茨城県の東南端、神栖市波崎は鹿島灘を臨み、昔から水産加工品製造が盛んなエリアだ。そこで明治15年創業の老舗、『鴨安商店』が作る伝統の味「いわし桜干」もまた、最高金賞受賞の見逃せない逸品だ。
画像ギャラリー鴨安商店
昔ながらの手間と製法でいわしの旨みが深く凝縮
第21回農林水産祭で最優秀賞に当たる天皇杯も受賞している。
使われる原料は、年間数日程度しか水揚げされないという、脂肪含有量が少ない小型で良質な片口いわし。これを昔と変わらずすべて手作業で、丁寧に仕上げていく。専務取締役の鴨川正治さん曰く「魚の旨みを凝縮させた、量産できない味」だ。
冷凍保管したいわしを一尾ずつ手開きし、砂糖と塩だけで調整した秘伝のタレにゆっくり2日間浸漬する。煮沸、精製を繰り返して引き継がれてきたタレには、いわしの旨みが溶け込んでいる。それを天日で十分に乾燥させるのだ。仕上がりは透き通った飴色。弱火でゆっくり炙って食べれば、やわらかく香ばしい。いわしの旨みが味わい深く凝縮して、手が止まらなくなるのだ。
お店からの一言
「前処理からどの工程も丁寧にやっています」
鴨安商店の店舗情報
[住所]茨城県神栖市波崎2468 [TEL]0479-44-0714
撮影/貝塚 隆 取材/池田一郎
2019年4月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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