ュードッグ)とTeenage Brewing(ティーンエイジ ブルーイング)のコラボビールです。「PUNK IPA」と「HAZY JANE」を大胆にオマージュしているのです。2025年3月下旬発売に先駆けてひと足先に飲めるチャンスをいただいたので、コラボビールと元のビールを飲み比べてみました。
画像ギャラリークラフトビール好きの間で話題を集めている、あのビールの缶がまもなく発売されます! そう、BREWDOG(ブリュードッグ)とTeenage Brewing(ティーンエイジ ブルーイング)のコラボビールです。「PUNK IPA」と「HAZY JANE」を大胆にオマージュしているのです。2025年3月下旬発売に先駆けてひと足先に飲めるチャンスをいただいたので、コラボビールと元のビールを飲み比べてみました。
ビールと音楽で世界を変える!本気のコラボに震える
クラフトビールの出合い方はさまざまだが、この1本をきっかけに沼にハマったというビールがあるだろう。そのひとつに「PUNK IPA」を挙げる人は多いのでは。
「PUNK IPA」は、イギリスNo.1のビールメーカー「BREWDOG」誕生のきっかけとなったビール。大量のホップを投入することで生まれる爆発的なトロピカルフルーツを思わせる風味とキャラメルの香りに、シャープな苦みが余韻として残っていく。
いわゆる日本の大手メーカーのビールとは一線を画す味わいは、ビールの世界を広げてくれるだろう。その影響を受けたひとりが、埼玉県ときがわ町のブルワリー「Teenage Brewing」の代表・森大地さんだ。
「Teenage Brewing」は2023年6月に創業。その名の通り、10代の頃にあった恐れを知らない飽くことのない探究心から生まれる斬新なビールは話題を呼び、今ではビアフェスでブースに列ができるほどの人気を集めている。
実は私、創業してから3ヶ月後に近所の酒屋さんで購入した「MY BROTHER WOODY(CYPRESS)」を飲んだところ、ヒノキ香るサワーエール(酸味のあるビール)に衝撃を受け、翌週にはブルワリー併設のタップルーム「”bekkan”」にも足を運ぶほどドハマり。それ以来すっかり大ファンになり、『おとなの週末』2023年12月号の巻頭コラムでも取り上げさせていただいた。
実は森さん、現役のミュージシャン。レコードレーベルの運営もしており、今でも音楽との関わりは深い。「音楽に人の心を動かす力があるのと同じように、ビールにも飲む人の感情を揺さぶることだってできる」と、ビールと音楽の共通性を語る。
BREWDOGもそうだが、ビールと音楽を愛するブルワリーだけあって、2023年10月の段階でコラボレーションビールを実現するほど早い段階で関係を深めている。そして、2025年。今回は新プロジェクトを立ち上げることになった。掲げるコンセプトメッセージは、「さぁ、世界をビールと音楽で変えてやろう。」である。ワクワクするではないか。
その第1弾として発表されたのが、BREWDOGの代表作「PUNK IPA」「HAZY JANE」をオマージュした特別な2種類のコラボビール「Teenage Punk IPA」(1430円)と「Teenage Hazy Jane」(1780円)である。
※価格は、「Teenage Brewing」タップルームでの販売価格です。
2025年2月に「JAPAN BREWERS CUP 2025」や、クラフトビアバーでの一斉同時開栓イベントですでに生ビールを飲まれた方も多数いるだろう。
今回はその生ビールではなく、缶ビール。2025年3月下旬発売の注目のビールである。せっかくなので飲み比べてみた。
苦みの余韻はそのままにホップの香りがガツン
まずは、「PUNK IPA」と「Teenage Punk IPA」から。
「PUNK IPA」は、グレープフルーツやライチのトロピカルとキャラメルな香りのあとにくるシャープな苦みがたまらない。久々に飲んだけど、やっぱりおいしい。これぞ名作といったところだ。
続いて「Teenage Punk IPA」をいただく。スタイルはDDH West Coast IPA(ダブルドライホップ ウエストコースト アイピーエー)。色はこちらが少し濃く、その見た目通りホップの香りをガツンと感じたあと、苦みがしっかりやってくる。
麦芽とホップの構成はPUNK IPAのレシピを元にしながら、ホップ(シトラ、ネルソンソーヴィン)を増量。さらにリワカというホップを新たに投入している。それだけでなく、発酵中のビールにホップを投入して香りづけをするドライホッピングという手法を行うことで、香りがしっかり感じられるようにしているのがお見事。
PUNK IPAよりもフルーティな香りが広がり、幾重に重なるホップ感もある、クラフトビール好きはニンマリする味ではなかろうか。しかも、PUNK IPAよりアルコール度数が1%高い6.5%とあって飲み応えあり。
本来だとここで、こういう料理が合いそうというペアリングの話をするのだが、「Teenage Brewing」では、ペアリングを音楽で提案している。それぞれのビールの缶の側面に表記されているのだ。今回はそれに準じて楽しむとしよう。
「Teenage Punk IPA」に書かれていたペアリングミュージックは、SEX PISTOLSのアルバム『Never Mind the Bollocks,Here’s tha SEX PISTOLS』。SEX PISTOLSの最初で最後のオリジナルアルバムである。PUNK IPAで感じる初期衝動のようなものをより増幅させ、ちょっと尖った気持ちでグビッといきたくなる。
もう1枚書かれていた。モグワイが1997年にリリースした『Young Team』だ。BREWDOGがあるスコットランド発のバンドによるデビューアルバム。このCDのジャケットには富士銀行の看板を配されていることから、日本との融合も意識した?(日本盤では看板は黒塗りだったとか)
ピストルズと違って、こちらはポストロック。「Young Team」というタイトルもそうだが、発表当時のメンバーの平均年齢が18歳と考えると、これもまた違った形での初期衝動である。
収録曲の多くが静と動を感じる構成になっていて、「Teenage Punk IPA」を飲む際に感じるトロピカルな味わいから押し寄せる苦みがまさにそれ。静寂を突き破る轟音の如し。30代のころだったらピストルズで楽しんで飲めていたが、40代に入った今ならモグワイのような楽しみ方も理解できる。
というのも、「Young Team」の方がアルバム1枚を聞いているうちに酔いがまわり、音に没入していく心地よさがあったからだ。あれはなんともいえない体験だった。イヤホンやヘッドホンで聞いていたらちょっとヤバかったと思う。
ティーンエイジファンを公言しながらどうしてもフードと合わせがちで、この楽しみ方ができていなかったのですが(ごめんなさい)、音楽とちゃんと向き合って飲むとかなり面白かった。
アルコール8.5%なのに飲み口がなめらかで重くない
今度は、「HAZY JANE」と「Teenage Hazy Jane」を飲み比べる。
「HAZY JANE」はニューイングランドIPAというスタイル。濁りのある液面の見た目からヘイジーIPAとも呼ばれ、数年前にクラフトビール界を席巻。今では定番のスタイルになっている。
飲んでみると、苦みが少なくパイナップルを思わせるトロピカルな風味が感じられる。なめらかな飲み口で非常に飲みやすい。
「Teenage Hazy Jane」は、より濁りが強いビジュアル。グラスを口に運んだ時点で香るトロピカル感はすでに「HAZY JANE」超え。飲むと、とにかくジューシー。濃厚。それもそのはず、ホップの使用量は、Teenage史上最高だという。
「HAZY JANE」に戻るとかなり軽く感じるので、ホップの量で個性を出したというのがよくわかる。
ちなみにこちら、DDH DIPA(ダブルドライホップ ダブルアイピーエー)というスタイルで、アルコール度数はHAZY JANEより3.5%高い8.5%。それでもグイグイいきたくなる飲み口なのがすごい。そこは「HAZY JANE」リスペクトのスムース(なめらか)な飲み口をもたせているからかもしれない。Teenage Brewing、恐るべし。
こちらも曲のペアリングを楽しむとしよう。こちらはアンダーワールドの代表曲『Born Slippy Nuxx(ボーン・スリッピー:ナックス)』である。映画『トレイン・スポッティング』の挿入歌でご存知の方もいるだろうか。個人的に大好きなアガる1曲である。
濃厚なビールとボーン・スリッピーのペアリングは、脳内に重低音が直撃。このままBPMが高めの曲に溺れていきたくなるのは酔っているからだろうか。
もうひとつ書かれていて、こちらはアルバム。Aphex Twin(エイフェックス・ツイン)の『Selected Ambient Works 85–92』。アンビエントゆえ心地よいサウンドでちびちびいきたくなる。『ボーン・スリッピー』はグイグイ飲んでしまうから酔いが加速してしまう(最高に楽しいんだけど)。うーん、どっちもいい。
とまぁ、4本を飲み比べるとさすがにヘロヘロ……。みなさんはもっとちびちび飲んで、素晴らしいコラボレーションをお楽しみください。
取材・文/編集部えびす
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