東京の「美味タウン」を新発見! 東日本橋・馬喰町の注目店7選

街の名は江戸時代、馬市が開かれるため博労(ばくろう、馬の仲買人)が住んでいたことに由来する馬喰町。東日本橋は隅田川に面し、昔ながらの雰囲気も残す。飲食店の数は決して多くはないが、わざわざ行くべき店が点在するグルメ注目のエリアだ!

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街の名は江戸時代、馬市が開かれるため博労(ばくろう、馬の仲買人)が住んでいたことに由来する東京・馬喰町。東日本橋は隅田川に面し、昔ながらの雰囲気も残す。飲食店の数は決して多くはないが、わざわざ行くべき店が点在するグルメ注目のエリアだ!

『うつけ』 @馬喰横山(店名は本来、身へんに空)

圧巻のインパクト。これがうな重マウンテンだ!

平日の夜20時頃。客の7割が女性で、うな重やひつまぶしを、おしゃべりしながらパクパク食べて盛り上がっている。そんな令和スタイルのうなぎ屋を発見!

人気の理由のひとつは価格のリーズナブルさ。うなぎ半尾がのったうな重の「梅」が2090円。1尾の「松」でも3630円と破格だ。さらに気になるのが「マウンテン」。うなぎが2尾ものるという超豪華な一品とのこと。

頼めば、あふれんばかりのうなぎがのったお重が登場。

うな重マウンテン 5280円

『うつけ』うな重マウンテン 5280円 愛知県から直送する生のうなぎを使用。香ばしく焼き上げ、岐阜県の名店から受け継いだ秘伝のタレにジュッと浸したうなぎはツヤツヤ。山椒をかけて食べるとニヤニヤが止まらない

ここは関西風の直火焼きなので、うなぎの皮はパリパリ、身はふんわり。あっさりしたタレも絶妙だ。しかも、うなぎの量がすごいので、なかなかご飯にたどり着けない。うなぎだけをモリモリ食べる、この幸せよ!

うな重とひつまぶしのほか、海鮮を一緒に盛りつけた「UTSUKE丼」もあり、まさにうなぎパラダイス。夜は、天ぷらなどのつまみも豊富で、居酒屋感覚で楽しめます!

『うつけ』

[住所]東京都中央区日本橋横山町1-4 林屋ビル
[電話]03-3527-3938
[営業時間]11時半~15時(14時LO)、17時~22時(21時LO)
[休日]無休
[交通]都営新宿線馬喰横山駅A2出口から徒歩2分

『味道』 @東日本橋

熊野地鶏のうまさと純米燗酒に酔いしれる

この焼鳥、ただものじゃない。ひと口目、肉の弾力がまずすごい。さらに噛みしめると、肉の旨みと脂身のコクがぐっと広がる。鶏は店主・長尾さんが惚れ込んだ熊野地鶏だ。

「肉質、脂、香り、とにかくバランスがいい」と長尾さん。その黄金比には秘密がある。軍鶏の一種に「伊勢赤どり」と「名古屋コーチン」を掛け合わせ、それぞれのよさを併せ持つよう開発された品種なのだ。

おまかせ5本コース(ムネ、レバー、ソデ、つくね、ネギマ) 2970円、神亀 純米辛口 1100円

『味道』(手前)おまかせ5本コース(手前から順に ムネ、レバー、ソデ、つくね、ネギマ) 2970円、(左奥)神亀 純米辛口 1100円 胸肉にはわさび、レバーに黒酢と醤油などその部位の味を引き出す味付けで提供される

10年前に熊野地鶏と出合って以来、長尾さんはその魅力を最大限に引き出すべく進んで来た。炭は紀州備長炭、塩はフランスの天日塩を使う

日本酒は「神亀」を中心に純米酒の「燗」をすすめ、ワインはナチュールのみ。「自分たちの食べたいもの、飲みたいものしか出したくないんです」と長尾さんと女将の千広さん。

この店を訪れた人は、その言葉に深くうなずくのだ。

『味道』

[住所]東京都中央区東日本橋2-9-4
[電話]03-3865-2366
[営業時間]17時半~22時 ※不定期で祝日に「昼呑み」あり、SNSでお知らせ
[休日]水、日
[交通]都営浅草線東日本橋駅B3出口から徒歩2分

『フクモリ 馬喰町店』 @馬喰町

カフェを超えた、街の人々が「集う場」

なんとも不思議な店だ。ゆったり居心地のよいカフェだが、メニューには山形名物の数々。では郷土料理の店かと思えばちょっと違う。ローストビーフサラダが人気だったり、塩が絶妙に効いたバスクチーズケーキは絶品だったり。

山形名産フクモリ合わせ 1650円、日本酒 東光 990円(180cc)

『フクモリ 馬喰町店』(手前)山形名産フクモリ合わせ 1650円、(奥)日本酒 東光 990円(180cc) 玉こんにゃくや焼き麩の唐揚げなど盛りだくさんのお得メニュー。小松さんの本業で山形の旅館と縁があり、山形の食材や料理を発信する

店の誕生は15年前。古い倉庫を「街のために活かしてほしい」と願う家主から、オーナー・小松裕行さんが借り受けた。2階に自身のデザイン事務所、1階に『フクモリ』をオープン。さまざまな人が集う場となった。

夕暮れ時、コーヒーでくつろぐ人もいれば、早めの晩酌を楽しむ常連さんも。その自由な感じが心地よい。

店のジャンルは何だろう。スタッフに尋ねてみると、「お客様に決めていただければよいと思いますが、もし付けるならば『フクモリ』なのかもしれません」とのこと。なるほど。『フクモリ』のある街に住みたくなった。

『フクモリ 馬喰町店』

[住所]東京都中央区東神田1-2-10 泰岳ビル1階
[電話]03-5829-9987
[営業時間]11時半~22時(21時LO)、金・土~23時(22時LO) ※11時半~15時:ランチメニュー、15時~18時:カフェタイム、18時~:ディナー
[休日]日
[交通]都営新宿線馬喰横山駅A2出口から徒歩2分

『cillic(チリック)』 @東日本橋

気軽にフラッと立ち寄れる居心地抜群イタリアン

気の置けない友人と訪れて、初めてでも緊張せずに自然体でくつろげる店。簡単そうにみえて、なかなか出合えないんです、そういうところ。

これにピタリとあてはまるのがココ。生ハムなどのシャルキュトリー、季節の野菜のロースト、ミートローフや低温調理の肉料理……。

ひと通り揃う定番メニューに加え、黒板の日替わり、そしてパスタはその時に食べたいものをアレンジして作ってもらうことも可能。とにかく懐が広いのだ。だから、ここに来たならば、初めてでも臆せず、ワガママを言ってみるのがいい。

うなぎのパッケリ 1800円、前菜盛り合わせ 1500円

『cillic(チリック)』(手前)うなぎのパッケリ 1800円、(奥)前菜盛り合わせ 1500円 前菜は、豆のトマト煮込み、ピクルスなど常時4~7種類くらいを盛り合わせる。愛知県三河産のうなぎを使ったパッケリは、香ばしい自家製フォカッチャと共に楽しみたい。グラスワイン600円~

メニューに書かれた価格はすべて税込みなので、会計の時に「思っていたよりお得かも」と思えるのもうれしいおまけだ。

オープンから7年を経て、今では週3で通う常連客もいるそう。おいしい料理に加え、店全体に流れる陽気で穏やかな空気感に、地元客に愛されるのも納得。

『cillic(チリック)』

[住所]東京都中央区東日本橋2-11-3
[電話]03-5825-4379
[営業時間]火・水:17時半~23時、木・金:11時45分~14時(13時半LO)、17時半~23時、土・日・祝:12時~15時(13時半LO)、17時半~22時
[休日]月(月が祝の場合は翌火休み)
[交通]都営浅草線東日本橋駅B3出口から徒歩2分、都営新宿線馬喰横山駅A4出口から徒歩3分

『Mellow(メロウ)』 @東日本橋

ぶらり寄りたくなる、居心地のよい街のワインバル

店の中から、楽し気な話し声と灯が漏れてくる。吸い寄せられるように入ってみれば、カウンター8席のこぢんまりとした空間。その厨房から店主・益田隆司さんが繰り出してくる料理は、わくわくの連続だ。

ポテトサラダはメークインの千切りにシラスがたっぷり。食感が楽しく、花椒が爽やかなアクセントだ。「仔羊肩肉のトマト煮込み」は、春野菜の甘みをまとったラムの風味がいい。

冬はグラタン、夏は鮎のコンフィと、季節ごとのメニューを楽しみに待つ客も多いという

仔羊肩肉のトマト煮込み春野菜添え 2200円、グラスワイン 1000円

『Mellow(メロウ)』(手前)仔羊肩肉のトマト煮込み春野菜添え 2200円、(奥)グラスワイン 1000円 仔羊の肩肉とトマトソースをストウブで煮込む。食感を残した春野菜がいい

だが、益田さんは「自分を料理人だと思ってないんです」と意外なことを言う。「料理やワインはもちろん大事ですが、それは要素のひとつ。『居心地がいい』と言ってもらえるのが一番うれしいですね」。

思わず入りたくなる雰囲気は、益田さんのこの気持ちが作り上げているのだろう。通いたくなる一軒だ。

『Mellow(メロウ)』

[住所]東京都中央区東日本橋3-3-8 プリンセスコート日本橋102
[電話]なし
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)、17時半~23時(22時LO)、土・日・祝 12時~22時(21時LO)
[休日]不定休
[交通]都営新宿線馬喰横山駅A2出口から徒歩1分

『CITAN(シタン)』 @馬喰横山

旅人気分を盛り上げる心躍る料理と空間

『CITAN』は2017年オープンのホステルで、漢字では「始端」。日本橋が五街道の起点だったことにちなむという。海外から多くのゲストが訪れるホステルで、旅人気分を味わってみたい。

まずは多くの外国人ゲストが行き交う1階のテラス席でクラフトビールを一杯。地下のバーダイニングでは、意外性のあるメニューに心が躍る。

「トマトとクラフトジンのパスタ」は、新潟県の「YASO GIN」と、蔵前に蒸留所がある「HOLON」のジン、2種を使った一品。ジンのフレーバーがほのかに香り、トマトとチーズがたっぷりと生パスタにからむからたまらない

トマトとクラフトジンのパスタ 1100円、ジントニック 1200円

『CITAN(シタン)』(手前)トマトとクラフトジンのパスタ 1100円、(奥)ジントニック 1200円 トマトとクラフトジンの風味が絶妙に合う

またフリットやパスタに使われる「茄子焦がしソース」は茄子を真っ黒になるまで焦がし、ペーストにしたもの。独特の風味がくせになる。日常を離れたいとき、こんな空間に身を置く一日があってもいい。

『CITAN(シタン)』

[住所]東京都中央区日本橋大伝馬町15-2
[電話]03-3865-2366
[営業時間]18時~23時半(22時LO)※1Fカフェ『BERTH COFEE』
[営業時間]8時~18時
[休日]不定休
[交通]都営新宿線馬喰横山駅A2出口から徒歩3分

『mille(ミル)』 @東日本橋

華麗かつ骨太の本格フレンチを自由に楽しむ

コンクリート打ちっぱなしの壁に、グレーを基調にしたモダンな空間。全12席ながら、広々としたオープンキッチン、ゆったりしたレイアウトで窮屈さは微塵もない。ここはシェフの千葉さんがひとりで腕をふるうフレンチだ。

メニューはアラカルトのみで、外せないのがアミューズの数々。ひとり2~3個を頼むと、スイーツと見紛うビジュよしの皿が目の前に。かわいいもの好きならテンションが上がるはずだ。

味わいも格別。見た目とは裏腹にワインをねだる完璧なアテなのである。前菜は野菜や魚が多く、たまに煮込みも登場する。

メインは肉のローストが中心。どれも手をかけすぎない調理法、ソースや添え物で奥行のある味わいを演出している。

北海道仔鹿のロースト 季節の野菜と赤ワインソース添え 5300円

『mille(ミル)』北海道仔鹿のロースト 季節の野菜と赤ワインソース添え 5300円 低温調理した後、フライパンで焼き目をつけた仔鹿のロースト。鹿のフォンを赤ワインで煮詰めたソースでシンプルに味わう

見た目は華やかだが、かなり骨太の本格フレンチで、酒呑みにはうれしい限り。多彩に揃う自然派ワインをお供に、至福の時間を過ごしたい。

『mille(ミル)』

[住所]東京都中央区東日本橋2-8-1
[電話]03-5829-8138
[営業時間]18時〜24時(23時LO)
[休日]日
[交通]都営浅草線東日本橋駅、都営新宿線馬喰横山駅B3出口から徒歩3分

撮影/鵜沢昭彦(うつけ)、浅沼ノア(味道、フクモリ、メロウ、シタン)、西崎進也(チリック)、小澤晶子(ミル)、取材/松田有美(うつけ、チリック、ミル)、本郷明美(味道、フクモリ、メロウ、シタン)

2024年7月号

※2024年7月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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