「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!その内容は、「お悩み相談」…
画像ギャラリー「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!
その内容は、「お悩み相談」です。これまで約1年半のコラム連載を通して、食・あそび・勉強・旅…と、様々なテーマで「(理想の)大人とは?」について考え、目指してきた (そしてこれからも目指していく)前田さん。その経験を生かした視点で、皆さんから寄せられたお悩み相談に答えていきますよ◎
第7回の今回は、自分のことを認めてあげられない時、どうすれば?というお話です。
[今回のお悩み]
「夢や目標を持った経験がないせいで自己承認が弱く、自分のために頑張ることに価値を見出せません」
私には今、夢や理想などの目標がありません。正確に言うと、今までの人生で明確な目標を立てたことがなく、そのために何かを頑張ったことがありません。
そういう生き方をしてきたため、卑屈で自意識過剰な考え方になり、やりたいことが無ければ、何も頑張ったことがないので自信を持ってできるようなことが何も無い、自己承認が皆無の状態になっています。
人の目という名の自意識を気にして行動し、自分のために頑張ること、いわゆる自己投資や自分磨きをする気が全然起きません。
社会人にもなり、自分と向き合わないといけないと思うのですが、自分のことを考えるとどうしても悲観的かつ破滅的な思考に陥ってしまうので、結局考えないように外に外に意識を持っていき、現実逃避してしまいます。
自分のことを考える時に、なるべくバイアスをかけずに向き合うにはどうしたらいいでしょうか?
また、自分のために頑張ることに対してどうすれば価値を見いだせるでしょうか?
この相談内容もどこまでも自己中心的なもので、前田さんにこんなことを聞くのはいかがなものかと思うのですが、ご意見いただければと思います。
兵庫県 20代 女性 派遣社員 (販売職)
「夢至上主義」に屈する必要はない
幼少期から夢を持たなければならない圧力ってありましたよね。
私はたまたま野球という夢と呼べるほど努力ができるものに出会えたからその圧力に対して何も思わなかったけれど、冷静に考えると、目標だ未来だ夢だを持っているように強いられる場面も多かったと思う。
「希望の進路は?」と聞かれてきたけれど、普通に考えれば中学生に進路を問うのも酷だと思うんですよ。この学校に絶対行きたい!だなんて強い思いを持って進路を決められる子なんて、ほとんどいないですからね。
叶うことを強く望むほどの夢を持っている人なんて、そんなに多くないのだから。なんか迫られたから仕方なく決めざるを得ない。
それなのにも関わらず、まだ将来のことなんてよく分からない状態で先生と進路について話し合い、無理矢理志望校を書き出された経験をした人も多いはず。
そんな絞り出した夢なのに、実現に向かって努力しろと、学校や親や塾から圧力をかけられてもねえ。頑張れなくて当然だし、それに対して責められる筋合いもない。
とりあえず決めた高校に努力をして入っても、次はどこの大学だ、と問われる訳ですよ。自身の心が惹かれる方向ではなくても3年間の高校生活という期限のうちにまた進路を迫られて、決断を余儀なくされる。大学受験だって強く心が望んでいないものに努力なんて出来ないのは自然の摂理な訳で。
だから相談者の方のように、今まで何かに対して本気で頑張れなかった人も多いと思うんです。貴方が変な訳ではない。
だから分かっておいてもらいたいのは、夢を持っていたからといってその人が崇高な人間な訳ではないし、同時に夢を持っていないから低俗な人間な訳でもない。別に目標を定めて努力していることが尊いことでもないんですよ。
未来、希望、夢って言葉は明るいキラキラした言葉に聞こえるけれど、前を向いていないといけない、と言われているようで辛くなる瞬間がある。人間、頑張らなくたっていいし、それでも幸福でいられるのに。
なんなら、たまには不幸だったとしても、それはそれでいいじゃない。常に幸福でなければいけない、という圧力が「夢を持て」という言葉に内在されていると言ってもいい。
私たちは、そんな夢至上主義に対して中指を立てて強く立って行かねばいけない。
上り坂がない平坦な道が続いていたって、人間、生きてるだけで十分に素晴らしいのだから。
勾配があればあるほど景色は高いところから見えるかもしれないけれど、長く平たい道を歩いてきた人にしか分からない感情だって見えない景色だってある。
頑張らなくったって、別に良いのだ。
「夢の実現」と「自己承認」に因果関係はない
あと、相談内容を見ていると、夢や目標がなくて努力をしていないから自己承認ができていないと書いていたけれど、それは違うと思う。
確かに、夢を持って努力して、それが叶った人は、その努力が無駄じゃなかったと今までの自分を肯定することもできるでしょう。
けれど、夢を叶えても自己肯定感の低い人間も多いのだ。成功者であっても自己嫌悪から精神的に病んでしまう人もいるし、自ら命を断ってしまう人もいる。なんであんな凄い人が、と思う人も多いだろう。
どういうことかというと、夢を追っている、達成した、などの事象と、自己承認に因果関係などないということなのだ。
私たちが自身を愛するために必要なのは、夢に向かって努力をすることではない。だから、無理をして努力をして、それを達成したとしても、自分で自分を肯定してあげることが出来ないことも多いのだ。
私もその一人。
この世界でご飯を食べられるようになったのだけれど、その事実だけでは、自身のことを肯定なんて微塵もしてあげることが出来ていない。
夢の達成は、一瞬の達成感に包まれることはあるけれど、人間の本質を変えるほどの力がある訳ではないのだ。
では、自己承認をどうやってしていけば良いのか。
もちろん、段階はあるし、私自身が自分のことをちゃんと認めてあげることがまだ出来ていないのだけれど、まず最初にできることと言えば、『時間をかけて、自分の歪みを自分が許して、他者から守ってあげること』にある。
相談者の方で言うのであれば「自分磨きが出来ない」という自分も、それでいいじゃないか、と開き直れるかが自己承認の第一歩なのではないかと思います。
自分磨きが出来ないことで、誰かに迷惑をかける訳でもないんだから。
その事実で自分のことを嫌いになる一方なのであれば、まずはその自身の思う自分の歪んだ部分を自分が許してあげるところからやってみましょう。
自分磨きが出来ない、というのは、言い換えれば、見栄を張らない、とも言い換えることができるし、いくらでも良いように言い換えることができる。
そうやって自分の嫌いな面を少しずつ違う表現をして違う角度から見ることでも、悪いものではないのかも、と思えるようになるかもしれません。
自分に厳しいと、自分の歪んだ部分と向き合ったときに、自己嫌悪に陥りやすくなってしまいます。
自分に優しく。
変わってる部分も、人と異なる部分も、社会で生きていくにはいらない部分も、まずは自分自身が、それが自分だと許してあげて、認めてあげてみてください。
自己承認にまず必要なのは、夢でも努力でもなく、自分が弱い自分を許してあげる自己愛に他ならないのです。
自分の心に正直にいることが「自分を大切にする」ということ
自分のためにどうしたら頑張ることができるのか、という問いについても同様だと思います。
私は「よく趣味が多いですね」だの「好きなものが沢山あっていいですね」だの言われることがある。確かに、漫画や本を買って読むし、気になったら油絵を描いてみたりカメラを買って写真を撮ってみたり、将棋盤を買って将棋をしてみたり、多趣味な方なのだと思う。
けれど、これって何をしているかって、私は私の心に忠実でいよう、と心に決めているから、気になったものはすぐにやってみよう、と行動に移しているんです。
何も考えていなかったり、何も感じていないようで、ちゃんと耳を傾けてあげると、自分の心は常になにかを言おうといています。
「あれが心地よい」「あれは好かん」「やってみたい」そんな小さくて弱い自分の心の声を聞き漏らさず、じゃあやってみよう、と自分が自分の一番の味方でいてあげているだけなんです。
自分を一番大切にしてあげられるのは自分自身。もしも、自分磨きをしたい、って心が言っているのであれば、面倒であっても、その心の声を大切にして行動してあげてください。
「やっぱり面倒くさくていいや」って、心の声が言うのであればやめればいい。
心の声を無視して、行動に移さないのは、自分自身を大切にしていないことなんです。
自分の心に正直に。
自分の心を、自分自身が甘やかしてあげてみてください。最初は面倒だと思うかもしれませんが、自分の心を甘やかせば甘やかすほど、最終的にはなりたい自分に近づく手段になる訳です。
現代を生きていても、誰も自分のことを甘やかしてくれる人はいませんから。純粋な、見返りを必要としない愛は、まず自分が自分の心に対して与えてあげるべきなのです。
担当編集者からのひとこと
突然ですが、私は髪を染めています。巷で流行中の、インナーカラーというやつです。ちなみに今は黄緑です。その前はピンク、その前はグレーでした。
社会人として生活していくうえで、髪をカラフルにすることが自分にとってプラスに働いているのかどうかは、正直分かりません。奇抜な髪色に、良い印象を抱かない人もいると思うからです。
でも、じゃあなぜ染めるのか、と聞かれれば答えは単純、カラフルな髪色が好きだからです。髪がきれいな色になると、ちょっとテンションが上がります。そして私は、これも立派な「自己投資」であり、「自分磨き」だと思っています。
つまり、「自己投資」や「自分磨き」って、資格を取るとか、毎週ヨガに通うとか、毎日自炊をするとか、そういう「エネルギーを必要とすること」とは限らないと思うのです。
仕事帰りにコンビニでアイスを買うことだって、広義では「自己投資」。新しい服を買うことも、ざっくり言えば「自分磨き」。
まずは、前田さんの仰るように「自分の心に正直に」、自分が嬉しいな、楽しいな、と思うことに従って行動してみることが、相談者様が必要だと考えている、「自分と向き合うこと」に繋がるのではと思います。
前田さんへの相談大募集!
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前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。
ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。