ひんやり!「ぶっかけ蕎麦」東京の厳選4軒 老舗から立ち食いまで雅びな一杯

老舗の2代目が考案、楽しき仕掛け満載の野菜ぶっかけに唸る『手打ちそば 山商』@落合 品書きを見れば各種のせいろに伝統的な種物が並ぶ、これぞ江戸前のど真ん中といった印象。しかし6月~9月限定のぶっかけ蕎麦には、楽しい遊び心…

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キュッと締まった蕎麦&ダシ香るひんやりしたツユ。この時期は、やはり手繰るたびに涼味が広がるぶっかけ蕎麦が美味。名店から立ち食いまで、厳選して紹介します!

食感と風味が器の中で交差する『酒彩蕎麦 初代』@恵比寿

この店名にピンときた読者もいるだろう。そう、真っ白なムースが丼を覆った「白いカレーうどん」でバズった店だ。そればかりに注目が集まってしまうけれど、本来の姿は北海道産の実を丸抜きで仕入れ、店で挽いて手打ちする蕎麦に、気の利いた肴と酒も出す粋な蕎麦酒房なのだ。

いくら三彩 1430円

『酒彩蕎麦 初代』いくら三彩 1430円 あっさりとした具材の中で弾けるイクラのコクがアクセント

さて、こちらのぶっかけ蕎麦は、夏季限定も合わせると計5種類あって、この見た目も雅びで涼やかな「いくら三彩」もそのひとつ。“三彩”は“山菜”にかけられていて、歯ざわりの良いそれがキュッと盛られ、裾に散らされた長芋とイクラと一緒に手繰ってみれば、それぞれの食感と風味が複雑に絡み合う。ところどころに星の浮かんだ粗挽き粉入りの二八は香りも甘みもおだやかで、素直に具材を受け止めてくれる。

『酒彩蕎麦 初代』

[住所]東京都渋谷区恵比寿南1-1-10 サウスコラム小林1階
[電話]03-3714-7733
[営業時間]11時半~23時(フード22時、ドリンク22時半LO)
[休日]無休
[交通]JR山手線ほか恵比寿駅西口から徒歩2分

コクと爽やかさ、バランスの妙に唸る老舗渾身の夏蕎麦『手打そば 一久(いちひさ)』@千川

どの駅からも歩いて十数分。住宅街のど真ん中に、近隣から長年愛される蕎麦屋がある。その理由は単純明快、蕎麦の味。信州の畑で自家栽培した蕎麦粉と北海道・幌加内産を季節に合わせて配合を変え、さらに店主が汲みに行く伊豆の湧水で打った蕎麦はうっとりとするほど甘みと香りに満ちていた。正統派のせいろで味わうのも良いけれど、毎年7月から始まる「明太おろしそば」に手を伸ばしてみては?

明太おろしそば 1640円

『手打そば 一久(いちひさ)』明太おろしそば 1640円 薬味たっぷりの爽やかな風味の中に明太子の旨みが膨らんでくる。上品な香りの川海苔が絶妙にマッチ

ツユをぶっかけ、豪快に混ぜて食せば、明太子のコクや薬味の食感、川海苔の爽やかな風味が織りなす見事な調和に舌を巻くはず。また、スタミナをつけるなら豚角煮を乗せ、茹でモヤシをアクセントにした「織部そば」に行くって手もあり。この蕎麦たちに出合えるならば、駅からの距離も苦ではない。

『手打そば 一久(いちひさ)』

[住所]東京都豊島区高松3-5-17
[電話]03-5966-0075
[営業時間]11時半~15時(14時半LO)、17時~21時(20時半LO)
[休日]水(祝は営業、翌木休)
[交通]地下鉄有楽町線ほか千川駅4番出口から徒歩14分

老舗の2代目が考案、楽しき仕掛け満載の野菜ぶっかけに唸る『手打ちそば 山商』@落合

品書きを見れば各種のせいろに伝統的な種物が並ぶ、これぞ江戸前のど真ん中といった印象。しかし6月~9月限定のぶっかけ蕎麦には、楽しい遊び心も忍ばせていた。現在厨房を切り盛りする2代目の将治さんが考案したのが「冷しベジタブルそば」。切り口も冴え冴えとした二八蕎麦の上にはベビーリーフなどの葉物に加え、小エビ天に絹豆腐といった具材が色鮮やかに散りばめられている。

冷しベジタブルそば 1500円

『手打ちそば 山商』冷しベジタブルそば 1500円 ツユはもり汁かごまだれの2種類から選べる。おすすめは写真のごまだれ

端正なコシのある蕎麦に野菜の瑞々しさが加わって、すすり心地がなんとも爽快! トッピングした蕎麦の実アラレが時折歯に当たり、カリッと音が鳴るのも楽しい仕掛けだ。さらに途中で別添えのドレッシングをかけると、冷やし中華風に様変わり。ひと箸ごとにくるくる表情変えるこのひと皿に翻弄されてみよう。

『手打ちそば 山商』

[住所]東京都新宿区上落合1-30-14 大関ビル1階
[電話]03-3362-1188
[営業時間]11時~15時(14時半LO)、17時~21時(20時半LO)
[休日]木、第3水
[交通]地下鉄東西線落合駅4番出口から徒歩4分

立ち食いの最古参、風ツユの冷やがけ旨し『そば処 二葉』@秋葉原

引き戸を開けた瞬間、ぷぅんと鼻先に漂ってきたのはカツオダシの何とも言えない良い香り。カウンターの中では白衣をパリッと着こなした職人さんが無駄のない動きで客の注文に応じている。諸説あるものの、ここが東京最古の立ち食い蕎麦屋と言われている店なのだ。少し珍しいのが、全メニューを冷やにできること。

アサリかき揚げそば 530円

『そば処 二葉』アサリかき揚げそば 530円 蕎麦は創業当時から変わらぬ仕入先で、モチモチとした食感。普通盛りでも他店の大盛りのボリュームだ。大粒のアサリを使用したかき揚げも抜群

お願いすると蕎麦を釜に放ち、水道水で洗った後、さらに氷水で締めてからツユを注いでお釣りと共に目の前にトン。その間なんと30秒~1分弱というスピードだ。関東らしく、かえしを効かせた濃い口の汁にすすり心地の良い長めでモチっとした麺が、冷たさと共に胃に落ちて行く。胡麻油ブレンドで香ばしく揚げた天ぷらやかき揚げなど、好みの具材をトッピングして、さあ召し上がれ!

『そば処 二葉』

[住所]東京都千代田区神田和泉町1-4-6
[電話]非公開
[営業時間]7時半~18時
[休日]土・日・祝
[交通]地下鉄日比谷線秋葉原駅1番出口から徒歩4分

撮影/小澤晶子(初代)、鵜澤昭彦(一久)、谷内啓樹(山商)、西崎進也(二葉)、取材/菜々山いく子

2023年8月号

※2023年8月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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