逆転合格!中学受験

本番でその生徒はなぜ失敗したのか 入試直前に避けるべきこと、優先すべきことを徹底解説

本番で本来の力を出せるか…

短期連載「逆転合格!中学受験」の第11回は、入試直前のこの時期に、心掛けることを解説します。多くの受験生を個別指導してきた三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治氏が、これまでの経験から、受験生と保護者の方に助言を送ります…

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短期連載「逆転合格!中学受験」の第11回は、入試直前のこの時期に、心掛けることを解説します。多くの受験生を個別指導してきた三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治氏が、これまでの経験から、受験生と保護者の方に助言を送ります。

ラストスパートの時期

1月に入り、いよいよ入試シーズンに入りました。埼玉県などの一部の地域では、すでに中学入試がスタートしています。1月入試に臨む受験生は、ラストスパートをかけていることでしょう。これまでの努力の成果を発揮できるよう、健闘を祈ります。

一方、2月1日から入試がスタートする東京・神奈川の中学受験生は、入試まで残り約半月となりました。その期間にどのようなことを心掛けるべきか、何を優先すべきかについて、述べたいと思います。

「佐藤ママ」でも不安を感じるのが入試

三男一女が全員東大理科III類に合格したことで有名な「佐藤ママ」こと佐藤亮子さん。中学受験でも、息子さんたちは3人とも灘中、娘さんは洛南中と、全員が最難関校に合格しています。佐藤さんは、大学を卒業して結婚されるまでの2年間、地元の私立高校で英語教師をされていたそうです。現在は子どもさん達が通われていた関西の名門塾「浜学園」のアドバイザーも務められておられます。まさに「受験に向けた子育て」のプロと言えるでしょう。

中学受験をする子どもさんたちにとって、中学受験は、一生に一度しか通らない最初で最後の道。お母さん方の中にも、初めて通る道である方が多数いらっしゃいます。きっと戸惑われることが多いかと思います。とくに子どもさんが合格安全圏にいるとは言えないお母様の場合、あれこれ考えだすと不安に駆られるかもしれません。佐藤ママですら、3番目の息子さんの中学受験のときには、不合格だった時にかけてあげる言葉を、涙を流しながら練習していたと言います。合格するためには、今からでも何か出来る事があれば取り組みたいと考えているお母様も少なくないのではないでしょうか。

入試直前、心掛けるべきこととは…

「新しいことは始めない」

しかし、この時期に心掛けるべき大事なことは、「新しいことは始めない」ということです。

この時期までに、やるべきことはほとんど取り組まれているはずです。それでも満足できる成果が出ていなかったとしたら、新しいことに取り組んでもおそらく同じ結果になります。

それどころか、勉強はやった成果が出てくるまでには(一部の暗記分野を除いて)時間がかかりますので、もし成果の出る勉強法や問題集があったとしても、今からそれに取り組んで入試で成果を出すにはリスクが高すぎます。新しいことに取り組むよりも、これまでやってきたことの復習をし、身に付いていなかったことを身に付ける方が、はるかに効率的で、成果が出る可能性は高いと言えます。

ただし、過去問だけは別です。併願校などでまだ過去問を解いていない場合は、早急に過去問に取り組む必要があります。過去問演習は、入試での得点に大きく関わってくるため、何よりも優先すべき必須事項です。

高校3年生A君の失敗例……浪人後は、東北大医学部へ

今から10年ほど前のこと。中高一貫私立校に通っていた高校3年生のA君は、国立大学の医学部を志望していました。指導を開始したのは高校3年の6月からでしたので、遅目のスタートでしたが、理系科目の中でA君が苦手なものを中心に指導をし、2学期が終わる頃には合格が期待できる位置まで来ていました。

当時は大学入試センター試験(現在の大学入学共通テストの前身)が実施されていました。国語についてはA君は模試では8割程度の点数は取れており、特段対策を行っていませんでした。しかし冬休みに入り、少しでも点数の上乗せを図ろうと、短期間で取り組める薄めのセンター向け問題集に取り組んでもらいました。ところがその成果は出ず、逆に本番では国語は模試より数十点(200点中)低い点数となりました。

その問題集の影響がどれだけあったのかを測る手立てはありません。しかし、A君がその結果に落胆したのは間違いありません。当時、国立大医学部の多くで、センター試験の合格ラインは、9割程度が目安とされていました。そのため国語の失点はおおきな痛手となりました。残念ながらその年A君は当時の志望校に合格できませんでしたが、翌年は見事、超難関の東北大学医学部に合格しました。

優先して取り組むべき復習は?親御さんの質問に答えます

さて、これまでやったことの復習が大事とは言っても、その中で何を優先して取り組めばよいのでしょうか。この入試直前期に、受験生やその親御さんからよく質問されるのは、次のような内容です。

「今やっている塾の勉強の復習と、過去問の復習と、どちらを優先した方がいいでしょうか?」

この質問に対する私の回答は、「過去問の復習」です。

塾の授業の内容や生徒さんの状況にもよりますが、一般論として言うと、そうなります。過去問演習をして解けなかった問題は、一部の「捨て問」(解くのをあきらめる難問)を除いて、復習して解けるようにしておくことが基本です。

過去問の復習

似たような問題が出る可能性は高い

「過去問で出たような問題はもう出ないのではないか」との質問もよく受けますが、そんなことはありません。学校ごとに出題されやすい問題の傾向があり、似たような問題が出る可能性は高いのです。

算数の場合、一見異なる問題でも、そこで必要な着眼点や思考過程には共通するものがある場合があります。したがって、ひとつの学校の過去問を何年分も解くと、その学校の問題に馴染み、解き易くなってきます。これらが、過去問の復習を優先することをお勧めする理由です。

ただし、「開成コース」や「麻布コース」などのように、特定の学校に絞った対策を行っている塾の場合、今年度の出題を予測して問題を選択している場合があります。その場合は、過去問の復習と同じぐらい優先して取り組むべきかと思います。

一番やってはいけないことは…

以上、私の考えを述べましたが、個別の状況により、別の選択肢を選ばれることもあるかと思います。

しかし何をやるにせよ、一番やってはいけないことは、今の勉強に不安や迷いを持ちながら取り組むことです。ここまでくれば、これまでやってきたことを信じて、ペースを乱さず、最後まで突き進むことが大事です。それが恐らく現状の持てる力を存分に発揮する道だと思います。

圓岡太治(まるおか・たいじ)
三井能力開発研究所代表取締役。鹿児島県生まれ。小学5年の夏休みに塾に入り、周囲に流される形で中学受験。「今が一番脳が発達する時期だから、今のうちに勉強しておけよ!」という先生の言葉に踊らされ、毎晩夜中の2時、3時まで猛勉強。視力が1.5から0.8に急低下するのに反比例して成績は上昇。私立中高一貫校のラ・サール学園に入学、東京大学理科I類に現役合格。東京大学大学院工学系研究科修士課程修了。大学在学中にアルバイト先の塾長が、成績不振の生徒たちの成績を驚異的に伸ばし、医学部や東大などの難関校に合格させるのを目の当たりにし、将来教育事業を行うことを志す。大学院修了後、シンクタンク勤務を経て独立。個別指導塾を設立し、小中高生の学習指導を開始。落ちこぼれから難関校受験生まで、指導歴20年以上。「どこよりも結果を出す」をモットーに、成績不振の生徒の成績を短期間で上げることに情熱を燃やし、学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて難関大学に現役合格した実話「ビリギャル」並みの成果を連発。小中高生を勉強の苦しみから解放すべく、従来にない切り口での学習法教授に奮闘中。

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