「食」のクイズ

認知症を予防する食べ物は?「食」の三択コラム

「脳のゴミ」を蓄積させない 認知症とは、脳の神経細胞の働きが衰え、記憶力や認知機能が低下し、社会生活に支障をきたしている状態をいいます。いくつかの原因がありますが、もっとも多いのが「アルツハイマー型認知症」で、日本人の場…

「おとなの週末Web」では、食に関するさまざまな話題をお届けしています。「『食』の三択コラム」では、食に関する様々な疑問に視線を向け、読者の知的好奇心に応えます。今回のテーマは「認知症を予防する食べ物」です。

文:三井能力開発研究所・圓岡太治

東大を中心とする研究グループが発見

認知症は、その原因によっていくつかの種類に分けられますが、約7割はアルツハイマー型認知症(以下「アルツハイマー」)です。2015年に、東京大学を中心とする研究グループが、マウスによる研究結果から、アルツハイマーの原因物質の沈着を抑える成分を発見したと発表しました。その成分を含む食品とは、次のうちどれでしょうか。

(1)カマンベールチーズ
(2)赤ワイン
(3)木綿豆腐

アルツハイマーの原因物質とされるアミロイドβ

答えは(1)のカマンベールチーズです。

チーズなどの発酵乳製品には、認知症予防効果のあることが疫学的研究で報告されていました。2015年、東京大学を中心とする研究グループは、マウスによる研究の結果、カマンベールチーズに含まれる成分が、アルツハイマーの原因物質と考えられるアミロイドβの沈着を抑える効果があることを発見しました。

カマンベールチーズ

(2)の赤ワインに多く含まれるポリフェノールには、強い抗酸化力があり、動脈硬化や高血圧を予防するほか、認知症の発症を抑えるという報告もあります。ただし、ポリフェノールがアミロイドβの除去や沈着防止に効果があるとの報告はありません。

(3)の豆腐の主原料は大豆です。大豆に含まれるイソフラボンもポリフェノールの一種で、強い抗酸化力を持っています。ガン予防効果があり、脳の血液循環や脳細胞自体の働きに良い作用があると考えられています。ただし、イソフラボンについても、アミロイドβの除去や沈着防止に効果があるとの報告はありません。

かつては一度蓄積されると除去するのは困難と考えられたアミロイドβですが、近年の研究で除去が可能であると考えられるようになってきました。2021年には、北海道大学を中心とする研究グループが、こんにゃく芋から精製した「グルコシルセラミド」が、脳内のアミロイドβの蓄積を減少させることを、ヒト介入試験で確認しています。

「脳のゴミ」を蓄積させない

認知症とは、脳の神経細胞の働きが衰え、記憶力や認知機能が低下し、社会生活に支障をきたしている状態をいいます。いくつかの原因がありますが、もっとも多いのが「アルツハイマー型認知症」で、日本人の場合、約7割がこれにあたるといわれています。アルツハイマーが発症するメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、現在のところ、つぎの『アミロイドβ仮説』が強く支持されています。

通常、加齢とともに脳には老廃物がたまります。これがアミロイドβと呼ばれるタンパク質で、「脳のゴミ」と呼ばれることもあります。通常は分解されて脳外へ排出されます。ただ、排出されずに残ったアミロイドβが脳内に蓄積されていくと、それを引き金に「タウ」というタンパク質が糸くずのように集まり、脳の神経細胞を傷つけます。

傷ついた神経細胞は死滅し、脳が委縮していき、やがて認知症を発症するに至ります。このプロセスは20年以上をかけてゆっくり進行すると考えられています。したがって、アルツハイマーを予防するためには、若いうちからアミロイドβを蓄積させないような生活習慣を心掛けることが必要だと言われています。

ただし、アミロイドβを除去しても認知機能低下が改善されるとは限らず、また、そもそもアミロイドβの蓄積を防ぐことがアルツハイマーの発症を防ぐことになるのかどうかも、完全に解明されたとはいえず、今後の研究成果が待たれます。

「アルツハイマー型認知症」は、日本人の場合、約7割がこれにあたるという

(参考)
[1] 知っておきたい認知症の基本(政府広報オンライン)
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201308/1.html
[1] アルツハイマー病を予防できる可能性 - カマンベールチーズに原因物質の沈着を抑える成分を発見(東京大学)
https://www.a.u-tokyo.ac.jp/topics/2015/20150310-1.html
[3] 脳の糸くずのない未来(東京大学)
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/features/f_00040.html
[4] イソフラボン、大豆製品の摂取量と認知機能障害の関連について(国立がん研究センター)
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8905.html
[5] 認知症予防にはこんにゃく由来グルコシルセラミドが効果的(北海道大学)
210830_pr.pdf (hokudai.ac.jp)

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