゃないかと思う事があります。

前田さんは本や趣味などで多く出費をしていると思いますが、少しでも後悔することなく気持ちよくお金を使えるようにするにはどうすればいいと思いますか?

(愛知県・30代・女性・パート)

お金は豊かな生活を手に入れるための「引換券」

何故、人間は働くのでしょうか。

蟻や蜂、ハダカデバネズミなどは、人間と同じように役割を分担して働くのだけれど、その目的はその種の存続にある。

けれど、人間は違う。

私達が人間という種を存続させるために働いているという意識を持ったことはないでしょう。人間の数は増えすぎだし。80億人を超えたんだって。そりゃ放っておいても種は存続されるわな。

我々の多くが働く理由は、金銭を稼ぐためだと思う。種のためというより、個が生きるために労働をしているだろう。

でも私は思うんです。

お金のために働くって、少し本質からズレてしまっている考え方だと思うんですよ。

だって、本来人間って物々交換で生活していたはずなんです。畑からナスが収穫できれば、その分を誰かと別の物で交換してもらっていた訳で。

より多くの物を交換してもらうために、沢山ナスを作っていたんです。

要は、欲しいものを手に入れて、生活をより豊かにするために人間は働いていたんですよ。

その物々交換を円滑にできるように貨幣っていうものが生まれたんです。だから、金銭ってものは、あくまでも欲しい物を手に入れるための引換券なんですよね。

塵も積もれば山になるから、数百円でも我慢することには意味があると思います。その我慢し続けた分で、より幸せになれる物と交換するのであれば最高ですからね。

けれど、単にお金という概念に振り回されて節制をするのであれば、勿体ないことこの上ない。

我慢して我慢して、引換券だけ集めて、目の前の幸せを逃してしまうのは、働く目的がお金を稼ぐという点に偏ってしまったからでしょう。

どうせお金を使うのであれば、自分の生活が豊かになるものに使うべき。それがちょっと値の張るケーキなら、それを食べるために仕事をより頑張ればいいんですよ。

今の時代、副業だってできる会社も増えてきたし、もし難しかったら堅実な投資だって多くある訳で。

もちろん家族ができれば、それだけ必要になるお金は多くなるけれど、でも、それで働く本質が変わる訳ではない。

貯金があるという事実が、将来への不安を消してくれるのであれば、それはそれで働く目的にもなりえるけれど。あくまでもお金は、自分の生活を豊かにするために稼ぐもので、そのために働くんです。

貯金額がイコール幸せになる訳ではない。どうせ人間100年ちょっとしか生きないんですから。

お金は自分の好きなもののために使うのがいいのではないでしょうか。

この世の全てのものは“期間限定”

働いて稼げる額に限界があるのであれば、やりくりの方法を検討してみるのもいいでしょう。

私が家賃5万円で収入がバイト代の8万だけだった時は、やりくりでなんとか幸せを享受していた。

本が好きだから、区の図書館を利用したり、無料で本を読める場所を探して、いくらでも読める環境を探し出して出費を少なくしたりもした。

お金に余裕がある時に、感謝の気持ちを込めて買ったりもしましたが。

そのやりくりして貯めたお金で、たまに贅沢で美味しいものを食べたり、好きなアーティストのライブに行ったりもしていた。

お金は引換券ですから。その使い道が人間性を表すと思うんです。

私は、好きな物のために、好きな人のために、生活を豊かにしてくれてありがとう、と感謝を示すために、貨幣を支払っています。

引き換えてもらえなかった物は、世の中に必要がない、と判断されて世の中から失われていってしまいますからね。お金を払い渋って、好きな物や人たちが少なくなっていってしまうのは悲しいですし。

ちょっと話は変わりますが、期間限定、って言葉に弱い人がいるでしょう。今しか買えないんだったら、買ってみようかしら、という動機で買うらしいですけど。

けど、私から言わせてみれば、世の中の物なんて全て期間限定なんですよ。諸行無常、ずっと存在し続けるものなんて在り得ないですからね。

だから、相談者さんの食べたかった500円のケーキだって、お店が潰れて二度と食べられなくなるかもしれないんですよ。

そう思えば、ちょっと頑張って働いて、その幸せを享受しようと思うでしょう。

まあ世の中そんな単純じゃない部分も沢山ありますが、お金という響きに惑わされてお金を払うという行為を躊躇して、世の中に沢山ある幸せを逃して欲しくないですね。

もちろん、お金を使わなくても得られる幸せも山ほどありますが。

人生を豊かにするために、日本銀行が発行してくれる物の引換券を有効に使って、幸せな人生を歩んでもらいたいです。

担当編集者からのひとこと

私も、基本的にはできるだけお金を使いたくないタイプで、「ケチ」に大別されると思います。調味料ひとつ買うのにも、ついついグラム単価を計算してしまいます。

小さい頃から、「食べ放題」は「好きなだけ食べていい場所」ではなく「元を取るためにたくさん食べないといけない場所」だと教育されてきたので、なかなかそのケチ体質は変わりません。

そんな私にも、「ほしいと思ったら躊躇せずお金を使えるもの」があります。それは「本」です。ちょっとした待ち時間は書店をフラフラするのが好きで、好きな作家の新作をチェックするのはもちろん、棚に並んでいる本の背をバーッと眺め、ジャケ買いならぬ「タイトル買い」をするのも楽しみのひとつです。

でも、そこそこの頻度で本を買っているので、家にはまだ読んでいない本が溢れています。客観的に見れば、調味料を1g単位でケチるくらいなら、読み切れない量の本を買うなよ、という話です。でも、「面白そうな本が買えた」ということ自体に大満足しているので、実際に読んでいなくてもとても幸せなのです。

本を買った時点で、前田さんの回答でいうところの「引換券を使って幸せを手に入れる」ことは達成しているので、読んでみたらイマイチだったとしても、「もったいなかったな」とは思いません。

相談者様も、「何かを買う」もしくは「買わない」という行為は、単に「手持ちの財産が減る・減らない」ということではなく、「幸せになるための引換券をいつ使うか、どう使うか」の判断である、と考えられるようになると、より納得感を持ってお金を使ったり、使わなかったりできるようになるのではないでしょうか。

前田さんへの相談大募集!

お悩み相談は、下記「おとなの週末Webお問い合わせフォーム」からお送りください。真剣な相談、ちょっとしたお悩み、前田さん聞いてみたいこと、などなど…。皆さんからのご応募、お待ちしております!

ご応募はこちらから!https://otonano-shumatsu.com/contact

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前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。

ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。

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