老舗の角打ち4軒で「粋に飲む」 気になるお酒は買える楽しさ

ちょいと飲んだ帰りに気に入りのお酒も買ってと、角打ちは楽しい!昔ながらの渋い酒屋はもちろん、最近では多種多様なジャンルの店も登場してきて、ますますの盛り上がり。今回は、街の酒屋として愛されてきた老舗の角打ちを厳選して紹介。長居は禁物、さっと粋に一杯やろう。

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ちょいと飲んだ帰りに気に入りのお酒も買ってと、角打ちは楽しい!昔ながらの渋い酒屋はもちろん、最近では多種多様なジャンルの店も登場してきて、ますますの盛り上がり。今回は、街の酒屋として愛されてきた老舗の角打ちを厳選して紹介。長居は禁物、さっと粋に一杯やろう。

『田口屋』 @森下

うまい酒をキリッと一杯 粋な「純角打ち」

「よっ、これぞ角打ち」と手を打ちたくなる。風格ある建物に赤提灯、軒下に並ぶは椅子代わりの酒樽だ。

創業は明治20(1887)年。クラフトビールや日本酒、ジンなどがグラス400円。その他の商品もすべて店内で飲め、しかも抜栓料なしという「のんべえ天国」だ。ただしトイレはなく、滞在は「30分程度」ときっぱり。

「うちは卸ですから『軽く』、その後飲食店に飲みに行っていただきたい。そんな『ウェイティングバー』という感じがいいですね」と店主の飛田さん。

東京ブルース、エビスマイスター 各400円

『田口屋』東京ブルース、エビスマイスター 各400円 エビスの他、クラフトビール数種あり

一方で、プロとして、おいしく飲んでもらうことにこだわる。生ビールは「味わいが全然違う」と樽ごと冷やすサーバーを使用。飲んでみれば絶妙な冷え具合、口当たりはどこまでもまろやかだ。また、入手困難な国産ウイスキーをあえて角打ちで出す。

「だって、卸したらその店の客しか飲めないけど、角打ちで出せばいろんな方が気軽に味わえるでしょ」

「純角打ち」と呼びたくなる、なんとも粋な一軒である。

『田口屋』酒樽がいい雰囲気

[住所]東京都江東区常盤2-6-11
[電話]03-3634-4711
[営業時間]9時~19時
[休日]日・祝
[交通]都営大江戸線・新宿線森下駅A7出口から約3分

『鈴傳』 @四ツ谷

日替わりの銘酒を最高においしく!幸せ過ぎる角打ち

人呼んで「日本酒の聖地」。嘉永3(1850)年創業の『鈴傳』は、全国の銘酒が集まる老舗酒屋だ。その「聖地」で飲めるのだから、日本酒好きにはたまらない。

ある日の品揃えは「花陽浴」「龍神」「山法師」……お気に入りの銘柄にするか、いや飲んだことのないあれを試してみるか。楽しく迷った末に頼んだ「たかちよ おりがらみ」は、「生」感と心地よい酸味がいい。

『鈴傳』併設の「鈴傳スタンディングルーム」。扱う酒は豊富な日本酒、ビール、焼酎など。18時前には満員になる

『鈴傳』が品揃えと共に誇るのが、徹底した品質管理だ。

「55年ほど前、先代がヨーロッパを視察し、ワインの保管法にヒントを得て3段階の温度管理を導入したんです」と七代目の磯野真也さん。店の地下には、日本酒を最高の状態で保つ保管庫がある。そのまま店に直行するのだから、旨いに決まってる。

『鈴傳』(手前から順に)刺身三点盛 500円、いかと里芋の煮物 450円、マカロニサラダ 450円 刺身やサラダ、煮物など日替わりのつまみは450円~。火曜日の「名物牛すじ」、水曜の「名物レバー」、金曜の「煮玉子」「串カツ」など曜日限定メニューも

つまみは刺身や煮物など、気軽な料理が揃う。ひとり静かに味わう方もいれば、盛り上がるグループもいて、堅苦しさはない。そしてどんどん変わる日本酒の顔ぶれ……。幸せ過ぎる聖地なのだ。

刺身三点盛 500円、マカロニサラダ 450円、いかと里芋の煮物 450円

[住所]東京都新宿区四谷1-10
[電話]03-3351-1777
[営業時間]17時~20時半(酒類提供~20時)
[休日]土・日・祝
[交通]JR中央線四ツ谷駅赤坂口から徒歩2分

『飯田屋酒店』 @鮫洲

料理も充実!近所に住みたいあったか角打ち

目に飛び込むのは、びっしりと書かれたお品書き。角打ちとは思えない、つまみの多さにまず驚く。営むのは古塩幸弘さんと佳代さん。昭和8(1933)年、旧東海道沿いの東大井に創業。

27年前、現在のビルに建て替えた際、店の奥を角打ちスペースにした。料理担当は幸弘さんだ。

サバ焼き 650円、常きげん(1合) 430円

『飯田屋酒店』(左)サバ焼き 650円、(右)常きげん(1合) 430円 大田市場から仕入れるサバを、ほどよい塩気でふっくら焼き上げる

「ふたりでメニューを考えているうちに、どんどん増えちゃって」と佳代さん。「サバ焼き」を食べれば、ふっくらと焼き上がったおいしさにまた驚く。

幸弘さんによれば、「常連さんが、『このサバで昼ご飯を食べたい』というので、ランチを始めた」という人気の一品だ。他にも、アジフライやチーズ入りメンチカツなど魅惑的な料理が揃う。

手作り料理で気軽に一杯できるとあって、近所の常連さん多数。だが、「休日は東海道の散歩途中にぶらりと立ち寄る方もいらっしゃいますよ」(佳代さん)。

初めての客がまた訪れることも多いという。常連さんは何度でも、一見さんはまた来たくなる、充実の角打ちなのだ。

『飯田屋酒店』

[住所]東京都品川区東大井1-2-7
[電話]03-3474-7308
[営業時間]月~金ランチ:11時半~14時(13時25分LO)、立ち呑み処:17時~22時50分(22時LO)、土:16時半~21時(20時LO)
[休日]日・祝
[交通]京浜急行鮫洲駅から徒歩3分

『中村屋丸康酒店』 @日暮里

日本酒のよさを楽しく伝える街のオアシス

昭和から平成にかけて、日暮里駅前に「角打ち」でにぎわう酒屋があった。そこはまるでオアシスのような一角だったという。

その店、『中村屋丸康酒店』が再開発のために一旦店を閉めたのは約20年前。5年間の仮営業を経て、現在は高層マンションの1階に店を構えている。

だが、一歩中に入ると懐かしい雰囲気でいっぱいだ。棚に並ぶ缶詰の数々、壁のお品書き、使い込まれたカウンター……。

「カウンターはそこまで古くないんですが、酒がしみ込んでますからね(笑)」と、店主の中村康一さん。建て替えにあたり、「日本酒のよさを伝えるには」と考え抜き、現在の「角打ち」となった。

ハムチーズ巻き 450円、厚揚げ焼き 350円、タイガースレモンサワー 450円、生ビール中 450円

『中村屋丸康酒店』(料理手前から)ハムチーズ巻き 450円、厚揚げ焼き 350円、(ドリンク手前から)タイガースレモンサワー 450円、生ビール中 450円 日本酒の他、生ビールやサワーなどがあり、気軽なつまみも安心価格で揃えている

日本酒は「数よりも、惚れ込んだ蔵元ととことん付き合う」と中村さん。限定酒をすべて揃える「出羽桜」のほか、「田酒」「真澄」「日高見」などがグラスで飲める。「繁桝」の純米大吟醸は、華やかさのなかに旨みがしっかり。「厚揚げ焼き」をつまみに酒が進む。ああ、オアシスが戻って来てくれて、よかった。

『中村屋丸康酒店』ほどよく賑わう、居心地のよい店内

[住所]東京都荒川区西日暮里2-22-1 ステーションプラザタワー102
[電話]03-3891-5940
[営業時間]月~金:17時~22時LO、土:16時~21時LO
[休日]日・祝
[交通]JR・日暮里舎人ライナー日暮里駅から徒歩2分

撮影/西崎進也(田口屋)、貝塚隆(鈴傳、飯田屋酒店、中村屋丸康酒店)、取材/本郷明美

2024年6月号

※2024年6月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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