「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「メタボ」です。 文:三井能力開発研究所代表…
画像ギャラリー「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「メタボ」です。
文:三井能力開発研究所代表取締役・圓岡太治
「リンゴ型肥満」「洋ナシ型肥満」「バナナ型肥満」
肥満には、脂肪の付き方によって大きく2つのタイプがあります。一つは、お腹周りに脂肪がつき、全体的にリンゴのような丸みを帯びた体形となる「リンゴ型肥満」です。もう一つは、お腹よりも下半身や二の腕などに脂肪がつき、洋ナシのような体形となる「洋ナシ型肥満」です。また、現状では肥満ではなくても、将来的に肥満になりやすい「バナナ型肥満」というものもあります。
これらのうち、心臓病や脳卒中になるリスクの高いメタボ(メタボリックシンドローム)になりやすいのは、どのタイプでしょうか?
(1)リンゴ型肥満
(2)洋ナシ型肥満
(3)バナナ型肥満
(参考)
[1] https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-001.html
内臓脂肪がつきやすい
答えは、(1)「リンゴ型肥満」です。
リンゴ型肥満は、内臓脂肪がつきやすく、メタボになるリスクの高い肥満です。ビール腹の中年男性がその良い例で、男性に多い肥満です。内臓脂肪は蓄積されるのが早い一方、分解されるのも早く、「脂肪の普通預金」とたとえられます。
(2)の「洋ナシ型肥満」は、皮下脂肪がつきやすい肥満です。女性ホルモンである「エストロゲン」は皮下脂肪を増やし、内臓脂肪を減らす働きがあるため、女性に多い肥満です。皮下脂肪は内臓脂肪より消費されにくく、「脂肪の定期預金」にたとえられます。皮下脂肪には体を守るクッション的な役割や体温維持などの働きもあり、内臓脂肪に比べると健康リスクは高くはありません。
(3)のバナナ型肥満とは、肥満予備軍です。まだ太っていない状態では、全体としてほっそりとしたバナナのような体形です。基礎代謝が高く脂肪の分解が早いため、あまり太ることはありません。しかし、筋肉の材料となるタンパク質までエネルギーとして使いやすいため、筋肉が落ち、脂肪が燃焼しづらくなり、いったん太ると今度は痩せづらいという特徴があります。「若い頃は痩せていたのに、歳を取って太ってしまった」というケースに多く見られるのがこのタイプです。
内臓細胞の大きさが小さい、代謝活性が高い
内臓脂肪と皮下脂肪
体脂肪には「皮下脂肪」と「内臓脂肪」の2種類があり、生活習慣病を引き起こすリスクが高いのは内臓脂肪のほうです。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて脂肪細胞の大きさが小さく、代謝活性が高いことが分かっています。エネルギーの出し入れがしやすく、増えやすく減りやすい脂肪です。
肥満度を測る一つの指標がBMIですが、BMIでは体脂肪の種類は分かりません。それを判断する目安となるのが、「リンゴ型」「洋ナシ型」などの体形です。
※「BMI」についてはこちら
https://otonano-shumatsu.com/articles/274437
メタボリックシンドロームとは?
日本人の死因として多い心臓病や脳卒中は、動脈硬化が原因となっていることが多く、動脈硬化を起こしやすくする要因(危険因子)としては高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満・喫煙などがあります。これらの危険因子が複数重なった状態がメタボリックシンドロームで、心臓病や脳卒中のリスクが高い状態となります。
メタボの診断基準は日本と海外では異なっています。日本では、内臓肥満(ウエストの周囲径が男性85cm以上、女性90cm以上)で、血圧・血糖・脂質の3つのうち2つ以上が基準値からはずれると「メタボリックシンドローム」と診断されます。
(参考)
[2] https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-01-003.html