十三で見つけた立ち食い焼肉屋「カンテキ」が絶品すぎてヤバイ!
話は、2014年3月まで遡る。 阪急十三駅西口を出て右手にあった下町情緒あふれる「しょうべん横丁」が火災に見舞われて、39店もの飲食店が焼失。 ミナミにある法善寺横丁に続いて、またしても風情のある横丁を大阪は失い、復興まで約2年半の歳月がかかった。 約2.5mしかなかった道幅が4mに拡張され、新規参入した飲食店が劇的に増えるまでとなった――。
「かつてのしょんべん横丁はお客が地元民ばかりで、ひと癖もふた癖もある人が多かった。 それが復興後から阪急沿線のサラリーマンやOLたちが立ち寄る横丁に変貌。 あえて身分を明かさず一人飲みするお客も多くて、大企業の社長や某国立大の教授がふらり立ち寄る場所となった。 こっちも職業なんて聞かないし、仲良くなっても何をしているか知らない人ばかり」(40代の常連客) そんな人たちに愛されている立ち飲み焼肉がある。 それが「さすらいのカンテキ十三酒場」。 とにかくコダワリが凄いねん。
「和牛精肉」(980円)は、黒毛和牛A4等級を使用。 一人前でこのボリュームだ。 「お店では利益が出ないメニューといわれていて、風味と甘み、どれをとってもココでしか食べられない」(前出)
値段の秘密は、形が整っていないブロック肉を調達すること。 この値段で食せるのは、お店の苦労の賜物以外、なにものでもない。 肉は塩、タレの2種類から味を選べる。 この日は塩を注文。 タレ肉の場合はポン酢に九条ネギ。 塩だとマル秘レシピの、特製塩となる。
この特製塩がキモだった。 レシピは企業秘密とのこと。 そして、「牛ホルモン(ホソ・テッチャン・アカセン)」(680円)と、「さすらいの黒牛上ミノ」(780円)のこの美しさ。 ホルモンがこれほど甘いと感じたのも、特製塩によって際立たせているからだ。
何度もいうがこの量でこの値段。 安すぎちゃう!?
このミノの食感と風味を味わうと、ライスがほしいとは思えない。 ずっと食べていられる美味しさと、見た目の美しさだ。
肉だけでなく、「明太チャンジャ」(400円)も、ぜひ食べてもらいたい一品。 ほど良い噛み応えに明太味。 新たな発見である。
実は裏メニューに「キーマカレー」(600円)がある。 この日は食せなかったが、スタッフの気分によってある場合とない場合も……。 「お昼の弁当にするといって、持ち帰る人もおる(笑)」とは20代の常連客。 カレーはあればラッキーで、当のお店自体も「月の半分しか営業してない。 もっと営業してくれ!」と本気で訴える。 常連客は開店を確認してから来店するのも今ではルーティンだ。 屋号と同じで実に“さすらい”らしいのだ。 「実はこの店で嫁と出会って結婚したんです。 結婚式の3次会はこの店。30人で来たからギュウギュウでした(笑)」 この店の出会いで人と人が繋がる。 しょんべん横丁らしい風情が、まだこのお店には残っていた。
さすらいのカンテキ [住所]大阪市淀川区十三本町1-4-18 [TEL]070-4307-0032 [営業時間]17:00~24:30 [定休日]不定休
加藤 慶(かとうけい) 大阪在住のライター兼カメラマン。週刊誌のスクープを狙う合間に関西圏の旨いモンを足で稼いで探す雑食系。
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