ニッポン“チャーラー”の旅

「肉そば」で一斉を風靡した『丸源ラーメン』。実は「熟成醤油ラーメン」も旨いのをご存知か? チャーラーも実践

「肉そば」で一斉を風靡した『丸源ラーメン』。実は「熟成醤油ラーメン」も旨いのをご存知か? チャーラーも実践

「肉そば」で一斉を風靡した『丸源ラーメン』。実は「熟成醤油ラーメン」も旨いのをご存知か? チャーラーも実践

ー”の旅」。第44回の今回は、地元・愛知発のチェーン『丸源ラーメン』へ。看板メニューではないラーメンと一風変わったチャーハンのチャーラーです。

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チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。第44回の今回は、地元・愛知発のチェーン『丸源ラーメン』へ。看板メニューではないラーメンと一風変わったチャーハンのチャーラーです。

『丸源ラーメン』の魅力は「肉そば」だけではない

愛知県在住の筆者が取材エリアとしているのは名古屋から西。オファーがあれば、九州や沖縄へ行くこともあり、名古屋以西で未だ足を踏み入れていない府県はない。もっぱら移動手段は車だが、都市部よりも郊外でよく見かけるのが愛知県豊橋市に本社がある物語コーポレーションが運営する『丸源ラーメン』だ。目にするたびに愛知県民として誇らしく思う。

『丸源ラーメン』の1号店は2001年にオープンした三河安城店。当時、店の近くに筆者の後輩が暮らしていて、ここには何度か行ったことがある。ラーメン店らしからぬ店構えと広々とした駐車場を初めて見たときのインパクトは今でも鮮明に覚えている。

名物の「肉そば」(759円)。そのままでも十分おいしいが、卓上のどろだれラー油や揚げにんにく、酢で味変が楽しめるのも魅力だ

当時は名物の「肉そば」(759円)はメニューになく、醤油や豚骨がメインだった。ほどなくして「肉そば」が誕生するや、瞬く間に店の名物となり、店舗数も爆発的に増えていったのは周知の事実。「肉そば」のおいしさについて、今さら筆者が語らなくてもグルメ情報サイトやグルメブログに山ほど書いてあるだろう。

実は、『丸源ラーメン』で筆者は「肉そば」よりも「熟成醤油ラーメン」をよく注文する。それこそ、「肉そば」がメニューに加わる前から。五十路の筆者にとって「肉そば」はややハードルが高いのだ。ということで、今回は『丸源ラーメン』は「肉そば」だけではないということを多くの人に知ってもらうべく、「熟成醤油ラーメン」とサイドメニューの「鉄板玉子チャーハン」を紹介させていただく

筆者の自宅近くにある『丸源ラーメン』岩倉店。交通量の多い県道沿いにあり、広々とした駐車場も完備している

訪れたのは、土曜日の夜。店内は家族連れの客でごった返していた。『丸源ラーメン』は「お子さまラーメン」(209円)など小学生までの子ども向けのメニューが充実しているほか、子どもが好きな「フライドポテト」(209円)や「ソフトクリーム」(107円)もあり、どれも安いため家族連れに人気なのだ。

この日、筆者は昼食を早めに摂ったため腹ペコだった。「熟成醤油ラーメン」(759円)の「麺大盛り」(143円)と「鉄板玉子チャーハン」(275円)の「ご飯増量」(110円)、さらには「餃子」(319円)も注文した

デフォルトとは思えないクオリティの高さ

まず、目の前に運ばれたのは「餃子」。サイドメニューだと思って侮ってはならない。薄皮ならではのクリスピーな食感といい、餡の肉とキャベツのバランスといい、専門店にも劣らぬ旨さなのだ。卓上の「どろだれラー油」を加えるとさらに旨くなる

「餃子」の焼き加減も完璧

以前は卓上にピリ辛の野沢菜漬け「野沢菜醤」があり、無料で食べ放題だった。餃子にタレやラー油を付けず、野沢菜醤と食べていた。これが本当に旨かった! そういえばラーメンにも入れて味変を楽しんだこともあったな。いつの間にか野沢菜醤は有料(55円)になっていたのが残念でたまらない。

続いて運ばれたのは、「熟成醤油ラーメン」。価格は「肉そば」と同じ759円なのでデフォルトと位置づけても問題ないだろう。にもかかわらず、大きくて分厚いチャーシューと煮玉子、極太のメンマ、海苔、ネギが丼を彩る。この具材の豪華さはいったい何なんだ。

「熟成醤油ラーメン」の麺大盛り。大きくて分厚いチャーシューも旨い

まずはスープをひと口。鶏ガラのダシ感をカドのとれた醤油のまろやかな味わいが包み込むような、奥行きのある味わい。これっ、これなんだよなぁ。そして、中細のストレート麺も適度なコシがあって旨い。麺を茹でたり、湯切りしたりするのは機械で行っているようだが、いつ、どこで食べてもブレない、チェーン店に求められる味の均一性を実現しているのだ。

巷には醤油ラーメン、というか昔ながらの中華そばをブラッシュアップしたラーメンをウリにしている店は多々ある。しかし、この「熟成醤油ラーメン」の足元にも及ばない店も多い。チェーン店にここまで完成度の高いラーメンを出されてはたまらないだろう

セルフスタイルのチャーハンに苦言を述べたい

「鉄板玉子チャーハン」は、麺を半分以上食べた頃に運ばれた。客が溶き卵とご飯を混ぜるセルフスタイルなのに、ここまで時間がかかるのはいかがなものか。おそらく、鉄板を熱するのにある程度の時間かかるため、混雑のピーク時に注文が集中するとオペレーションが狂ってくるのだろう。

ならば、セルフスタイルではなく、プロが中華鍋を振って作ったチャーハンが食べたいと思うのはワガママだろうか。

客の目の前でスタッフが溶き卵を流し入れてくれる「鉄板玉子チャーハン」。ご飯には下味が付いているようで、具材はフレーク状のチャーシューとネギのみ

物語コーポレーションが運営する別業態のラーメン店で、現在愛知県豊橋市と岡崎市に展開する『濃厚中華そば 餃子 丸福』はサイドメニューに「ヤキメシ」を用意している。ただし、ラーメンとのセット価格は363円と『丸源ラーメン』よりも高い。セルフスタイルにしているのは価格を抑える意味もあるのだろうが、チャーラー好きの筆者としてはやはり物足りない。

写真を撮っていたせいか、玉子が固くなってしまい、ご飯との一体感が今ひとつ

これが溶き卵とご飯を混ぜた状態。筆者は味にパンチを出そうと思い、卓上の揚げにんにくをスプーンに軽く一杯加えて、ガーリックチャーハンにした。きっと、「どろだれラー油」を少量加えてもおいしいだろう。

また、「熟成醤油ラーメン」のチャーシューやネギを熱々の鉄板へ入れて混ぜ合わせたら、より豪華に、よりおいしくなると思った。だからこそ、「鉄板玉子チャーハン」は麺と同時に提供してほしかった

チャーハン以外の部分では概ね、いや、かなり満足度が高かった。何よりもチェーン店ゆえに食べたいと思ったら気軽に行くことができるし、席数も多いので待たされることも少ないのが魅力だ。「熟成醤油ラーメン」が恋しくなった頃にまた行こうと思う。

取材・撮影/永谷正樹

1969年愛知県生まれ。株式会社つむぐ代表。カメラマン兼ライターとして東海地方の食の情報を雑誌やwebメディアなどで発信。「チャーラー祭り」など食による地域活性化プロジェクトも手掛けている。

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