ティモンディ前田裕太の“おとな”入門

【ティモンディ前田裕太の“おとな”入門】第1回 理想の大人とは?編

『おとなの週末Web』のリニューアルに合わせ、お笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんのコラム「ティモンディ前田裕太の”おとな”入門」がスタート!「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げ、30代を目前にした前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第1・3木曜日に更新。「(理想の)大人ってなんだろう?」を一緒に考えながら、前田さんの成長を見守りましょう!初回は「理想の大人とは?編」です。新連載にかける思いや、かつての理想と実情、そこから考える「大人」像について語っていただきました。

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三十路ともなれば、余裕のある生活を送っていると思っていたけれど…

皆々様、初めまして。
お笑い芸人をしている三十路手前の29歳、前田裕太といいます。

今回からおとなの週末Webにてコラムを連載させてもらうに至りました。

ありがたい話ではあるものの、中途半端に歳だけ食って大人になりきれていない私のような人間が、おとなの週末さんでのコラム連載など務まるのかと些か不安でもあります。

私が胸を張って立派な紳士になれたと言えるまでの成長をこの連載で示していけたらと思うので、読者諸兄姉には過程を温かく見守っていただければ幸いです。

情けない姿を恥じらいもなく晒す覚悟でいます。

一応、今日という日まで、私なりに理想の大人になるべく直(ひた)走ってきたけれど、想像していた自分と20馬身以上の差をつけられ、今や背中も見えなくなってしまった。

あの頃描いていた未来の自分はどこへ行ってしまったのだろうか。

理想としていた29歳の私は、余裕を持って朝早くに起床してコーヒーを淹れて一服しちゃったりなんかして。

トースターで厚切りの食パンを焼いている間に、新聞を広げて出勤まで優雅な時間を過ごしたり。

通勤ラッシュを避けて少し早めに電車に乗って、始業時間の30分前には職場に着いて、

のんびり準備してさ、今日のタスクなんて確認しながら、

家で待つ奥さんに「仕事今日も頑張ってくるね」なんてL I N Eでメッセージを送ったり。

なんだよ、何一つ叶ってねぇじゃねぇか。

余裕のある日常なんてあったもんじゃない。

現実を目の当たりにして気付いた、「大人になる」ということの意味

私は高校までプロ野球選手になると思っていたし、大学からは、将来は弁護士として働いていると当然のように思っていたけれど、なんと無残な現状だろう。

ただ、理想通りの人生を歩めている人間がどれくらい存在するだろうか。

そりゃ東大に入って、トントン拍子に生きている人もいるだろうけれど、人類の大半は東大側ではなく前田側の人間だろう。

上手くいかない事ばかりで、日々疲弊していくけれど、その繰り返しの毎日の中でふと思う。

大人になるというのは、この思い通りにいかない事実を積み重ねることではないだろうか。

子供は駄々を捏(こ)ねるしかないけれど、大人になるにつれて、いつしか納得のいかない現状も受け入れながら、おかしいと思いつつも折り合いをつけて、その中で過ごそうと努力する。

私でいうと、打ち合わせで楽屋に入ってきたスタッフが相方に対しては丁寧に挨拶していたのに、私が挨拶しても一切返ってこないことが割とある。

その後の打ち合わせも、相方だけに仕事の内容を喋って、伝えることが済んだら、また相方に向かってよろしくお願いします、と声をかけて出ていく。

私の姿が見えていなかったり声が聞こえなかったのかな、と心配になって、打ち合わせの後にマネージャーに話しかけたら返答があったので、どうやら私の声が現実世界でミュート設定になってしまっていた訳でもなかった。

コンビなんだから2人平等に目線を向けろとは言わない。せめて一度くらいは目を向けるか挨拶に対して返事をしてくれればいいのに。

いや、もしかすると衣装さんと間違っていたのかも知れないな。実際、とあるテレビ番組の収録で、アッコさんの衣装さんと間違えられてスタッフさんに指示されたこともあるし。

ただ、私を衣装さんと間違っていても、挨拶をしたら返すのが普通だろう。

彼にとってティモンディというのは1人という認識であるならば少しは納得もいくけれど、納得はいっても腹は立つ。

そういう思いをする度に、こっちだって仕事する気無くなるからな、と開き直りたくもなるし、帰ってやろうかなと思うこともあるけれど、
そんな現実と折り合いをつけて、駄々を捏(こ)ねずにその場の仕事はこなしている瞬間は、大人だなあと自分に丸をつけてあげている。

復讐心をエネルギーに変えて、目指せ、理想の大人

こういう場で不平不満はぶちまけてしまっている時点でまだ子供なのだけれど、まあその仕事の場で怒髪天状態になっても、その場では飲み込んでいる時の私は、まごうことなき大人だと思う。

お金を貰う以上、この場では仕事をするけれど、偉くなった暁にはお前の作った番組を全て断ってやるから覚悟しておけ、と強く思う。

それも、彼らが勝負しなければいけない大切な仕事を任された時に、なるべく損失を受ける状態になった時に、出演NGを出してやる、と復讐心でぐっと堪えている。

だから、そういう思いをする度に、その許さない人間達の名前と所業をノートに書いて、絶対忘れないからな、と心に刻むのだけれど、そこも大らかに思えるような大人に、いつかなれるといいなあ。

まだまだ私は子供。

現在の私の理想の大人は、子供が早く大人になりたい!と思うような姿を見せる人。

復讐心で怒りを飲み込んでる今はまだ目も当てられない有様だけれど、ああなりたい、と子供たちに望んでもらえるような姿になれるよう精進していこうと思う。

冒頭でも言った通り、読者諸兄姉には大人になり切るまでの過程を温かい目で見守ってもらいたい。

私の大人までの道のりはまだまだ長い。

 

前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で披露した絵の実力も話題になるなどマルチな活動で注目を浴びている。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディベースボールTV』は登録者数25万人超え。

 

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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