編集部スタッフの「思い出の昭和の味」 編集・武内の昭和の味「ミルメーク」 昭和といえば義務教育時代の給食。牛乳(オハヨーでした)をコーヒー味に変える魔法の粉「ミルメーク」が好きで、女子からもらって机にいくつもキープしてま…
画像ギャラリー昭和の味をもとめ、約1ヶ月に渡る調査を続けた『おとなの週末』ライター陣が集結。菜々山、肥田木、松田、井島が、心に響いた昭和の味を語ります。そして、編集部スタッフによる思い出の味もご紹介。懐かしんでもらえれば幸いです。
昭和な店は行ける間に早く行くべし!
松「今回の取材を通して思ったんだけど、私にとっての昭和の味は、いい意味での“素朴”。華美ではなく当たり前においしい、何事も過ぎない、ちょうどいい味ってことなんじゃないかな、と思ったの」
菜「さすが松田姐さん、のっけからいいこと言う。私が担当した洋食もまさにそれ。おいしさの中に、どこか子供の頃に食べた味が見え隠れしてて、何度胸がキュンッてなったことか」
肥「じゃあ、いく子ちゃんがいちばん胸キュンした店は?」
菜「選べない、全部の店でキュンキュンしてた(笑)。それは味だけじゃなく、映画のセットさながらの店の雰囲気とか、今じゃなかなかお目にかかれないレトロな食器とかにもね。でもあえて挙げるなら『三岩食堂』かなあ。懐かしい食堂の味ってところもそうだけど、調理の過程を見ていたら、一つひとつの仕事がものすごく丁寧だしフライパンだってピッカピカに磨かれてた。そんな真面目な姿勢だからこそ、店が長く続くんだな、と」
井「それは勉強になるね」
菜「でしょ!来月から心を入れ替えて真摯に仕事に取り組もうと思ったもん。それと言わせて!過去最高レベルに取材拒否のオンパレードだったの。恵比寿の『H』でしょ、駒込の『K』でしょ……、もう何軒断られたことか。どこも“年取っちゃったから忙しくなると体力がもたないよ”ってな理由がほとんど。昭和の味は、これからどんどん少なくなっちゃうかもしれないね」
井「それよそれ!私は喫茶店を担当したんだけど、今回取材したお店でも今年の年末で閉店すると聞いてびっくりした。推しは推せるときに推せじゃないけど、行こうと思っている店は、いつかではなく、今すぐ早く行かないと!」
肥「そうでもないかもよ。私は大衆酒場を担当したんだけど、次世代が元気に店を継いでるところもあった。それが『だるま』。初代亡き後、その娘の姉妹が店を守っているんだけど、常連さんのことをさりげなく気遣ったり、愛あるツッコミを入れたり、おじさまたち、皆うれしそうでデレデレ(笑)。いや私もデレデレ。姉妹の華やかで気取りない雰囲気がいやらしくなくて、かっこいいんだよね。それに、『NAKANOブリック』よ!」
菜「少し前に閉店しちゃったよね。好きだったのに残念」
肥「それがなんと前店主から経営を引き継いで再出発したんだよ!」
菜「マジで!?それはビッグニュースだわ」
肥「かつての常連さんも『どんな形でも再開してくれたことがうれしい』と通ってくれてるみたいで前店主の娘さんもとても喜んでいるとか。やっぱ昭和の大衆酒場の魅力は、昔懐かしい味はもちろんだけど、やっぱり人!!人情!!」
松「うう、なんだか心に響くわ〜。今度のおと週女子会は大衆酒場で決まりね」
肥「あ、なら『北畔』もおすすめ。え、待って、私タイムスリップした?てな感じの昭和の店で、賑やかな上野の街にこんな店が残っていることがもう奇跡。季節ごとの名物がある料理もしみじみおいしくて、女将さんも超絶素敵。寒くなったら東北から届く白子と鱈を使った冬の名物・津軽雪鍋をみんなで食べに行こうよ」
菜「鍋をつつきながら女将さんが燗をつけてくれたお酒をクイッとね。そそられるわ〜」
肥「相変わらず、おっさんみたいなこと言うね(笑)」
あくまでプリンが主役 プリン・ア・ラ・モード
松「酒場の話で盛り上がっているとこだけど、私にも語らせて」
肥「松田姐さんは何の担当?」
松「プリン・ア・ラ・モードよ」
菜「それは品のある昭和の色気をまとった姐さんにぴったりのお題で(笑)」
松「うふふ。でも最初に昭和の味とは華美ではなく……、って言っちゃったけど、プリン・ア・ラ・モードはちょっと贅沢なスイーツよね。だって主役(プリン)だけでも成立するのにそこにフルーツどっさり、生クリームにアイスクリームまで。まさにご馳走よね」
井「やっぱりプリンは昔ながらの固め派?」
松「それが理想よね。今回取材した『パーラーオレンジ』、『喫茶ニット』、2軒とも、至極真っ当な昭和的おいしいプリンを味わえる店よ。特に『パーラーオレンジ』なんて約1時間半かけて低温で焼き上げるから、その手間が尊いの!それにプリン・ア・ラ・モードって、意外とバランスが難しくて、生クリームやフルーツがプリンを超えて主張してはいけないのです。全体的にバランスよくまとまった味わいでなければ!(力説)」
ブームが過ぎ去っても残ってほしい昭和遺産
菜「な、なるほど」
井「それなら私も言わせて!今回の取材で特に記憶に残った味が『CIVITAS(シビタス)』のホットケーキ。最近は甘さ控えめの傾向が強いし、それもいいと思うけど、この店は生地自体が甘くて味が濃かった。シロップをかけなくても十分おいしいの。土日は、トイレに行く暇も、お昼ご飯を食べる暇もないほどホットケーキを焼き続けてるんだって。ホント大変だと思うけど、無理せずこの先もずっとこの味を守ってもらいたい」
松「にしても、何でこんなに昭和に惹かれるのかしらね?」
菜「今じゃ昔ながらの喫茶店にZ世代もこぞってやってくるしね」
肥「なんていうか、昭和って今も愛されるいろいろな味や商品が誕生した時期でもあって、時代に勢いがあった。そんな活気や熱量の名残りが令和の今でも人を惹きつけるのかもね」
井「今のレトロブームは、そのうち過ぎ去るかもしれないけど、“本物の昭和”ができるだけ多く、長く残っていてほしいと、この時代に生まれた私たちとしては願うばかりだよね」
編集部スタッフの「思い出の昭和の味」
編集・武内の昭和の味「ミルメーク」
昭和といえば義務教育時代の給食。牛乳(オハヨーでした)をコーヒー味に変える魔法の粉「ミルメーク」が好きで、女子からもらって机にいくつもキープしてました。そういえば、自宅のサイドボードに置かれていた「バイオレットフィズ」。大人になったら飲みたいものNo1でした。
編集・戎の昭和の味「たまごアイス」
昭和の味となると、目線は自然と駄菓子屋へ。当時よく食べていたのがこれ。玉子型で袋に入らずむき出しで売っていれば、「コロンブスの卵」とパッケージされたものも。先端が尖っていることから「おっ◯い」と呼ぶヤツもいた。最後にアイスがドドッと流れ出る“トラップ”が懐かしい。
ライター・菜々山の昭和の味『すかいらーく』の「コーンスープ」
埼玉の片隅にある実家の近くに『すかいらーく』がオープンしたのは、たしか小学校低学年の頃。甘くてクリーミーな味が気に入ったのはもちろんだけど、スープ皿からスプーンで飲むってことをこの店で初体験。それがなんだかお姉さんになった気がして、行く度に毎回注文してました。
ライター・肥田木の昭和の味『モロゾフ』の「カスタードプリン」
昭和37年誕生のロングセラー。父が、卵の風味がしっかりする素朴な味を好んでいて、子供の頃から我が家でプリンといえばこれだった。カラメルがほろ苦くて大人になった気がしたっけ。昔懐かしいガラス容器を見ると今も胸がきゅんとする〜。
ライター・松田の昭和の味「ツナピコ」
金と銀の紙に包まれた小さなキューブ型のマグロのおつまみ。子供時代、大人たちの宴席の端でよくつまんでいました。塩辛いけれどマグロの旨みがギューッと凝縮しておいしいんですよね。それをひとりで食べつくして怒られた記憶が……。
ライター・井島の昭和の味「ポン菓子」
小学生の頃、ポン菓子を作る機械をのせた小さなトラックがたまに近所に来て、お米と砂糖を渡すと目の前でポン菓子を作ってくれた。出来上がるまでのわくわく感がたまらなかった。熱々サクサクで甘くて香ばしくて大好きだったなぁ。
文/菜々山いく子、撮影/小島昇(三岩食堂)、鵜澤昭彦(だるま)、西崎進也(北畔)、小澤晶子(CIVITAS、喫茶ニット)
※2023年10月号発売時点の情報です。
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