ティモンディ前田裕太の“おとな”入門

【ティモンディ前田裕太の“おとな”入門】第3回 「食」編(2)目も当てられない芸人の食事情

お笑いコンビ「ティモンディ」前田裕太さんの、「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げた連載コラム。30代を目前にした前田さんが「大人」を目指して過ごす日々を、食・趣味・仕事など様々な視点で綴ってくださいます。連載は、第1・3木曜日に更新です。「(理想の)大人ってなんだろう?」を一緒に考えながら、前田さんの成長を見守りましょう! 今回は、「食編」の2回目です。生きていくための必要経費、食費。やろうと思えばいくらでも切り詰められますが…「大人」は、どれくらいお金をかけ、どのような食生活を送るものなのでしょうか?皆さんも自分の食生活を振り返りながら、一緒に考えてみてください!

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あの頃、天ぷらうどんはアメリカンドリームだった

食費というのは、どれくらいかけるものなのだろうか。

家で自炊をしたとしても、いくらでも高級な食材は手に入るから外食の方が安く済む場合だってザラにある。

私は月に3〜4万円を目安に食費として使っているのだけれど、余裕のある大人は食に対して、どれくらいの金銭をかけるものなのだろうか。

あまり外食が続くと、なんだか贅沢をし過ぎていて、働きに見合った食事をしていないように思えて罪悪感が湧くし、

いいお店に行くと嬉しい反面、この食事のレベルをするのが当たり前になってしまうと、今感じている感動は当たり前になって、また同じものを口にした時に感じる喜びもどんどん少なくなってしまうのではないか、と怖くなったりもする。

うどんに、天ぷらをつけて贅沢した!ハッピー!と思える人間性を失いたくない。

腹が減っているなら天ぷらなんてつければいいと簡単に言う人もいるだろう。

ただ、ほんの2、3年前まで激貧生活を送っていた底辺芸人からすると、そもそもうどんを食べるということが幸せであって、天ぷらをつけるなんて、アメリカンドリームなのだ。

果たして天ぷらが米国のものかは分からないけれど。

極貧時代に開発した満腹メニューたち

まだ芸人としての収入が年1万円もいっていなかった当時の私は、日頃からカップ麺を10分置いて麺を限界までふやかして量を確保して胃を満たしていた。

もちろん麺はブヨブヨになるのだけれど、それで胃が満たせるため、とことんブヨブヨにしてカサ増しを図っていた。

家の水道が止まっているから公園の水をペットボトルに詰めに行ったり、電気が止まった時には、マックで一番安い商品を頼んで、それを口実にパソコンや携帯を充電しに行ったりもした。

本当にこれが21世紀の生活なのかと文字に起こすと疑問に思うかもしれないけれど、売れていない芸人はこういう生活をしている人も少なくはなかった。

パンも煮込んでふやかすことで量が増えたので、パン屋さんから余った耳を貰い、味噌汁で煮込んでふやかしたものを食べたりもしていた。

私はこれを「満腹汁」と呼び、かなりお世話になった。

満腹汁は満腹にさせることに特化した食べ物で、味は質より量の最たるものである。

さらに研究に研究を重ねた結果、私は究極の、胃を満たすご飯を発明するに至った。

それは、まずおかゆを作って、半分を冷凍して残りを食べる。

次の日は、その冷凍していた残りを解凍して、昨日食べた分の量の水を継ぎ足してお粥を作り、またその半分を冷凍して残りを食べる。

この永遠に尽きることのない食べ物を発見してしまった。

私はこの品を「エターナルお粥」と呼び、世紀の大発見を他に口外することなく一人でその益を受けていた。

ただ、3日目を過ぎた頃に同期の芸人が家に遊びにきた時、「水のり食べてる?」と疑問にもたれてから、これはやめてしまった。

確かにそう言われてみれば、私の口にしていたものの粘度と見た目は3日目にして水のりのそれであって、お米の風味すら無くなった半透明の液体を水のりと言われてしまうとそうとしか思えずに、身体が受け付けなくなってしまったのだ。

戦時中でももう少しまともなものを食べていた人が多くいただろう

ちなみに、もやしは安くて量があると言われているけれど、実際食べてみれば分かるが腹持ちが異常に悪い。

全体の水分量が多いもやしは、もはや私にとっては水である。もやしを食べるくらいだったら水を飲んだ方が経済的にもマシであって、実際に水を飲めば腹も膨れた。

水に醤油を垂らして、もやしだと言い張って飲んでいた時期もあったけれど、これは流石にもやしではないと分かっていたので、長くは続かなった。

「質より量」の食生活が産んだ、「食への無頓着」

ライブが終わると、差し入れをくれるお客さんがたまにいた。

コンビニでチョコレートを買ってきてくれて、ライブの感想を伝えるのと一緒にそのチョコレートを渡してくれるのだけれど、
私はこの板チョコ一枚で3日過ごしていたので、出待ちの対応ではなく配給の時間だった。

これは本当に助かった。

こんな食生活をしていくと、もう普通にいかなる食事であっても美味しくいただける身体になってしまう。

100円の食事でも、1000円でも一万円かけようが、美味しいことには変わらない。

もちろん味の差は感じるし分かるのだけれど、胃を満たすためだけの食事を何年も続けた結果、どのご飯を食べても美味しく感じるので、一人で食事をするときはお金をかけても仕方ない、と思うようになってしまった。

お酒も飲まないので、あまり食費をかけることがないのだけれど、私が幼い頃に想像していた大人っていうのは、もう少し食に対してお金をかけて、豊かな食生活を送っていた。

食は生活を豊かにするという言葉を耳にしたことがある。

まずは、普段食べているお米を、ブランド米にしてみるところから、大人の食生活の第一歩を踏み出してみたいと思う。

前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で披露した絵の実力も話題になるなどマルチな活動で注目を浴びている。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディベースボールTV』は登録者数25万人超え。

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