「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!その内容は、「お悩み相談」…
画像ギャラリー「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!
その内容は、「お悩み相談」です。これまで約1年半のコラム連載を通して、食・あそび・勉強・旅…と、様々なテーマで「(理想の)大人とは?」について考え、目指してきた (そしてこれからも目指していく)前田さん。その経験を生かした視点で、皆さんから寄せられたお悩み相談に答えていきますよ◎
第11回の今回は、興味のない話題で盛り上がっているとき、どうすれば?というお悩みです。
[今回のお悩み]
「心理テストで盛り上がる職場の人たち。誰が決めたかもわからないものを、素直に楽しめません」
前田さんは、心理テストについてどう思いますか。
ある日休憩室に入ると、誰が始めたのか…話題が心理テストでした。
どこかで聞いたことのあるような「そこに木は何本ありましたか?木の本数はその人の〜の数を表しています。」というような質問の数々。途中参加の私はよくわからず答え、笑いをかっさらっていました。
先輩が何か話題を!と思ってのことなのか…そう思うと笑顔で対応してしまう自分がそこには居ます。ただ内心、それで何がわかんねん。誰が決めてんと思ってしまいます。
素直に楽しめる人に対して羨ましいなと思う反面、誰が決めたのかわからないものを素直に信じ楽しむことができません。それでも笑顔で対応する大人は善い大人でしょうか。
前田さんは、楽しめますか?
(大阪府・20代・女性・会社員)
人の心は、心理テストではわからない
私は占いを信じない。
自分の星座である乙女座が星座占いで最下位だったとしても何も悪いとも思わないし、1位だったとしても何の喜びもないし。
小学生の頃、乙女座が最下位で「ごめんなさぁーい最下位は乙女座の人ですぅ」と謝っている女子アナを見て「謝るなら順位なんてつけんな」と子供心ながら思っていた。
世界中の乙女座は一体何人いるんだ、その人間たちを全て括って運勢が同じだなんて暴論を信じられる訳がない。
それでも素直な当時の私はラッキーアイテムの白いスニーカーを履いてみたけれど、雨の日だったから汚れるだけ汚れただけだった。校庭の土で汚れた靴を見て、占いは信じるものではないと思ったものだった。
まあそれに比べたら心理テストは占いと比べると根拠があるような気がする。名前の雰囲気的に。心理ってついてるし。
けれど、調べてみると、心理テストも占いとそこまで大差がないようだった。
どうやら、占いと心理テストは推定するのが「吉や凶」か「今の心の状態」かが大きな違いで、本質的な「個人の情報から、何かを推定する」という部分でいうと同じようなものだった。
心理テストと似たようなもので、医療行為として認められる臨床心理士の行う心理検査というものがある。
興味を持ったので調べてみると、専門の知識を持った臨床心理士が行う心理検査であっても、心そのものを検査できる訳ではないらしい。心は実在するものではなく形のない概念であるためだそうだ。精神というものはMRIで検査できるものではないから、診断というものが非常に難しいものなのだ。
心理検査とは、あくまでも知能、性格傾向や認知機能といった様々な要素を把握する検査であって、心そのものを断定することは困難なのだ。
そんな、国家資格を取ってようやくなれる臨床心理士であっても判断が難しいものなのに、サイトで調べてパッと出てきた心理テストや占いでその人の心の在り方が分かる訳がない。
だから、相談者の方がみんなでやっていた心理テストも、根拠もなければ誰が考えたかも分からない適当なもので、話のネタとしてみんなで雑談をしている、と割り切れば、もう少しストレスも少なくなるかもしれませんね。
結局のところ、相談者さんの違和感というのは、心理テストによって他者から「お前はこうだ」と決めつけられているように感じる部分なのかもしれません。
誰かに対して「私のことをこんな簡単に分かられてたまるか」という気持ちは私も頻繁に感じるので理解できる。
「くだらない話題」はお互い様
では、心理テストや占いを信じている人や、信じてはいなくとも楽しめる人たちと円滑なコミュニケーションをとるには、自分もそれらを信じられるようになるべきだろうか。
私は否だと思う。
他人と上手く関わっていくために、感性を無理やり変える必要はない。
私の場合は、そのうえで、ニコニコしながらやり過ごすようにしています。だって、私が今年の阪神タイガースの優勝について話をした時に「私、興味ないんで」と冷たくあしらわれるより、形だけでも話に付き合ってくれた方が嬉しいですから。
心理テストとか占いとか、自分の信じていないものでも、相手が興味があったり楽しもうとしているものであれば、自分もなるべくその話題に付き合おうという姿勢を作るようにしている。
相手にしてもらえたら嬉しいことは自分もするべきだし、されたら嫌なことはするべきではないからね。
それに、お互いが興味のあることしか話ができなかったら、話題なんて本当に少なくなってしまいますからね。
だからその手の類いの話題になった時は、内心「なに言ってるんだか」とか思ってしまうことはあるかもしれないけれど、人間関係なんて持ちつ持たれつですから。くだらないと思いながらも、相手に合わせるようにしています。
参考になるかは分かりませんが、自分には興味がないからといっても、他人にとっては価値のある時間かもしれませんから。
くだらないと思ってしまう気持ちを変える必要はありませんが、自分も同じような気持ちにさせてしまっている可能性もある訳です。
「なんだこの時間」と思ってしまうようなコミュニケーションの時間があっても「お互い様、お互い様」と心の中で念じてニコニコしているのがいいかもしれません。
担当編集者からのひとこと
以前、専門機関で性格診断のようなものを受ける機会がありました。その結果表には「内気⇔社交的」「慎重⇔大胆」といった数直線がいくつか載っていて、自分がそのグラデーションのどの辺りに位置しているかが示されていました。
私は「筋道より人の気持ち重視⇔人の気持ちより筋道重視」という数直線で、「筋道重視」の方に振り切れていました。コメント欄にも「もう少し人に寄り添い優しい心を…」といった文言が。
確かに、良くも悪くも論理的・分析的な自覚はありますが、ここまでとは…とショックを受け、信頼できる友人たちに、この結果を伝えてみました。すると、「確かに言えてる」「その二択だったら筋道重視だと思うけど、そこまでとは思わない」など、反応は様々。
傾向として「冷静で論理的」なことに疑う余地はないとしても、相手や状況、もしかしたら私の機嫌などによっても、「私」というものは変わるのでしょう。
つまり、専門家が作った数百もの質問に答えて得た結果ですら、人の性格を断じることはできないのです。前田さんもおっしゃるように、たった数問の心理テストで、人の何かしらを判断できるわけがありません。
ただ、そんな誰に何の影響も及ぼさない無責任な話題だからこそ、気軽に盛り上がれる、ともいえるのではないでしょうか。なので、私は心理テストを信じてはいませんが、好きではあります。
ちなみに、心理テストについて調べてみたところ、1990年代初頭のテレビ番組をきっかけとしたブームによって、広く知られるようになったそうです。今では、すっかり一般的なものになりましたね。
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前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。
ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。