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谷中を散策していて見逃せない横丁、それが『初音小路』(はつねこうじ)だ。口コミを頼りに、「おとなの週末」ライター・肥田木が老舗から新店まではしご酒、深夜の徘徊でいかなる出会いが?

【はしご酒も楽しい コンパクトな昭和横丁】

今夜の肥田木はニヤニヤが止まらない。だって谷中にあるディープ横丁『初音小路』の覆面決行日だから。仕事熱心な私でしょ、きっと終電に間に合わないから地元旅館を予約済。ふふ、これで時間を気にせず飲んだくれ……いや取材できる。さあて、突撃すんぞ。

小料理屋などが並ぶ「初音小路」

狭い小路に小さな飲み屋が連なるここは戦後から続くアーケード横丁だ。まずは編集武内と『あさと』へ。石垣島出身の女将さんが切り盛りする沖縄家庭料理の店で、創業30年ほどなんだって。「ふーちゃんぷるー」は素朴な味。86歳の女将さんとのおしゃべりも癒される~。かと思えばカラオケもあったりして歌合戦も楽しいね。

『沖縄家庭料理あさと』ふーちゃんぷるー 880円

『沖縄家庭料理あさと』初音小路の古株のひとつ。「ふーちゃんぷるー」(880円)など手作りの沖縄料理が美味

すると先客の男性が私に向かって「べっぴんさん」だって!「えっ、お兄さん泥酔してません?」と激否定する武内を黙殺、口紅べったり付け直して「アタシ独身ですう」。すかさず「毒の方の毒身だけどねっ」の横やりが入るも上機嫌。小さな店は隣客との交流も楽しいね。泡盛お代わりっ!

女将さんによると近年は若い店主の新店も増えたそうだ。てことで次は『谷中イタリアンバールネネコロ』。ここが大当たり。旬の食材を使ったカルパッチョなど胃袋歓喜センサー押しっぱなし。シブい横丁にこんな旨い店が潜んでるなんて。探検してみるもんだわ。しかも店主も気さくでやさしい。「毒身」だとか、美魔女ならぬ微妙の「微魔女」とか言う誰かさんとは大違い。ワインお代わりっ!

『谷中イタリアンバールネネコロ』真鯛のカルパッチョ 1100円(※時価)

『谷中イタリアンバールネネコロ』真鯛のカルパッチョ 1100円(※時価)

3軒目は『BAR星くず』。実は本誌の「谷中の晩ごはん」特集で取材した「エゾットリア」の店主がおすすめしてくれた店だ。日本の酒と音楽を楽しませ、シティ・ポップなどレコードもかけてくれる。グラスを傾け懐かしい音楽に身を委ねていると小さいことはどうでもよくなる。「星くずって店名いいな、肥田木さんはクズだけど、ひっひっ」と例のヤツが攻撃してこようと心は仏のように穏やか。そうよ、今宵は安眠できる宿もある。焼酎お代わりっ!

『BAR星くず』一尚(900円)のソーダ割りなど

『BAR星くず』一尚(900円)のソーダ割りなど

夜中に千鳥足で帰った『旅館澤の屋』は家族経営の宿だ。風情ある純和室は居心地抜群。いやあ、翌日は貸し切りできる朝風呂も満喫。都心なのに地方へ旅した気分でリフレッシュ。谷根千の楽しみ方が倍増した。谷中泊で深夜&早朝散策のススメ。ハマりますよ。

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おとなの週末Web編集部
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