旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■クイズの答えは……
正解:ゆりね
難易度:★★☆☆☆
おがくずに包まれた超デリケートな野菜
ゆりねはその名の通り、ゆりの花の根(球根)の部分です。ただし、すべてのゆりの球根が食べられるわけではありません。食用とされるのは主にヤマユリ(山百合)、オニユリ(鬼百合)、コオニユリ(小鬼百合)の球根です。ちなみに、食用のゆりねを土に植えても、園芸用のものと同様、写真のような花(写真はオニユリ)を咲かせることもできるのです。
収穫のピークは11月から2月頃まで。特に、年末年始にはスーパーでも頻繁に見かけるようになります。ただし、他の野菜より少々お値段は高めです。その理由は、種球根を育てるのに約3年、さらにそれを植え付けて出荷用として収穫するまでに約3年と、収穫されるまでにとても手間と時間のかかる野菜だからです。
加熱するとほくほくとした食感となり、優しい甘みとほろ苦さが口に広がります。下処理に手間がかかりそうですが、花びらのような鱗片を1枚ずつはがすだけで完了です。あとは素揚げにしたり、かき揚げにしたり、炒めものにしたりと、さまざまな料理に活用することができます。
ゆりねはひとつひとつ丁寧におがくずに包まれて販売されています。その理由は、ゆりねはデリケートで、乾燥に弱く、こすれたりしただけで傷が付いて変色してしまうためです。おがくずで包むことで、乾燥を防ぎ、衝撃から守っているのです。
美味しいゆりねの見分け方
全体的に白く、黒や茶色に変色しているところが少ないもの、鱗片に張りがあり、ギュッと締まりがあるものを選びましょう。また、全体的に紫がかったものは苦みが強い可能性があるので避けましょう。
おがくずの中に入れて、冷蔵庫に保管すれば約1カ月くらいは保存が可能です。冷凍保存する場合は、鱗片を1枚ずつばらしてサッと塩茹でしてから冷凍しましょう。
ちなみに、園芸用のゆりねは食用にはできません。
ゆりねの注目栄養素
食物繊維、カリウム、葉酸などの栄養素が含まれています。特に、カリウムの含有量は野菜のなかでもトップクラスとなっています。カリウムは余分なナトリウムを排出する働きがあるため、塩分の摂りすぎが気になる人にお薦めです。また、むくみ改善、高血圧の予防もサポートします。
滋養強壮、鎮咳、利尿、去痰などの効果がある生薬としても用いられています。その場合は「百合(ビャクゴウ)」と呼ばれます。