自動車の経済学

「ダイハツ」出荷再開で“みそぎ”は済んだのか? 気になる「中古価格」と「安全性」

ダイハツ工業

2023年12月に公表されたダイハツの認証不正問題を受けて、ダイハツ車は長期間出荷停止状態が続いていた。だが、2024年4月19日国土交通省の立ち合い試験を経て、全車種の出荷停止の解除が発表された。この事件で大きな影響を受けたのはダイハツユーザーやダイハツ車の購入を検討していた人々だろう。ダイハツ車の現状に迫る。

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2023年12月に公表されたダイハツの認証不正問題を受けて、ダイハツ車は長期間出荷停止状態が続いていた。だが、国土交通省の立ち合い試験を経て、2024年4月19日に全車種の出荷停止の解除が発表された。この事件で大きな影響を受けたのはダイハツユーザーやダイハツ車の購入を検討していた人々だろう。ダイハツ車の現状に迫る。

出荷停止なのに「運行させて問題ない」という状況

SUVテイストの軽自動車「タフト」

ダイハツは認証不正問題により、出荷を停止していたが、順次再開されている。2024年4月下旬時点では、既存の車種については、大半が購入可能になった。

ユーザーとして気になるのは、現時点で使っているダイハツ車の売却額が今後どのように変わるのか、これからダイハツ車を買って大丈夫か、という点だろう。

今回の認証不正問題で分かりにくいのは、出荷を停止したのに、車両を運行させて問題ないと案内されたことだ。常識で考えると、車両に重大な問題が生じたから出荷を停止したわけで、そうなれば運行もできない。この矛盾が分かりにくい。

ダイハツ車が出荷停止になった理由は、正しい方法で認証を受けなかったからだ。車両の運行には認証を受けることが不可欠で、そこに不正があったから出荷を停止した。

しかし既に使われている車両については、第三者認証機関の「テュフ・ラインランド・ジャパン」を含めて、道路運送車両法の基準に適合していることを確認している。認証を受ける時に不正が行われたが、法規には適合しているから、運行しても問題ないと判断された。

そして国土交通省により、改めて道路運送車両法の基準に適合していることが確認されたため、出荷を再開した。

下がってしまったブランドイメージ

2月26日に生産を再開した「ミライース」が徐々に売り上げを伸ばしている

以上のように現在運行されていたり、出荷を再開したダイハツ車については、道路運送車両法の基準適合が確認されている。運行しても安全面に問題はないが、認証不正問題を発生させた影響で、ダイハツの信頼性やブランドイメージは下がった。

そのために現在使っているダイハツ車を数年後に売却する場合、売却額が下がる可能性はある。ダイハツのブランドイメージが下がってダイハツの中古車を買いたいユーザーが減れば、売却する時の金額も下がるわけだ。

仮に売却額が下がるとすれば、現在所有しているダイハツ車は、なるべく長く使うのが良い。長く使うほど、人気の低下に基づく売却額の差額も減るからだ。極端にいえば廃車にするまで使う。そうなればブランドイメージや人気が大きく下がっても損得に影響はない。

売却額が下がる心配が伴うなら新車の購入も控えたいが、販売不振を補うため、値引きなどの各種サービスが充実する可能性もある。ただし軽自動車はもともと薄利多売の商品だから、多額の値引き販売は難しい。購入条件が大幅に好転するとは考えにくい。

今後ダイハツ車の売却額が上がる可能性も

遊び心あふれる軽ハイトワゴン「タント ファンクロス」

その一方で、ダイハツ車の売却額があまり下がらないことも考えられる。今後のダイハツが魅力的な商品を投入するなど、ブランドイメージの低下を食い止めた場合だ。要は今後のダイハツの動き方により、市場の受け止め方も変わり、売却額にも影響を与える。今後のダイハツ車の価値が、マイナスを続けるとは限らない。

文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。

写真/ダイハツ、Adobe Stock(アイキャッチ画像:beeboys – stock.adobe.com)

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