旬の食材は食べて美味しいだけではなく、栄養もたっぷり。本コーナーでは魚や野菜、果物など旬食材の魅力をご紹介します。
さて、今回のテーマとなる食材は?
文/おと週Web編集部、画像/写真AC
■ぷちっと
正解:いくら
難易度:★☆☆☆☆
すじことの違いは?
いくらは、鮭や鱒の卵をほぐして一粒ずつにした魚卵で、日本の食卓では高級食材として親しまれています。
語源はロシア語の「икра(いくら)」で、もともとは魚卵全般を指す言葉でしたが、日本では鮭の卵を指すようになりました。
原産地は日本では北海道や東北地方が中心で、とくに北海道の釧路や根室、東北では宮城県や岩手県が主な産地です。これらの地域では鮭漁が盛んで、鮮度の高い卵が手作業で丁寧に加工されるため、質の高いいくらが生産されています。
旬は秋、とくに10月から11月がもっとも美味しい時期とされています。この時期は鮭が産卵のために川に遡上するタイミングと重なり、卵の成熟度が高く、膜の硬さや弾力がちょうどよくなるため、プチプチとした食感が際立ちます。
漁期の初期は柔らかめ、後半は膜が硬くなりすぎる傾向があるため、漁期中盤のいくらがもっともバランスがよいとされています。
なんといってもプチプチとした弾ける食感と濃厚な旨味が魅力。鮭いくらは粒が大きく、コクが深くて濃厚な味わいがあり、鱒いくらは粒が小さく、あっさりとした味わいで飾り付けなどに向いています。醤油漬けにすると甘じょっぱい味が加わり、ご飯との相性が抜群になります。
おせち料理にも欠かせない存在で、紅白の彩りを添える役割も果たします。また、卵焼きにトッピングしたり、冷製パスタやサラダに加えたりと、洋風のアレンジにも使われています。
いくらとよく混同されるのが「すじこ」ですが、両者はもともと同じ鮭や鱒の卵です。違いは加工方法と卵の成熟度にあります。
すじこは卵巣膜に包まれたままの状態で塩漬けなどにされ、粒が未成熟で小さく柔らかいのが特徴です。
ただし、すじこをほぐせばいくらのような見た目にはなりますが、卵が未成熟な段階で漬けられたすじこの場合、粒が小さく皮が柔らかいため、いくら特有のプチッとした食感は出にくいことがあります。
見た目がそっくりな「人工いくら」も存在します。これは海藻由来のアルギン酸ナトリウムを使って膜を作り、中身にはゼラチンやカラギーナンなどの増粘剤を使って再現された加工食品です。
色はニンジン由来のβカロテンなどで着色され、油で“目玉”を作ることで本物に近づけています。味は調味料で補われているため、天然より塩気が強く、香りも控えめです。業務用としては使われていますが、一般市場ではあまり見かけません。