「銀座 鮨 正」 天草の小肌に下田のキンメ、本マグロ……。その日仕入れた極上のネタが雄勝硯の漆黒の器に実によく映える。口に運べば、宮城のササニシキに赤酢を使ったシャリがホロリとほどけ、まさに至福のひとときだ。 昼のおすす…
画像ギャラリー寿司店が集う銀座、かつて河岸があった日本橋は、江戸前寿司の粋と歴史が使った街。夜は少し敷居が高いけれど、昼なら安心して頬を落とせる店を見つけてきました。
「おたる政寿司」
小樽で創業80余年の老舗寿司店が11年前に銀座に出店。仕入れの7割は北海道から。朝夕2回の特別空輸便で、その日の朝、市場に並んだ鮮度抜群の食材が届き、銀座にいながら小樽本店の味が楽しめると評判だ。
オススメは、先付におすすめ握り9貫、選べる1貫、止椀、デザートが付く「旬華」。トロリとして優しい旨みの生ニシン、弾力のある水ダコ頭など、北海道ならではのネタの美味しいこと! この他、そばつゆのつけダレにウニと卵黄を加えて食べる、小樽の漁師直伝のいかそうめんが付いた「花一華」も人気が高い。
「鮨処 順」
白木のカウンター席に座りの「大観」を注文すると、職人が1貫ずつ、流れるような動きで寿司を握るのが印象的だ。まずはメイチダイ。美しい白身の高級魚で、繊細な旨みが実に秀逸。その後もテンポよく続き、ウニをのせたイカやヅケマグロ、穴子まで全10貫。分厚いネタに赤酢を少し利かせた硬めのシャリがいい塩梅で満足至極である。
高級店ながら、昼も夜と同じネタを使っている。「嘘のない本物の食材でおもてなししたいんです」と、板長の高野仁志さん。心意気を感じるお得な昼寿司を、ぜひ堪能したい。
「魚河岸 次郎松」
東急プラザ11階。壁面に飾られた仙台箪笥が目を引く和モダンな内装。奥に進めば、天井までとられた大きなガラス窓から築地方面の景色が一望でき、開放的な空間が広がる。
品川の人気店『寿司の磯松』のセカンドブランドで、寿司や天ぷらなど職人の技が光る江戸前料理を楽しんでもらおうというのがコンセプトだ。昼のイチオシは握り11貫に玉、お椀が付く「江戸前特上握り」。福島の米に米酢を利かせたシャリは上品な味わいで、豊洲や築地で仕入れるほか、函館や高知から直送される魚介の持ち味が際立つ。寿司のほか、焼き物や天ぷら、煮つけといったつまみが多彩に揃うのも魅力的だ。
「鮨 たじま」
昼のお値打ちは玉子焼きが付いてのランチ握りだ。夜は寿司懐石のおまかせコースが主流の銀座の個人店で、この価格はかなり破格だろう。しかし、実はここで最もおすすめしたいのはおまかせ握り。
天然ものにこだわった極上のインドマグロのトロをはじめ、ウニなどのネタが入るので、贅沢気分に浸るのにうってつけ。威勢のいい店主・田島さんが小気味よく握る寿司を、心ゆくまで堪能したい。
「銀座 鮨 正」
天草の小肌に下田のキンメ、本マグロ……。その日仕入れた極上のネタが雄勝硯の漆黒の器に実によく映える。口に運べば、宮城のササニシキに赤酢を使ったシャリがホロリとほどけ、まさに至福のひとときだ。
昼のおすすめは、日替わりの握り6貫に玉子焼き、小さなばらちらしなどが並ぶおまかせランチ。白木のカウンターに趣深い6つの個室、銀座らしい品格漂う店内で寿司をつまめば、優雅な時間が過ごせる。
『おとなの週末』2021年10月号より(本情報は発売時のものです)
…つづく「寿司の名店『銀座久兵衛』に新卒で就職、TOEIC900点の英語力で世界のVIPをもてなした寿司職人が独立 『神田錦町 鮨 たか晴』店主が店を構えるまで」では、その意外な半生を明かします。