「立ち食い蕎麦大好きライター」が本気で選んだ“トッピング別”ベスト5 何かをのせてこその立ち食い蕎麦なのだ!

【がっつり満腹になれる春コロそばベスト5】 1位 『丹波屋』 @新橋 春菊天とコロッケをWトッピングしたものを“春コロそば”と呼びたい。『丹波屋』の春菊天は刻んだ春菊を薄衣で香ばしく揚げたサクサクタイプ。宗田節とサバ節、…

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お待たせー!みんなが大好きなB級グルメ・立ち食い蕎麦(TGS)の時間だよ。立ち食い蕎麦の大ファンであるライター渡辺が、個人的ベストを発表!あなたの1位はどこ?

【近くに来たら必ず立ち寄るフェイバリットなベスト5】

1位 『一○そば』 @駒込

なぜかクセになる味。大量のカツオ節とサバ節でじっくり取ったダシと強めのかえしで作るつゆはかなり濃いめ。太さを選べる麺は、蕎麦の香りが強い太蕎麦が、濃いツユによく合う。ゲソ天と並ぶ人気のとり天は妙にでかい。

ゲソ天そば 430円

『一○そば』ゲソ天そば 430円

[住所]東京都豊島区駒込3-3-14
[電話]03-5980-7888
[営業時間]5時半〜15時(変わる場合あり)
[休日]お盆・年末年始
[交通]JR山手線ほか駒込駅北口から徒歩3分

『一○そば』

2位 『そばよし』 @日本橋他

鰹節問屋直営の店。のど越しよい細麺と、さすがはダシ香るツユが光る。

『そばよし 日本橋店』 かけそば+海苔トッピング

『そばよし 日本橋店』 かけそば+海苔トッピング

3位 『かしやま』 @田端

とにかくホッとする味わい。

『かしやま』 きつねそば

『かしやま』 きつねそば

4位 『蕎麦一心たすけ』 @田町他
細くてコシのある麺が上品なツユと相まってスルスルと旨い。

5位 『山吹』 @江戸川橋
肉どうふそばなど個性的なメニューが多く、そのどれもが秀逸 。

【多層な旨みでヤミツキに!?肉そばベスト5】

1位 『のじろう』 @江古田

2020年12月オープンの『のじろう』は、サバ節と宗田節のダシが効いたツユに、太めでコシの強い麺が特徴的。そこにツユでさっと煮た豚バラ肉がたっぷりとのる。肉と麺をモリモリ食べる感覚。

肉そば 630円

『のじろう』肉そば 630円

[住所]東京都練馬区小竹町1-57-5
[電話]03-6909-4926
[営業時間]8時〜20時
[休日]無休
[交通]西武池袋線江古田駅北口から徒歩1分

『のじろう』

2位 『白河そば』 @牛込柳町

塩ダシのやさしいツユと甘めに煮た牛肉がいい具合。

『白河そば』 かけそば+牛肉トッピング 650円

『白河そば』 かけそば+牛肉トッピング 650円

3位 『豊しま 飯田橋店』 @飯田橋

やわらかく煮込まれた豚バラ厚い一枚肉がどどん!甘いツユと響き合う。

『豊しま 飯田橋店』厚肉玉そば 770円

『豊しま 飯田橋店』厚肉玉そば 770円

4位 『河北や』 @小川町 肉そば 580円
山形県河北町発祥の肉そばの味を忠実に伝える店。

5位 『雑賀屋本店』 @牛田 鶏天太麺そば 570円
鶏天は開いた肉の唐揚げタイプ。激アツの揚げたてがジュワッと入る。

【がっつり満腹になれる春コロそばベスト5】

1位 『丹波屋』 @新橋

春菊天とコロッケをWトッピングしたものを“春コロそば”と呼びたい。『丹波屋』の春菊天は刻んだ春菊を薄衣で香ばしく揚げたサクサクタイプ。宗田節とサバ節、昆布、干し椎茸でしっかり取ったダシ、ざらめの甘みが強いツユに、春菊の苦味、コロッケのじゃがいものねっとり感がいいアクセントになる。

春菊天そば+コロッケ 570円

『丹波屋』春菊天そば+コロッケ 570円

[住所]東京都港区新橋2-16-1 ニュー新橋ビル1F
[電話]03-3508-9579
[営業時間]7時〜23時
[休日]日祝
[交通]JR山手線ほか新橋駅西口から徒歩2分

『丹波屋』

2位 『江戸丸』 @高円寺

春菊天が香ばしく、コロッケがクリーミー。

『江戸丸』 春菊天そば+コロッケトッピング 600円

『江戸丸』 春菊天そば+コロッケトッピング 600円

3位 『やしま』 @西葛西

揚げ物全般が、衣しっかり系!

『やしま』 春菊天そば+コロッケトッピング 610円

『やしま』 春菊天そば+コロッケトッピング 610円

4位 『スタンド野むら』 @浅草橋 かけそば+春菊天・コロッケトッピング 580円
ツユが黒々と濃い“暗黒系”の代表的な店。天ぷらもコロッケも麺もどんどん黒く染まっていく。ツユをちょい吸った頃合いがいい。

5位 加賀』 @初台 春菊天そば+牛肉コロッケトッピング 670円
かき揚げが名物の有名店。春菊天もコロッケ(牛肉)も確かな美味しさ。

【あと引く刺激とツユの調和にハマり中 カレーそばベスト5】

1位 『柳屋』 @笹塚

蕎麦ツユに合うカレーを追求してたどり着いたのが、スパイス感がほどよく感じられるキーマカレー。醤油の香りが立つダシと、コク深いカレーをまとった麺は夢中ですすってしまう。じゃがいも天のトッピングもお忘れなく。

キーマカレーそば+じゃがいも天 620円

『柳屋』キーマカレーそば+じゃがいも天 620円

[住所]東京都渋谷区笹塚2-11-4
[営業時間]6時10分〜14時半
[休日]土日祝
[交通]京王線笹塚南口から徒歩3分

『柳屋』

2位 『山吹』 @江戸川橋

和のダシとスパイシーさが調和する“蕎麦屋のカレー”を堪能できる。

『山吹』 カレー南蛮そば 650円

『山吹』 カレー南蛮そば 650円

3位 『ねぎどん』 @入谷

カレーのパンチにも負けない麺自体の旨さが光る。

『ねぎどん』 カレー蕎麦 690円

『ねぎどん』 カレー蕎麦 690円

4位 『福そば』 @人形町 カレー南蛮そば 590円
少なめのつゆに、とろみの強いカレーがたっぷり。玉ねぎの甘みが際立つ深い味わいのカレーをコシのある麺によく絡めて味わえる。

5位 『そばよし @日本橋他 カレーそば 560円
昔ながらの黄色いカレーが、少なめのつゆと抜群にマッチ。

立ち食いなのに、じゃない 立ち食いだからこその世界

ひと口に「蕎麦」と言っても、本格的な手打ち蕎麦と立ち食い蕎麦とは別の食べ物。その麺は、一般的には蕎麦粉の配合比率が3割〜4割とも言われ、実はうどんに近いものも少なくない

ツユも繊細な風味よりも、強いダシと醤油の味がガツン来るインパクト重視のものが多い。かと言って、それがダメという訳では決してない。むしろ、そこがいいんだよ!と声を大にして言いたいのです。

蕎麦前でしっぽり一杯やって、〆に打ち立ての蕎麦を手繰る、なんて時間はこの上ない贅沢。一方、立ち食い蕎麦屋に飛び込んで、ちょいモソッとしたやわらかめの茹で麺をハフハフやって、ものの3分でご馳走様!なんてのもまた至福の時だ。

スポーツ観戦で例えるなら、手打ち蕎麦屋でしっぱりが手に汗握るオリンピック。立ち食い蕎麦が笑って観られる芸能人水泳大会のようなもの。年がバレる古さだが、とにかく立ち食い蕎麦には気軽な楽しさがあるのだ。

麺のクオリティをウリにしているチェーン店は話が別だが、立ち食い蕎麦の個人店ではかけそばやざるなど、麺だけを味わう人は極端に少ない。きつねや肉南蛮のようないわゆるタネ物か、天ぷらなどのトッピングを加えて味わうのが一般的だ。

『一○そば』巨大なとり天150円の他、ゲソと鶏肉をボールにしたGTO70円、季節野菜のかき揚げも楽しみ

券売機ではない店によっては、入店後即座に「蕎麦ですか?」と聞かれ、「あったかい蕎麦で」と答えると、店員は茹で麺を温めつつ、トッピングの二の句を待っている。何がしかがのって蕎麦はようやく独り立ちするのである。

バターとマスタードを塗った食パンを2枚合わせただけではサンドイッチとは呼べない。何んらかの具材を挟んだ途端に、サンドイッチ一丁あがり!となるのと同じ。同じってなんだよ。

肉そばは立ち食い蕎麦のタネ物の代表格。東日本では豚肉のことが多い。豚バラ肉がガッツリのるタイプはトレンドのひとつ。『のじろう』は店主が立ち食い蕎麦を食べ歩き、つゆはココ、麺はこの感じ、肉はこの味付けをまねてみようと、各店をいいとこ取りして肉そばを完成させた

『のじろう』の看板メニューが肉そば。麺が250g、肉が100g入る豪気な一杯

同じ豚肉でも『豊しま』のように角煮のようなタイプもあれば、『白河そば』のような牛肉『河北や』のような鶏ダシ&鶏肉トッピングのパターンもある。好みの肉をトッピングして、麺だけでは不足しがちなタンパク質を摂取せよ。

立ち食い蕎麦は「何ご飯に食べるか問題」にも触れておきたい。昼ご飯という声が多いと想像するが、エリアによっては早朝から営業を始めて昼すぎには天ぷらや蕎麦が売り切れという店も案外多い。出社前の朝ご飯としてルーティンになっている人も少なくないし、飲んだ後の〆は必ず立ち食い蕎麦という向きもある。

知り合いの女性に合コンに行く前に必ず立ち食いで月見そばを食べるという人がいる。合コンの店で食べ物にがっつかないように&悪酔い防止のためだそうだが、月見というところに合コンにかけるただならぬ意気込みも感じる。

お腹ペコペコの時におすすめしたいのが春菊天とコロッケをWでトッピングする、春コロそばだ。春菊天も、コロッケも、普通の蕎麦屋にはあまりなく、立ち食い蕎麦だけに見られるトッピング。しかも、関東特有の文化らしい。どうせならこの二大TGSタネを欲張ってみようと試したら、これがなんともいい具合。

春菊天のほろ苦さに加え、コロッケが次第に崩れて甘みが加わる味変によって、最後まで堪能できる。サクサクの天ぷらやコロッケがツユに浸ってクッタリしていくのもまたよし。どうせなら、黒々と醤油の強いいかにも東京の“暗黒系”ツユの店で春コロをキメるのもいいだろう。

ところでみなさん、カレーそばって食べますか?「カレーならうどんでしょ」との声も聞かれますが、カレーそばにはカレーうどんとはまったく違ったおいしさがあると言わせてください。カレー本来のおいしさを麺を媒介にして純粋に楽しむなら、うどんに分があるのは間違いない。

しかし、カレーと蕎麦ツユがミックスされて独特の液体になった時、細いながらも味わいにより存在感のある蕎麦の方がよくからんで、全体をうまくまとめてくれる気がする。カレーが適度にスパイシーで、ダシも蕎麦自体のおいしさも強めの店のカレーそばは特においしい。

その1軒、『柳屋』でカレーそばにじゃがいも天をトッピングして味わったら、○清のカップヌードルカレー味に通じる背徳的な妙味に、地平が開く思いがした。個性的でバラエティ豊か。日本が誇る元祖ファストフード、立ち食い蕎麦の旅は、果てしないよ。

撮影/小島昇、渡辺高

2023年12月号

※2023年12月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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