週末手しごと 酒肴二十四節気

おつまみレシピ「ふき味噌」を家のキッチンで「おいしく作る」超簡単な方法

味噌に、ふきの鮮烈なほろ苦さを閉じ込める 69歳、血圧高めのジジイの実家では、立春の頃になると、庭にふきのとうが勝手に出てきました。土の表面にポコッと顔を出す、丸っこい緑のかたまりです。 自生していたものですが、花が開か…

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『おとなの週末Web』は、手料理の魅力も紹介しています。中でもお酒好きなら、お供になる肴にもこだわりたいところ。自宅で作った様々な料理で「おとなの週末」を楽しんでいる年金生活の元男性編集者が、二十四節気に合わせ、自慢の酒肴を紹介します。連載第3回の「大寒」編「やっぱり「平野レミ」はスゴイ…!絶品「旬のしじみ・紹興酒漬け」が超簡単につくれちゃう「最強レシピ」を試してみた」に続く「立春」編です。

立春の頃に出回るふきのとう

2025年の暦では、2月3日が「立春」です。けれど、昨年(2024年)は4日が立春でした。同様に立春の前日と決まっている「節分」(大寒の最終日)も、年によって日が動くのです。これはどのような仕組みで決まるのでしょうか――。

これを決めているのは太陽の周りを回る地球の動きです。

立春は、1年を季節感に沿って24に分けた生活暦「二十四節気」の一つですが、正確には太陽の周りを楕円のように1周している地球の動き、「黄道(きどう)」に沿っています。

暦のうえで1年は365日ですが、実際は365日と6時間ほどかけて、地球は太陽の周りを回っています。この軌道上で地球から315度の位置に太陽がくるタイミングが立春です。そのため、必ずしも一定ではなく、1年に6時間ごと遅くなっているため、うるう年で調整をしても、ずれてしまう年が現れるということです。このように、二十四節気の各節気も年により、日にちが変わるのです。

ちなみに、日本の国立天文台には「暦計算室」というウエブがあり、二十四節気のタイミングを「日時分」単位で知ることができます。

いずれにしろ、立春が春の入り口であることに変わりはありません。八百屋さんの店先には、菜の花が並び、九州からは新じゃがも出荷される季節。この時期のオイラの楽しみは「ふきのとう」です。山菜の一つ・ふきの花芽で、漢字では「蕗の薹」と書きます。

その鮮烈なほろ苦さは「ふき味噌」にすると際立ちます。道の駅などに立ち寄ると、よく瓶詰めになったものが並んでいる、アレです。もともと山里などの土があるところに勝手に出てくるものなので、元手がかかりません。それを、地元のおばあちゃんが手作りして並べているような「田舎の総菜」なのです。

こいつがたまらなくうまい。たとえると、味噌に春が閉じ込められているような味わいです。おにぎりの具にもなりますが、酒と一緒にちびちび味わうのもオツなものです。

「ふき味噌」の作り方

ふき味噌の作り方はとても簡単です。手順としては、ふきのとうを刻んで油で炒め、酒やみりんを加えてから味噌であえるだけなのです。

ただし、ふきのとうは、包丁を入れるとまたたく間に切り口が黒っぽくなっていきます。空気に触れることで色が変化するのでしょう。そのため、仕込みは手早くやりたいところです。

また、道の駅などで売られているふき味噌は、概して甘めです。「ふき味噌瓶詰め」のラベルにある内容表示を見ると、使用している材料の多い順に「味噌、砂糖、ふきのとう……」などとあります。つまり、ふき味噌なのに、肝心のふきのとうは案外少なく、味噌と砂糖のほうが多い場合もあるということです。

オイラの好みは、甘さ控えめ、塩分控えめなので、使う分量は多い順に「ふきのとう、酒、味噌、みりん……」としています。つまり砂糖は使わず、みりんの甘みだけを加えています。

そこはお好みですが、砂糖を加えるなら、味噌の4分の1くらいの分量がよいでしょう。味噌であえる前に砂糖を加え、炒めたふきのうとうと混ぜ合わせるのがよいと思います。

仕込み編

1)ふきのとうは、30個(おおよそ300g)を用意する。
2)よく洗い、ザルなどに上げ、水気をきる。※30分ぐらい放置しましょう。


3)水気がきれたら、ふきのとうのヘタ(摘み取った切り口)の黒っぽい部分を、包丁ですべて落としておく。
4)そのうえで、ふきのとうを刻む。縦半分に包丁を入れ、さらに縦半分に切ってからさらに刻んでいく。ふきのとう自体の食感を残すため、ざく切り程度に刻む。※スピードカッターで刻むことでも大丈夫ですが、あっという間にこまかくなるので、そこはご注意ください。

調理編

1)フライパンにごま油(大さじ2)を入れ、種をとった赤唐辛子1本を弱火で熱する。
2)赤唐辛子が油になじんできたら、刻んだふきのとうを入れ、弱火のまま炒める。少ししんなりしてきたら、酒(100ml)を加え、中火にして酒分を飛ばす。


3)ふきのとうに火が通ったら、みりん(50ml)を回しかけ、いったん火を止める。
4)ふきのとう30個に対しての味噌の分量は60g(大さじ4)。7)のフライパンに味噌を加えたら、再度加熱し、全体がなめらかなペースト状になるまであえる。※味噌を加えると、水分が一気に出てきますので、火加減は中火~強火にして水分が飛ぶまで炒めます。
5)ガラスボウルなどにあけて、さます。完全にさめたら、赤唐辛子をキッチンバサミなどで輪切りにカットし、混ぜ合わせたうえで保存用の瓶などに入れる。

オイラは少しさめたら、ラップをして半日ぐらい放置しておきます。

そのうえで、熱湯消毒し乾燥させておいた瓶に詰めています。ふきのとう30個(300g)+味噌60gで、容量45g瓶なら6個分はできる感じです。経験上、1~2か月は日持ちします。冷凍保存する場合は、ジップロックなど冷凍保存袋に入れてから冷凍するのがよいと思います。

味噌に、ふきの鮮烈なほろ苦さを閉じ込める

69歳、血圧高めのジジイの実家では、立春の頃になると、庭にふきのとうが勝手に出てきました。土の表面にポコッと顔を出す、丸っこい緑のかたまりです。

自生していたものですが、花が開かないうちに摘み取り、刻んで味噌汁に入れたり、丸のまま天ぷらにしたりと、そのほろ苦い味わいで春を実感していたものです。

現在、ふきのとうは出荷用として露地栽培やハウス栽培もされていますが、八百屋さんやスーパーに出回るのはやはり春先の時期だけでしょう。そこで、オイラは立春の前後から、八百屋さんを行脚してふきのとうを買い求めています。クルマで遠出した折に、道の駅で大量買いすることもあります。

なぜ、行脚するのか? ふきのとうは価格差がはげしいのです。

とくに出始めの「走り」の時期は高値で、高級スーパーの明治屋さまなどでは「10個1000円」も当たり前。重さにすれば100gあるかどうかです。また、ネットでもメルカリとかでは「300g以上。2222円(税込み送料込み)」という相場。300gというと、普通の大きさのふきのとうなら30~40個ほどですから、とんでもなく高価です。

でも、普通の八百屋さんやスーパーでは立春を過ぎる頃には、10個300円台(たぶん100gほど)くらいから並ぶことが多いのです。

ふき味噌として保存用に作るには、ある程度の量も必要です。おすそ分けもしたいので小さな瓶に入れ、5つ6つ作るためには30個は欲しいところ。したがいまして、「ふきのとう行脚」をなさるなら、走りの時期を避け、2月中旬以降がおすすめと思います。

……つづく「こんなうまいものがあるのか」…20歳の青年が、オホーツクの旅で《ホタテ貝の刺し身》に感動し始めた「意外な商売」では、宮城県三陸のひとりの養殖家が、うまいカキを探しに世界中を旅した話を明かします。

文・撮影/沢田浩

さわだ・ひろし。書籍編集者。1955年、福岡県に生まれる。学習院大学卒業後、1979年に主婦と生活社入社。「週刊女性」時代の十数年間は、皇室担当として従事し、皇太子妃候補としての小和田雅子さんの存在をスクープ。1999年より、セブン&アイ出版に転じ、生活情報誌「saita」編集長を経て、書籍編集者に。2018年2月、常務執行役員パブリッシング事業部長を最後に退社。

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