飲まず嫌いはもったいない!どんどんチャレンジ 岩:オレンジワインという表現、その言葉はすごく大事だなぁと思いました。それ以前は「変態系白」とか言われてたんですよ(笑)。 岡:オレンジワインって、合う料理の幅が広いですね。…
画像ギャラリー今は西暦2023年。ワインの世界も一大ブームになった90年代とは大きく変化している。今のワインを取り巻く状況、楽しみ方などワインLOVEな4人で語り合ってみた。
今や大人気!ナチュラルワインは自由な気分で楽しむ
門:日本をはじめ、世界的にナチュラルワインが流行っています。
岩:ナチュラルワインが増えたことで、自分の“好き”を表現する時代になってきたなと思います。濁っているワインが好き、オフフレーバーとされていた豆っぽい匂いがいいとか、中にはお酢っぽいワインが好きな人もいたりして、「自分はこんなワインが好き」と言える世界が広がったのでは。
和:飲んでいて、アレ?という時はありますが、それはヤンチャな子供を育てていると思って楽しんでいます(笑)。まだ飲み頃じゃなかったとしても、いいところを見つけてあげたくなる。
岩:すごく分かります。ナチュラルワインを飲む人ってキャパシティが大きい気がします。欠点に目を向けるんじゃなく、いいところを見つけてあげる。そんな広い心でワインを飲むと楽しいだろうなあ。
門:まずは飲んで感じる、と。何かひとつ好みがわかったら、その“好き”を少し掘り下げれば、その人の軸になっていく。
岩:自分はこういう味わいが好きと理解していれば、選びやすいと思います。例えば、赤しか飲まない人は「じゃあどんな赤が好きなのか」と一歩踏みこんでほしいし、樽の効いた白ばかりという人は、本当はボリューム感がほしいはず。そうやって“好き”の方向性が分かると楽しい。逆に、赤が飲めないという人もいますが、そういう人にタンニンの少ない薄旨の赤を出すと「これなら」となる。濃くない赤があると分かれば選択肢が増えて、赤の世界もどんどん広がっていきます。
岡:今だと、オレンジワインをくださいって人も多いですよね。
岩:オレンジワインという言葉ができたことで、白とは違うことが認識されたのは大きいですね。
和:興味を引きますよね。間口が広がったというか。
飲まず嫌いはもったいない!どんどんチャレンジ
岩:オレンジワインという表現、その言葉はすごく大事だなぁと思いました。それ以前は「変態系白」とか言われてたんですよ(笑)。
岡:オレンジワインって、合う料理の幅が広いですね。
岩:魚卵とも相性がいいしね。
門:合わない料理ってあるかな?
和:〆過ぎた鯖は合わなそうね。酸がたっているワインとは合うけど、オレンジワインはそうじゃないですよね。
岩:そうですね。お酢が効いた料理は難しいかもしれません。でも家にバーナーがあったら炙るといいんです。〆鯖も炙ればオレンジワインとばっちりですよ。焦げを作ると野菜でもなんでもワインとの相性がずっとよくなる。
門:家飲みワインなら、一家に一台バーナー!(笑)
岩:家飲みならワイングラスじゃなくて、おちょことかぐい呑みとかで飲んでもいい。
門:ワインを選べば1日で飲み切らなくてもいい。2日目の方がおいしくなる場合もあるし。
岩:ここで自分のルールをひとつ。最初はグラスに注いで回さずに香りを嗅ぐ。これがベース。次に3回回して香りが強くなったら、もう少し置いてもいいというサイン。回して香りが一緒であれば今飲むべし。逆に、回して香りが弱くなったらピークを越しているので飲み切ること。もっとグルグル回しても香りが強ければ、それこそ1ヶ月くらい平気ですよ。
門:なるほど~、これはいいこと聞いたな。そういえば日本ワインも人気ですね。どんなところで造っているんだろうって、見に行けちゃうところがいい。
岩:造り手と直接話せますし、畑の風景を見ながら、五感で味わえるのはすごくラッキーだなと思います。
岡:でも、少し割高だと思っている人も多いみたいですね。
岩:減価償却の問題だと思います。畑を買って醸造所の設備を整えた価格がワインにのってしまうんです。フランスやイタリアは代々受け継いだものありますからね。
門:じゃあ30年くらい経ったら状況は変わるかもしれませんね。
岩:そうです。今は日本にワインの礎を造るための投資をしている形です。ワイナリーの設立ラッシュでもあるんですが、あと10年したら成熟すると思います。
和:じゃあ。日本ワインが好きだったら、クラウドファンディングの気持ちで?(笑)
岩:アハハ。僕は酒屋でもあるので支えたいと思っています。10年後に期待して、酒屋としては日本ワインにあまり利益をのせないようにしています。
門:最近は角打ちやパン飲みなど、ワインとの出会いの場も広がってますね。
岩:ここ『kasiki』は“アイスとワイン”ですが、先日は“かき氷とワイン”というお店のワイン選びをしましたよ。
岡:気楽にワインを楽しめるところが増えていてうれしいな。
岩:ちゃんとしたレストランでのペアリングはもちろん素晴らしい体験です。でも、その日の気分で食べたいものを食べ、飲みたいワインを飲んだら、すごく合っちゃうこともある。ビシッとした道筋がなくてもワインは楽しめるんです。個人的にはもうペアリングに縛られなくてもいいかな。
和:同感!もう脱ペアリングでいいんじゃないんですかね。
岩:まあ自爆ペアリングもあるけどね。「合わないペアリングを見つけよう」は、僕の次のプロジェクトでもあるんです(笑)。
岡:ものすごく合わないものってかえって気になります(笑)
岩:逆に人に食べさせてみたくなる(笑)。そこから始めてみたらすごく面白いですよ。
門:それくらい、軽い気持ちでワインと付き合いたいですね。
座談会はアイスとワインの店、『kasiki』にて行われた。
【kasikiの店舗情報】
『kasiki(カシキ)』 @西原
[住所]東京都渋谷区西原1-13-2
[電話]なし
[休日]水、不定休あり
[営業時間]12時~21時(インスタグラムで確認を)
[交通]京王新線幡ヶ谷駅南口から徒歩7分、地下鉄千代田線代々木上原駅北口から徒歩10分
撮影/貝塚隆、取材/岡本ジュン
※2023年3月号発売時点の情報です。
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