「誰かと分かり合える瞬間」を大切に! もちろん、その共有できる人は“今”“この瞬間”だからこそ共有できるのかもしれません。時期がズレていたら、お互い分かり合えない可能性だってあります。 その中で“同じだ”と思える感性の人…
画像ギャラリー「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!
その内容は、「お悩み相談」です。これまで約1年半のコラム連載を通して、食・あそび・勉強・旅…と、様々なテーマで「(理想の)大人とは?」について考え、目指してきた (そしてこれからも目指していく)前田さん。その経験を生かした視点で、皆さんから寄せられたお悩み相談に答えていきますよ◎第22回の今回は、人に共感できない自分は、冷たいの?というご相談です。
[今回のお悩み]
「人の考え方や価値観に、なかなか共感できません。無理して合わせても、モヤモヤしてしまいます」
「共感」について。
他の人の考え方、価値観に、なかなか共感出来ない自分がいます。共感できないから嫌いとかは全く無く、こういう考えの人なんだ、きもちわるって思っても、逆に面白くて好きだと思えるのです。
女性何人かで話してると、誰かが話したことに「分かるー!!」って周りはなっているのに、自分はその気持ちを思いやることが出来ないのか、時々ものすごく冷たい人間になったような気になります。
共感されてる人はすごく安心して嬉しそうだし盛り上がるので、なんとなく合わせちゃうんですけど、後からモヤモヤします。どう思われても嫌われてもいいっていう境地に行きたいですがなかなかたどり着けません。
(東京都・女性)
相手との違いを感じるのは、きちんと考えらえる人である証拠
全てにおいて同じ感性を持っている人間は世の中に一人もいません。自分ですら、年齢や時期によって感じ方が変わる訳ですから。
それに、正しい感性なんて世の中には無いんです。大衆と同じ感性だろうが、少数派の感性だろうが、他者に強要したりしない限りは咎められる筋合いはない。
自分の中に留めておく限りはどんな思想も自由。
憲法も他人の利益を侵さない限り、如何なる思想であっても、どんな良心を持っていたとしても自由であることを保証していますからね。
だから、共感できなくても何ら問題はないですよ。人間なんて違って当たり前ですから。共感できる方が珍しいと思ってもいいくらい。思想は自由だからこそ、多岐にわたる感性が育つんです。
他人と共感できなくとも何らその人の人間性に瑕疵がある訳ではありません。共感できなくとも何ら冷たいだなんて思う必要はない。
相槌で「分かるー」と言って心が擦り減るのであれば「そうなんだねえ」と受け流すといいでしょう。
私も他人と共感できないことが多々あります。周囲の人が話していることに内心で毒づきながら、雰囲気を壊すのも悪いのでニコニコすることもあります。
けれど、これは感性が合わないだけで、誰が悪いとかじゃないんです。どんな人にも共感できる人間なんていないし、もしいたとしたらそれは、自分の意見を何も持っていない人なんだと思います。
ちゃんと物事を考える力があるからこそ、違いを感じる。
私は、共感できない意見ばかりの世の中ですが、だからといって自分が悪いと思わないようにしています。
先輩たちと感覚を共有できた大切な思い出
他人との感性の共有だなんて、諦めていた節もありました。口にしても理解してもらえなかったり、冗談ではないのに笑われたりすることも多々。分かってもらえることなんて、もう無いものだと思っていました。
けれどね、稀に、ごく稀に、感性を共有できる人がいます。本当に共感できたり、してもらえたりすることなんて、そんな希少なことなんだと思います。
オードリーの若林さんにお好み焼き屋さんに連れて行ってもらって話をした時は、共感してもらえて泣きそうになった経験があります。
せっかく小籔さんに教えてもらった美味しいお好み焼き屋さんだったのに、ひたすら私が仕事に対しての悩みを若林さんに聞いてもらうばかりの時間だったのだけれど。
こんな思いをしているのは自分だけだと思って孤独を感じていたものを、そうではないと教えてくれたから救われたように思えたのでした。
同じような気持ちだったことや、それに対しての対処の方法などのアドバイスをもらった時の時間は宝物になっています。
銀シャリの橋本さんにも居酒屋に連れて行ってもらって、仕事の話をした時に「あれって、こうだよね?」という心の動きを話して、同じような感情になった確認をし合えた時に”一人じゃない”という安堵感を覚えました。
私だけじゃなかった、という事実は、精神的に大きな影響を与えるのだな、と思ったのでした。
共感というのは、自分は孤独じゃないと確認できる作業なのかもしれません。
芸歴10年目にして、共感できる人が片手で数えられるほどなのは、それがいかに難しいことなのか表していると思いますが、私は、その先輩たちとの会話を今も大切に心にしまっています。
「誰かと分かり合える瞬間」を大切に!
もちろん、その共有できる人は“今”“この瞬間”だからこそ共有できるのかもしれません。時期がズレていたら、お互い分かり合えない可能性だってあります。
その中で“同じだ”と思える感性の人と出会えると、意見を交換し合えると、孤独感が少し薄まるような気がします。
たくさんの人と出会って話をしていたら、ほんのたまに、感性を理解し合える人が現れるかもしれません。
ただ、その人たちと感覚を共有できるのは、いつまで続くか分かりません。相談者の方も、もし共感できるような人が現れたとしたら、その瞬間を大切にしてもらえるといいなと思います。
私はその思い出だけで寿命が数年延びたような気がしたから。
「共感=相手と同じ感情になる」ではない~担当編集者からのひとこと~
「周りに共感できるかできないか」は、学生時代からの普遍的なテーマですよね。「わかるー!」と言えるかどうかが、クラスでの立ち位置決めとか友達作りにおいて、重要な要素だったと記憶しています。
私も割とそれに苦労してきた側の人間として、そもそも「共感」って一体何なんだ!?と思い、少し調べてみました。
心理学的にいうと、「共感」には2種類の考え方があるそうです。ひとつが「情感的共感」、もうひとつが、「認知的共感」です。
私たちが「共感」と聞いてイメージするのは「情動的共感」の方で、「悲しむ相手を見て自分まで悲しくなる」といったように、相手の感情をまるで自分の感情のように感じるプロセスを指します。
いっぽう「認知的共感」とは、例えば相手が悲しんでいるときに「この人は悲しんでいるんだ」と理解するプロセスのこと。論理的な能力を必要とする共感で、大きな集団がまとまるとき、「情感的共感」だけではうまくいかないことが多いので、社会の構築において、とても重要な要素となるそうです。
相談者様を含め、私たちが「人と共感できない」と悩むときの「共感」は、「情感的共感」を指しているのではないでしょうか。ただ、たとえ自分とは違っても、相手の意見や考えを「理解する、受け入れる」ことも、ひとつの共感の形なのです。
付け焼き刃の知識ではありますが、「共感=相手と同じ感情になる」ではない、ということは、私にとっても新たな発見でした。
「わかるー!」と言えなくても、人と「共感」する術はある。私も、自信を持って生きようと思います。
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前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。
ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。