夜が少しずつ長くなって、しっぽり飲みたい季節です。それならこだわりの和の店で、一献楽しんでみませんか。おいしい肴と沁みる酒、空間までもがご馳走の、ちょっといい店を東京の城西エリアで見つけてきました。心身ともに癒されて、やさしい気持ちになれたなら、きっと明日への活力が湧いてきます。
割烹料理と厳選した酒をゆるりと味わう『ヨイノフネ』@久我山
華美に飾り立てない正直な料理ほど作り手の技量が問われるもの。割烹で修業した渡邉料理長の味も然り、シンプルだが丁寧な仕事の美味が心までじんわり響く。
「銀杏せんべい」ひとつ取っても実を素揚げにして潰して揚げて干して……の手間。「蝦夷あわび酒蒸し」はアワビを存分に楽しめるよう素材のダシを多めに添える粋な工夫。このダシだけで酒一合は飲めそうだ。
蝦夷あわび酒蒸し(大・冷製) 1980円、銀杏せんべい 660円
となればお燗番、石本さんの出番。日本酒は全国から幅広い味を揃えており、客の好みに寄り添い薦めてくれる。
「回転率を求める店より、地元に愛される店を」。
そんなふたりの誠実さが端々まで行き届いた店は何と居心地いいことか。月並みな表現だが、つくづくご近所さんが羨ましい。
[住所]東京都杉並区久我山4-1-4 松村ビル103
[電話]03-6826-9895
[営業時間]17時~23時(21時45分最終入店)※10月末まで。11月からは~24時(22時半最終入店)
[休日]水、月2回不定休あり
[交通]京王井の頭線久我山駅北口から徒歩1分
毎日食べても疲れない料理で一杯『・・・(てんてんてん)』@幡ヶ谷
青大豆のひたし豆もいいし、刺身も気が利いている。醤油と生姜の効いた鳥唐揚げおろしポンズもいいねえ。一杯やるならまずはコレ、「おまかせ小鉢盛り」だ。
「毎日食べても疲れない、和食のちょっとしたもの」と店主の布施さんが手がける料理にほっとする。
おまかせ小鉢盛(6品種) 1300円
一杯やるならと言ったのは定食も人気だからで、こちらにも小鉢が5種付く。ご飯なしにしてこちらで飲んでも実は楽しい。
たとえば「りゅうきゅう定食」。漬け状態にされて青唐辛子がピリッと効いた刺身を食べながら、いつ卵黄を割ろうかドキドキしつつ一杯。
にこやかな布施さんの空気感とも相まって肩肘張らずに楽しめる。冷蔵庫のカップ酒を選ぶもよし。また来たい、きっとそう思ってしまう店だ。
[住所]東京都渋谷区本町6-37-6 銀河ビル2階
[電話]03-6383-3188
[営業時間]17時(土15時)〜22時(21時15分LO)
[休日]日・木
[交通]京王新線幡ヶ谷駅北口から徒歩8分