撮り鉄の『車中食・車外食』

撮り鉄の「食」の思い出(41) 地吹雪の津軽鉄道ストーブ列車と「けの汁」/~2018年

ストーブ列車と地吹雪で有名な津軽鉄道は、その名の通り津軽平野を走ります。 冬将軍の力が強くなると、地吹雪も強烈に吹き荒れます。 いったん降り積もった雪は低温でサラサラ。それが北風で飛ばされて地吹雪になります。 こんな地吹雪の中を走るストーブ列車、かっこいいです……。

画像ギャラリー

地吹雪の津軽鉄道ストーブ列車と「けの汁」/~2018年

ストーブ列車と地吹雪で有名な津軽鉄道は、その名の通り津軽平野を走ります。
冬将軍の力が強くなると、地吹雪も強烈に吹き荒れます。
いったん降り積もった雪は低温でサラサラ。
それが北風で飛ばされて地吹雪になります。

こんな地吹雪の中を走るストーブ列車、かっこいいです。

[地吹雪をついて走るストーブ列車(2018年撮影)]

[地吹雪を抜けてきた気動車は凍てついている(2009年撮影)]

津軽鉄道は、五能線の五所川原駅に隣接した津軽五所川原駅から北に向かい、津軽中里駅までの20.7Kmの路線です。
始発の津軽五所川原駅は、昭和を感じる懐かしいタイプの駅です。
引き戸を開いて待合室に入れば、少し暗めの室内に時刻表が明るく見えます。
この時刻表が達筆な手書き文字で、たまらない雰囲気です。

[始発駅の津軽五所川原駅(2006年撮影)]

[待合室の、手書き文字の時刻表もたまらない雰囲気(2018年撮影)]

ホームにやってきたストーブ列車に乗り込むと、これまたレトロで素晴らしい!
昔ながらの直角シートに、1両に2カ所ずつだるまストーブが付いています。
そして、ほんのりスルメの香りがしています。

[レトロなストーブ列車の車内(2010年撮影)]

ガタンとゆれて列車が走り始めます。
町を抜けて草原に出ると、吹き付けた雪が窓の隙間から入ってきて、これもなかなか。
車内が冷えてくると、車掌さんがストーブに石炭をくべてくれます。

[車掌さんが石炭をくべてくれる(2018年撮影)]

そして、車内販売で売っているスルメを購入。
熱くなったストーブであぶると、いい香りがしてきます。
乗り合わせた乗客の方と、あつあつのスルメを分け合って食べたり、話をしたり……。
ストーブ列車の楽しさです。

[ストーブの上でスルメを焼く(2018年撮影)]

このストーブ列車を牽引するのは、ディーゼル機関車。
年代物で、1952年製造の車両。
クラシックな佇まいといい、SLのように車輪に付けられたロッド式(車輪を繋ぐ棒で動力を伝えるタイプ)といい、鉄道ファンにはたまらない車両です。

[年代物の機関車DC20形が牽引する(2008年撮影)]

ただし平日の午前中など、乗客が少なくて客車が1両の場合などは、機関車が付かず、気動車が牽引することもあります。

[客車が少ないと、気動車牽引のこともある(2018年撮影)]

さすがに地吹雪地域の鉄道だけあって、過去何度か冬に訪れた際には、地吹雪を理由に運休したり、大きく遅れたことは一度もありません。
日本最北端の私鉄(路面電車、地下鉄を除く)である津軽鉄道、ぜひ冬に出かけてみてください。

2018年に行ったときには、撮影が終わった夕方から、更に地吹雪がすごいことになりました。
各地で地吹雪の経験はあるのですが、BEST3に入るくらいの強烈さです。
車を運転していて、とにかくワイパー全開で動かしても、ワイパーしか見えません。
しかも悪いことに、車列の先頭になったまま日が暮れてきます。
ハザードランプを出して車を止めても、後ろの車は前に行ってはくれません……。
当然、この状況では誰も先頭を走りたくはないです。
テールランプが見えたら止まれる時速20Kmくらいで走り、ひどい場所では風下の窓をあけて道を示す
赤いポールとの距離を確認しながら運転です。
開けた窓から吹き込む雪に凍えながら、冷や汗をかくという状況で30分ほど走って、ようやく郊外型のスーパーマーケットに避難できました。
(さすがにブログ用写真を撮る気持ちの余裕がありませんでした……。)

旅の楽しみ。郷土料理の「けの汁」に、車中料理でチャレンジ!

一息ついて、夕ご飯の買い出しです。
「今日はあったかいものが食べたい!」という頭で店内を回ります。
目についたのは、津軽地方の郷土料理「けの汁」の水煮です。
よし!
これだ!
けの汁は以前、青森駅前のお店で食べたことがあります。

[以前、青森駅前のお店で食べた「けの汁」(2015年撮影)]

これならば、温まりそうです。
いつものように、近くにいたお母さんに、作り方のリサーチです。
けの汁のパックをもって、「すみません。けの汁って、どう作るんですか?」と尋ねると……。
「後ろに書いてあるわよ」
……。
「まあ、みそ汁のつもりで作れば、何か入れても足りなくても大丈夫」
 リサーチ完了です。

[津軽地方の郷土料理、けの汁の水煮(2018年撮影)]

[裏には、がっつり作り方が書いてあった(2018年撮影)]

偶然、前日に秋田の豆腐屋で手作りのお揚げと冷凍の高野豆腐を買っていたので準備は万端です。
(あとで、ひとつ買い忘れがあったことに気づく……。)
車内料理、今回は簡単です。
パックの中身をさっと流して、刻んだお揚げと高野豆腐を合わせて煮ます。
よく煮えたところで、味噌を入れて完成です。

[具材を合わせ、出汁で煮て味噌を入れるだけ。簡単(2018年撮影)]

野菜は塩蔵の山菜と人参、ゴボウ、大根といった根菜類。
それに乾物。
やっぱり、野菜の少ない冬に食べていたのでしょうか?

[車中料理「けの汁」完成! (2018年撮影)]

食べてみると具だくさんで、温まります。
さすがに、地元に根付いた料理です。
ただ今回は、刻んだ大豆を入れ忘れていました。
次回作るときには、しっかり作ります……。
ストーブ列車、地吹雪直撃、けの汁……、冬の津軽を堪能した旅でした。

佐々倉実(ささくら みのる)
 鉄道をメインにスチール、ムービーを撮影する“鉄道カメラマン”、初めて鉄道写真を撮ったのが小学生のころ、なんやかんやで約50年経ってしまいました。鉄道カメラマンなのに撮影の8割はクルマで移動、列車に乗ってしまうと、走るシーンを撮影しにくいので、いたしかたありません。そんなワケで年間のかなりの期間をクルマで生活しています。趣味は料理と酒! ヨメには申し訳ないのですが、日々食べたいものを作っています。
 鉄道旅と食の話、最新の話題から昔の話まで、いろいろとお付き合いください。
 ちなみに、鉄道の他に“ひつじ”の写真もライフワークで撮影中、ときどきおいしいひつじの話も出てきます。なにとぞご容赦ください。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

画像ギャラリー

関連キーワード

この記事のライター

関連記事

HD-2D版『ドラクエIII』発売記念! 『ローソンストア 100』とコラボ商品「スライムむしパン」や「勇者のおにぎり」が登場、レジからはレベルアップ音が流れる盛り上がりっぷり

カルフォルニア発のライフスタイルブランド「カバリーニ」社のウォールカレンダー「バードウォッチ」プレゼント!! 美麗なイラストに癒される逸品

大注目の映画『対外秘』のグッズを3名様にプレゼント!! 国会議員選挙に立候補し 国と国民に尽くそうとした男の復讐劇が見逃せない

【タイパ抜群】すぐにおいしい鍋が食べられるヤマキ『楽チン鍋』2種類を5名様に“プレゼント” 寒い季節にピッタリの逸品

おすすめ記事

名古屋のコーヒーは量が多い!?コーヒー好き女優・美山加恋がモーニングでその真相を知る

肉厚!もつ煮込みがうまい 創業70年の老舗『富久晴』はスープも主役「ぜひ飲み干して」

東京、高田馬場でみつけた「究極のラーメン」ベスト3店…鶏油、スープ濃厚の「絶品の一杯」を覆面調査

禁断の2尾重ね!「うな重マウンテン」 武蔵小山『うなぎ亭 智』は 身がパリッと中はふっくら関西風

この食材の名前は? やせた土地でも育ちます

満腹でも気分は軽やか!東京産食材にこだわったヘルシービュッフェ を提供 八重洲『ホテル龍名館東京 花ごよみ東京』

最新刊

「おとなの週末」2024年12月号は11月15日発売!大特集は「町中華」

全店実食調査でお届けするグルメ情報誌「おとなの週末」。11月15日発売の12月号は「町中華」を大特集…