聖地・立石に代われるか!? 京成線・青砥駅で「下町飲み」してみたら名店揃いだった!

『梅ぞの鮨』 つまみよし にぎりは1貫から 下町らしい“町寿司” 寿司屋になって40年。同じ場所でその前は祖母が甘味屋から蕎麦屋をやっていたという趣を感じる店構え。駅前にこんな店があったら、ついつい立ち寄って一杯やって握…

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昼飲み、センベロなどの店が集まり、呑兵衛天国だった京成立石。しかし駅周辺の再開発により名物店などが閉店、移転を余儀なくされた。立石に続く天国はどこだ!? そこで今回は、京成線沿線の青砥の安くて旨くて人情も濃い、通いたくなるいい店を集めてみました!京成本線をはじめ、快速や特急が止まるターミナル駅「青砥」。大衆酒場あり、魚の旨い店あり、ピザありとジャンルの幅広さは沿線随一!? そして、どこもアットホームで居心地よし。通いたくなる名店揃いです!

『もつ焼き 小江戸』

もつ焼きもボールも何より活気がうれしい下町酒場

口開けとともに待ち構えていたかの如くお客さんが入ってくると、店は一気に活気づく。店名にもつ焼きと冠するけれどもつ焼き屋然とし過ぎることなく、女性も子どももOK。店主の大島さん曰く「地元の人のための社交場」。なんて言うか“元気が出る酒場”だ。

大島さんは、昨年惜しまれつつ店を閉じた立石の名店『江戸っ子』で修業をされていて、まずはもつ焼きが旨い!パツパツテカテカでひと切れが大きく、頬張れば口の中に肉感溢れる感じ

煮込み 420円

『もつ焼き 小江戸』(手前)串焼きお任せ5本セット 760円 (奥)小江戸刺し(タン・ハツ・レバー) 900円 (ドリンク)小江戸ハイボール 420円 本日のお任せは、カシラ、テッポウ、つくね、ハツ、レバ。歯応えよく旨みも濃い。下町のいわゆる“ボール”(オリジナルの焼酎ハイボール)ともよく合う。低温調理でピンク色の刺しは塩とゴマ油で

鮮度抜群の「小江戸刺し(タン・ハツ・レバー)」を口に放り込み、「小江戸ハイボール」でゴクゴクやるのもいい。でもお楽しみはまだまだ。自家製ぬか漬けや季節の小鉢、ピカピカの刺身にも気合が入る。楽し過ぎる。

『もつ焼き 小江戸』

[住所]東京都葛飾区青戸3-39-3 優和ビル2階
[電話]03-3690-0898
[営業時間]15時~21時(20時LO)、土・日12時〜19時(18時LO)
[休日]月・火
[交通]京成本線青砥駅東口2から徒歩1分

『忠治(ちゅうじ)』

居心地よし 黒板に並ぶ刺身はどれも旨過ぎ!

暖簾をくぐってガラリと入れば、昔ながらの酒場らしい落ち着いた佇まい。「店は昨年暮れで42年。葛飾区には70年いるよ」というご主人・井上さんの語り口調にもどこかほっとする。

で、ここに来たらまず何を食べたいって、魚だ。「うちは黒板商売だから」という黒板には本日の刺身が10種類ほどズラリ。石巻の底引き網漁からの直送。そして千住の河岸でご主人が目利きした旬の魚は、いずれもみずみずしく、甘く、脂がのっている。何を選ぶか迷うのも楽しみだ。

スズキ刺身 600円、寒ブリ刺身 700円、活ホッキ貝刺身 600円、樽酒 吉乃川 600円

『忠治(ちゅうじ)』(右手前から時計回りに)スズキ刺身 600円、寒ブリ刺身 700円、活ホッキ貝刺身 600円、(ドリンク)樽酒 吉乃川 600円 甘い香りのホッキ貝、みずみずしいスズキ、きれいに脂がのった寒ブリ。ひと目で惚れ惚れする魚が期待を裏切らず旨い

名物「しめじ土瓶蒸し」。香りよく、ダシよく、熱燗で割ってもよし。しめじにエビや銀杏、三つ葉やゆり根と、中身も品のいいつまみになる。旨い日本酒もいい塩梅に揃っている。酒が進む。

『忠治(ちゅうじ)』

[住所]東京都葛飾区青戸3-33-16
[電話]03-3690-4681
[営業時間]17時〜23時
[休日]水・木
[交通]京成本線青砥駅東口1から徒歩2分

『一笑一杯(いっしょういっぱい)』

ホーム感抜群!明るく元気に昼からイケる

最初は夜のみ営業だったのが、コロナでのランチ営業を経て11時半からの通し営業に。それだけ「昼も続けてよ」という声が強かったわけで、早い時間から地元の人で賑わっている。そして何やら明るい。「ニコッと一杯やってほしい」という店名通り。元気一杯な女将・恵美さんの人柄もあるな。

1階のカウンター沿いにはどぶ漬けされた炭酸や割材がずらり。自分で引き抜いて申告するシステムも楽しい。

旨肉大根煮 500円、牛たたき 750円、赤ホッピーセット 550円

『一笑一杯(いっしょういっぱい)』(手前)旨肉大根煮 500円、(奥)牛たたき 750円、(ドリンク)赤ホッピーセット 550円 必食の「旨肉大根煮」は箸を入れるとほろり、口にジュワンと旨みが広がる

つまみも多彩だ。恵美さんの実家が肉の卸でいい肉がリーズナブル。名物「旨肉大根煮」がほろりと美味で、牛たたきも見逃せない

毎日丸で取る鮮魚もいいし、おかずをチョイスして食べながら一杯やれる定食飲みもアリだ。顔を出すのが楽しみな店!

『一笑一杯(いっしょういっぱい)』

[住所]東京都葛飾区青戸2-7-15 1階・2階
[電話]03-6657-7714
[営業時間]11時半〜22時
[休日]日
[交通]京成本線青砥駅東口1から徒歩2分

『梅ぞの鮨』

つまみよし にぎりは1貫から 下町らしい“町寿司

寿司屋になって40年。同じ場所でその前は祖母が甘味屋から蕎麦屋をやっていたという趣を感じる店構え。駅前にこんな店があったら、ついつい立ち寄って一杯やって握ってもらうなと思う、そんな店だ。

話好きで構えたところのないご主人・米山さんが立つカウンターは居心地よく、つまみも多いし、にぎりは1貫からOK

小肌 250円、中とろ 300円、ひらめ 250円、大海老 300円、穴子 250円

『梅ぞの鮨』(手前から時計回りに)小肌 250円、中とろ 300円、ひらめ 250円、大海老 300円、穴子 250円 千住の市場を中心に、マグロは豊洲から入れるというネタはよく吟味され、やや小ぶりのシャリとよく合っている。肉厚の「大海老」も昔から人気

「なるたけいいタイミングで焼いてあげたい」という玉子焼きは、ダシが効いてみずみずしく優しい味。鮮度よく「え、旨い!」と感動する人の多い「くじら刺し」も◎。

そして「下町だからできる原価率」という寿司だ。「え、この中とろが300円でいいの?」なんて思いつつ、腹いっぱい食べても大丈夫。町寿司はこうでなくっちゃ。

『梅ぞの鮨』

[住所]東京都葛飾区青戸3-37-18
[電話]03-3602-8579
[営業時間]17時〜23時
[休日]日・祝
[交通]京成本線青砥駅東口2から徒歩1分

『ピッツェリア プテカ』

薪窯で焼く本気のピッツァに気分も上がる!

路地奥の入り口を開けると真っ先に目に飛び込んでくるのが薪窯だ。

こちらのピッツァは、ナポリから船便で入れたこの窯で、店主の櫻井さんが1枚1枚焼き上げるほんまモンのナポリピッツァ。ふんわりモチリ、風味抜群の焼き上がり。これで一杯やるのが最高だ。

窯内は500℃にも達し、全方向から火が入るゆえの仕上がり。1分とかからず焼けるので目を逸らさない、櫻井さんの表情がいい。

岩のりとしらすのさっぱりピッツァ 2200円

『ピッツェリア プテカ』岩のりとしらすのさっぱりピッツァ 2200円 岩のり、しらす、モッツァレラにパルミジャーノも削って。生地は甘く、香り良く、こんもりした縁までおいしい

人気のピッツァのひとつ「岩のりとしらす」。海が近いナポリにはこんなラインナップもあるそう。驚くほどたっぷりのしらす、パルミジャーノもふんだんに削られ、海の香りとチーズも一体に

前菜や日替わりの黒板メニューもあるのでピッツァともども満喫したい!

『ピッツェリア プテカ』路地奥の隠れ家めいた場所にある

[住所]東京都葛飾区青戸3-32-4
[電話]03-3604-4838
[営業時間]17時半~21時LO(22時)※土・日ランチあり12時~14時(13時LO)
[休日]火・水
[交通]京成本線青砥駅東口2から徒歩3分

ウェルカムな街、青砥 なんだかホームな感じ

青砥といえば、いくつかの路線が乗り入れるターミナルではあるが、正直、これまではわりとノーマークだった。でも今回、何度も足を運ぶうちに、すっかりホームな気分、大ファンになってしまった。

よそから来てもあまり“お客さん”扱いされることなく、距離が近いというか。気取りがない下町というか。ひと言で言うなら、実にウェルカムな感じ、なのだ。

駅前を歩くと、鉄道と並行に伸びるサンロードを中心に、そこここに気になる路地があっていい店が隠れている。『忠治』のあるサンロード横丁しかり、『梅ぞの鮨』の北口中通り商店街、『小江戸』のある小路もそうだ。で、思い切って扉を開けると、活気があり、いい気の満ちた酒場が待っている。

下町といえば、焼酎を謎のエキスと炭酸で割った「ボール」こと、下町ハイボールという向きには、『小江戸』で自慢のもつ焼きと小江戸ハイボールがいい。はたまた『一笑一杯』なら、バイスやホッピーを筆頭に、いろんな割材やシロップでサワーをアレンジして楽しむこともできる。

早い時間からワイワイ賑わっているのも共通。懐に優しい価格なのに、旨いつまみが揃うのも心意気だ。

一方、お隣の立石ならもつ焼きのイメージが強いが、青砥を歩いていて思ったのは、この街、何だか魚がおいしい店が実に多い。千住の河岸が近いのも理由のひとつかもしれないが、当たり前の顔してレベルが高いし、コスパが抜群。昨今、お魚好きには朗報だと思う。

『忠治』の黒板メニューに並ぶ刺身を食せば「魚ってほんと旨いな」としみじみするし、『梅ぞの鮨』でご主人と話をしながらあれこれ握ってもらうのも楽しい。この2店は代表格だ。ぜひお試しあれ。

撮影/西崎進也(小江戸、忠治、プテカ)、石井明和(一笑一杯、梅ぞの鮨)、取材/池田一郎

2024年4月号

※2024年4月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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