本webでこれまで複数回に渡って紹介している、食品の自動販売機。みなさん、利用したことはありますか? 好評発売中の『おとなの週末』2022年3月号の特集でも展開していますが、本誌で書ききれなかった自販機の魅力と掲載しきれなかった情報をご紹介します。
画像ギャラリーコロナ禍の強い味方! 令和の食品自動販売機
新型コロナウイルス感染症が世界を席巻しておよそ2年。飲食業界周辺が大きなダメージを被っている中、救世主として多くのお店が導入を始めているのが、2020年に発売された冷凍自販機「ど冷えもん」。
自販機は非接触で、その多くが24時間365日購入できることが最大の魅力だ。お客さんは好きなときに買えて、ストックもできる。日常生活における心強い味方といえるだろう。お店にとっては自慢の味を楽しんでもらえるだけでなく、食品ロス対策にもひと役買っている。
例えば、計20軒の有名ラーメン店や餃子店のメニューを冷凍でパックした「ヌードルツアーズ」は今や日本各地で56店舗(台なのかな?/2022年2月時点)を展開。街で見かけたことがある方も多いのでは。
お店で作ったスープや具材が手軽に購入できる上に、自宅等でお店の味そのものが堪能できると評判だ。
私も『ラーメン二郎』インスパイア系の人気店『らーめん バリ男』の「らーめん」(1000円)を購入。モヤシをたっぷり入れてワシワシと完食完飲した。自宅でこの濃厚スープを作るのはかなり大変。そう考えるとなんてお得なのだろうと感動した!
店頭に設置! 千葉・船橋の人気ピッツァも冷凍に
さて、そんな食品の自動販売機だが、今やラインナップが実に豊富。かつ上記の通り、お店で作ったものが冷凍(一部は冷蔵)されているので、そりゃ美味しいに決まっているわけです。
なかでも「自販機でこんなに美味しいものが買えるの
定番のマルゲリータはじめピッツァ4種類、リゾット2種類を自販機で買うことができる。船橋市役所のほど近く、国道14号沿いにあり、信号待ちの間に車から降りてきてパパッと購入した猛者がいたとか。あ、みなさまは、もちろん安全第一でお願いします!
「トマトたっぷりのマルゲリータ」(1000円)は、生のトマトを丸1個使用。薪窯で焼き上げることで、トマトの旨みがギュッと濃縮されている。薪窯で焼き上げられたピッツァは冷凍にもかかわらず、フチの部分もパリッ&モチッとしていて、香りも豊か。夢中でたいらげてしまった。
ちなみに人気ゆえ自販機でも販売するようになったのが、「イチゴのデザートピッツア」(1000円。5月頃まで提供予定。写真はイートインのもの)。
イチゴは大きさによるが5~6個を使い、焼くことで味が凝縮。その甘酸っぱさにキュンキュンした。お店では粉糖を振り、バニラアイスをのせて提供している。粉糖とハチミツソースは付いているので、ご家庭でもぜひアイスクリームを用意しお店の味を体験してほしい。
この商品はレンチンでもいただけるが、ピッツァは30分ほどの常温解凍後、予熱したオーブントースターまたはフライパンで温めるとよりできたてに近くなり、美味しく食べられる。
リゾットもお手軽なレンチンでもOKだが、たっぷり入ったチーズの油分が分離しがちなので湯煎で温めるのが市村的にはオススメ。なお、リゾットには十五穀米を使われていて食感が楽しいのだが、そばや大豆が入っているため、アレルギー持ちの方はご遠慮ください。
■『街のピザ屋 コンパーレコマーレ』
[住所]千葉県船橋市湊町2-5-19
[交通]JR総武線船橋駅南口から徒歩10分
たっぷり入る保冷バッグを持っていきたい2軒
あまりに人気なのか、3台の自販機がズラリと並んでいたのが、富士見台駅の近く『鍋スル』。今回の調査時では、北は北海道「尾谷のらむじん」(尾谷商店・1人前1000円)から南は宮崎「夢創鶏のトマト鍋」(夢創鶏・2~3人前2400円)まで、14種類もの個性豊かな鍋が並び目移りしまくった。
どれを買おうか悩んでいた際、「購入している人がいて気になっていて初めて買いに来た」という近隣にお住まいの方と出会った。
またやはりご近所にお住まいという初老の女性にも話しかけられ、なんだかんだで3~4人の方と距離を取りながらおしゃべりしてしまった。地元の方々にも馴染んできていることを感じた。
ちなみに今回私が回った冷凍自販機で唯一、電子マネーによる決済も可能だったのがこの『鍋スル』。といっても、3台中1台だけの対応だったが。
かなり迷いに迷って購入したのが、「地鶏シャモ鍋」(川俣町農業振興公社・2人前2300円)と京都先斗町の人気店『京もつ鍋 亀八』の「もつ鍋 旨辛の赤」(2人前3600円)。
もっとほしいと思ったが、結果的に2種類で我慢。ふたつに絞ってよかったのは、具材とスープまるごと入っているのでかなりずっしりと重かったから。電車移動だったため、さすがにこれ以上はツラい。
自宅へ持ち帰って食べると「まさに滋味」としみじみ呟いてしまうほど、どちらも感動レベルの美味しさだった。
「地鶏シャモ鍋」の澄み切った美しいスープに心もあたたまる。ムネ肉は柔らかく、もも肉はぷりぷり。手羽はしっかり、団子は旨みの塊で満足度高し。
「もつ鍋 旨辛の赤」は白味噌のコクと脂の甘みがとろけるスープに、ぷりぷりの和牛もつの強烈な旨みがたまらない。食べていて実際にお店に行ってみたくなった。
なお、食べる際の注意点としては、できれば前夜に冷蔵庫での解凍を推奨なのと、野菜などの一部は自分で用意すること。ちょっと面倒と思う方もいるかもしれないが、私自身はこの味の前では、そんなことこれしきと手間とも思わず。ちなみにふと思ったのだが、夏場ってこの自販機はどうなるんだろう。
ちなみに、鍋スルの公式サイトで通販をやっています。遠方の方は、私が迷いまくった気持ちをお取り寄せで体験していただけたら。
■鍋スル
[住所]東京都中野区上鷺宮3-16-9 オーエスビル
[交通]西武池袋線富士見台駅南口から徒歩3分
https://nabesuru.jp
東京都港区にある人気鳥料理店の姉妹店『鳥一代はなれ』の「サムゲタン」(1人前・1000円)は、ひと口いただくと、旨みが濃厚ながら後味はスッキリ。手間ひまかけて作っていることが伝わってくる。
「骨まで食べられる」を標榜するだけあり、お肉が実にホロホロと柔らか。高麗人参なども入っているが、そこまで主張が強くないので、薬膳に慣れていない方でも食べやすいのも大きなポイント。ラーメンが入っているので食べ応えもバッチリだ。
■『鳥一代はなれ』
[住所]東京都港区芝浦3-15-5 クリスタルパレス1階
[交通]JR山手線田町駅芝浦口から徒歩6分
毎日食べたくなる、身体も舌も喜ぶサラダ
新鮮野菜と具材がどっさり入り、1杯で大満足できるサラダボウルを買えるのが、東京都千代田区の『CRISP STATION 丸ビル店』。
丸ビル地下1階にあるフードコートの一角にあるのだが、大きな冷蔵庫が突然現れる様はなんともシュール。そこに個性が異なる8種類のサラダ(すべて各1295円)が並ぶ。
そのビジュアルのみならず、好きなサラダを持ち出し、QR決済するという会計方法も話題に。DXの活用とエシカルさを両立する、これからの時代を象徴するような自販機だ。と書いたけど、これ自販機でいいのかな? でも非接触、無人販売だから、まぁ良しとしよう。
私が選んだ「ファーム・ボウル」は、ほうれん草やワイルドライスなどが入った一品。インゲン豆の瑞々しさ、コーンやアーモンドの甘みと食感、チーズの香りといったバランスが絶妙。ピリッと辛いニンジンドレッシングも好みの味!
「クラシック チキンシーザー」は、たっぷり入ったロメインレタスなどの野菜にクリーミーなシーザードレッシングがよーく絡む。ザクザクとした食感の自家製クルトンがいいアクセントだ。
そうそう、自販機にはお箸やフォークではなく、スプーンが置かれていた。その理由は、具材を刻んであるから。スプーンだと、すごく食べやすいんだ。
なお、容器にはサラダの名称と具材の内容が示されていて、どういうサラダかわかるようになっている。
また、コードが記載されており、読み込むとヘルプページに飛べるのだが、その文章に血が通っていてなんだかほっこりしてしまった。
この『CRISP STATION 丸ビル店』は、『CRISP SALADA』を展開するサラダ専門店が運営している。いろいろな食材が入っていて、野菜の鮮度と具材の食べ応えの調和が見事。全種類試してみたいなぁ。
もしも丸の内OLになる機会があったら、週3くらいはこのランチでいいなぁと思ったほど。そんな話を夫にしていたら、私以上に私の体型を気にしている彼に「ずっとこれ食べていればいいじゃん」と言われてちょっとスネた。でも「それもアリ!」と思ってしまうくらいの美味しさと満足度の高さでした。
■『CRISP STATION 丸ビル店』
[住所]東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング地下1階
[営業時間]11時〜19時
[交通]地下鉄丸ノ内線ほか東京駅直結
まだまだあります、グルメな自販機
ここで紹介した以外にもいろいろな自販機で購入して食べてみた(今さらながら『おとなの週末』は覆面調査で食べて本当に美味しいものを厳選して紹介している雑誌なのです)が、残念ながら本誌では漏れてしまったものもありました。
そのひとつが、築地場外市場にある『北海番屋』の「自家製 焼漬魚セット」(各1切・3切入/1000円)。これは銀だら西京焼と紅さけ粕漬焼、さわら西京焼が1切れずつ入っていて、非常に美味しかった。自分で焼くと焦げがちな西京焼きだから、レンジアップするだけで食べられる手軽さも魅力だった。
なおこの自販機では、「ロシア産 天然紅鮭切身」(大切り3切・880円)のほか、「北海道産 いくら醤油漬」(250g・3500円)なども売られている。
個人的に、豊洲に移転した築地の名店『茂助だんご』の自動販売機限定商品が売られていたのもアツかった。「茂助だんごと草餅セット」(4種各1個入 800円)と「どら焼3種寄せ」(700円)があったが、午後に行ったときは残念ながら売り切れてしまっていた。
■『北海番屋』
[住所]東京都中央区築地4-14-16
[交通]地下鉄日比谷線築地駅1番出口から徒歩5分
JR長崎駅にかまぼこ自販機が登場するなど、関東以外にもあちこちで話を聞くようになった食品の自動販売機。今後も目が離せないことは間違いないだろう。
撮影/小島 昇(コンパーレ コマーレ) 取材・撮影/市村幸妙
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