酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧元氏。「ポテサラ学会」の会長でもある氏が、ポテサラが旨いと評判の店に足を運び、その美味しさを伝えるコーナーの第3回です。
画像ギャラリー酒のつまみは数あれど、とりわけポテトサラダをこよなく愛すマッキー牧元氏。「ポテサラ学会」の会長でもある氏が、ポテサラが旨いと評判の店に足を運び、その美味しさとビールとの相性を語る――。
ポテサラ界にカルボナーラが登場!?
「ポテサラの上手な撮影方法を教えてください」。
どんな料理も食前にパシャリと撮影。家に帰ると、その写真を独自のデータベースに保存しているというマッキー氏に、ポテサラの出来上がりを待つ間にそんな質問をしてみた。料理だけで数千、ポテサラに限っても何百も撮影してきた氏に構図の撮り方など伺えば、インスタなどで評判になる写真がきっと撮れるはず。
「大切なのはジャガイモの質感を出すこと。ところがよく練ったポテサラは白い上に表面がつるりとしているので、質感が出しづらい上に、ピントも合わせづらくて、実は撮影が難しいんだよね。そこでいかに陰影をつけて質感を出すか、それに限るんじゃないかな」。なるほど!
そんな会話をしていると待望のポテサラが登場。それを見た瞬間、マッキー氏の目が輝く。
「だから、今回のような表面に凹凸のあるポテサラは撮るのが簡単で楽しいんだよ!」
早速カメラを向け、シャッターを押すマッキー氏。しかしその目の輝きは、ポテサラを口にした瞬間になくなってしまう。いや、正確には、笑みで表情が崩れ、目が細くなってしまったというわけだが。そして「これは面白い!」が、氏がポテサラを口にした直後の最初の言葉だ。
食べ飽きさせない、こだわりのポテサラ
こちら『夕』のポテサラは、これまでの滑らか系とは打って変わって、揚げたて熱々のフライドポテトを使用しているのだ。それを厚切りのベーコン、オニオンスライス、マヨネーズ、米酢、マスタード、パルミジャーノ、粗挽き黒胡椒と和えて完成というタイプ。
写真撮影によし、食べてよしのこのポテサラは、店長の五十畑豪人氏曰く「農家の方との会話から生まれたもの」なのだそう。
「農家の方に聞いたんです。ジャガイモの一番美味しい食べ方は?って。そしたらホクホクしていて香ばしい『フライドポテト!』だと教わって。そこからレシピを考えて、出来上がったものなんです」
ちなみに使用するポテトは、「山梨の契約農家から届く産直のものが中心で銘柄はその時々で違いますが、馬鈴薯やキタアカリなど、その時に状態が一番いいのものを使用しています」とのこと。
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スズのタンブラーで飲む『赤星』もまた旨し
ほうほう。店長の話に笑顔でうなづきながらも、食べる手が止まらないマッキー氏。
「ベーコンの塩味がジャガイモを呼び、ポテトを食べるとベーコンが欲しくなって。これは箸が止まらないよ」
瞬く間に半分を食べ終えると、『赤星』をゴクリ。
「そして『赤星』の苦味。これが口の中をすっきりさせてくれて、またポテサラが食べたくなる。
ところで、このタンブラーはスズだけど、スズは温度変化が緩やかなのでビールの冷たさが保たれやすい。それともうひとつメリットがあって、スズで飲むとビールの角が取れて柔らかな味になるんだよ」。
確かに薄はりグラスとスズのタンブラーで飲み比べると、『赤星』の苦味がまろやかなになったのが感じられる。不思議だ。
「どうしてそうなのか、その理由はわからないけど、器で味を変えて楽しむのも面白いよね」
そう言うと、再びポテサラを堪能し始めるマッキー氏。そして、器をキレイに空にすると、
「いやあ、本当に面白く美味しいポテサラでした。それにさ、メニュー名が『じゃがいもと炒めベーコンのあったかいポテトサラダ』でしょ。これだけだと、まさかフライドポテトのポテサラが出てくるとは思わないもんね。その驚きもいいよ」と、ご満悦。
では最後に、今回もこのポテサラを家族に例えてもらいましょう。
「今回はね、じゃがいもとベーコンががっぷり四つに組んで、どちらが主役とは言えないんだよなぁ……そうだなあ、長男が六本木のクラブでドイツ人と意気投合。このままウチに来て、一緒に飲もうぜと。その家飲みに長男家族も参加して、日本の味はこうだ、ドイツの味はこうだなんて、楽しく国際交流が図られている。そんなイメージかな(笑)」
ちなみに「でも、ドイツには“ポテトサラダ”と言う名前の料理はないんだけどね」。。
コレも『赤星』に合います!
日本酒と国産ワインを豊富に揃える『夕』が瓶ビールに『赤星』(中・810円)を置いているのは「何より美味しいから。そして苦味とキレのバランスが良く、料理に合わせやすいのが理由です」。
そんな『赤星』をこちらで楽しむなら、先の来る客のほとんどが頼むという「じゃがいもと炒めベーコンのあったかいポテトサラダ」972円のほかに、「アオリイカと新キャベツの“クリームコロッケ”」4個・1080円や、牛すじと人参や大根といった旬の根菜類を塩味の鰹出汁で煮た「国産牛スジと根菜の“塩煮込み”」1296円がオススメ。
前者はズワイガニやキノコなど、内容がその時々の旬材に変わるが、香ばしく揚げられたコロッケと冷えたビールの相性はやはり抜群。口に残る揚げ油やクリーム感をさっぱりさせてくれるので、飽きることがない。4個あるが、すぐさまペロリだ。
後者も牛スジの脂の甘みやコク、プルンとしたゼラチン質、根菜の匂い、ホクホク感……料理の様々な要素が『赤星』の苦味、香りに実によく合う。
冬ならではの、温×冷の絶妙なる組み合わせを楽しむために、ぜひとも出かけてみてほしい。
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■夕
住所:東京都世田谷区三軒茶屋2-55-12 ライオンズマンション101/電話番号:03-3412-7550/営業時間:18時〜翌1時(フード24時LO、ドリンク24時半LO)/休み:月/席数:カウンター12席、4席×1卓、2席×1卓 計18席、全席禁煙/予約可/カード可/東急田園都市線三軒茶屋駅から徒歩12分、東急世田谷線若林駅から徒歩5分
●マッキー牧元/
タベアルキストを自称して早30年。ひたすら美味しいものを食べ歩き、それを生業とすべく小誌の連載「おいしい往復書簡」のほか、各誌で活躍するコラムニスト。また食雑誌『味の手帖』編集主幹でもあり、近著に『出世酒場』(集英社)がある。
撮影/西﨑進也
2016年11月29日公開
マッキーさんのポテサラ酒場の過去記事も読める!
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「サッポロラガービール」缶が数量限定で再発売! ~赤星と呼ばれる、ビールがある~
今年7月に販売され好評を博した「サッポロラガービール(通称:赤星)」の缶製品が、11月22日(火)より20万ケース限定で再発売。表面は瓶ラベルを忠実に再現、裏面には1898年当時のラベルと開拓使麦酒醸造所から札幌麦酒株式会社に至る歴史を記載。明治10年(1877年)発売の伝統的な熱処理ビールの味わいを、ぜひ、缶でもお楽しみください。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。
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