『神田 焼き鳥 とり囲』 @小伝馬町 水炊き風 濃厚スープのハイブリット鍋 このスープに浸かりたい……。そんな鍋に出合ったのはビジネス街にある、とあるマンションの地下でのこと。昨年11月末からこの焼鳥店で始めた新名物がご…
画像ギャラリー豚に羊に鴨に鶏、さらに穴熊だって。様々な食材で楽しむ鍋が人気となっている。ダシにくぐらせ、ハフハフ頬張るしゃぶしゃぶだ。カジュアルに食べられ、しかし奥深いこのしゃぶしゃぶ。今回は、具材を「肉」にしぼって大調査。様々な食材、味わいを集めてみました!
『南渋谷 なみの上』 @渋谷
食材もスープも主役!全部が手を取り合って完成する一体感
しゃぶしゃぶとは肉なり海鮮なり、主となる食材の滋味をストレートに堪能するための料理だ。しかしこの鍋はそんなイメージをいい意味で覆してきた。
具材は九条ネギに針生姜、そして豚バラのみ。鍋の中で軽く火を通してから全部を一緒に頬張れば、シャキシャキと小気味良い食感から広がる青々しい風味や爽やかな辛みを脂のコクがまろやかに包み込む。
鶏白湯とカツオダシを合わせたツユの旨みも加われば、まさにこのひと口は完成された料理そのもの。食材のどれもが主役であり引き立て役でもある見事な一体感に惚れ惚れした。
鶏出汁しゃぶしゃぶ 2人前 4400円
さらにカウンターに大皿で並ぶ種類豊富なおばんざいや、上質なダシの沁みたおでん、さらには旬を感じさせる土鍋ご飯と、確かな食材と技にちょっとした遊び心も込めた一品にも思わず頬が緩んでしまう。
[住所]東京都渋谷区東2-22-16
[電話]03-6427-9115
[営業時間]17時~23時(22時LO)
[休日]日、月(不定休)
[交通]JR山手線ほか渋谷駅新南口から徒歩7分
『しゃぶ邸 ことぶき』 @池袋
品のある甘みに満ちた あぐー豚
最近豚バラは胃もたれしちゃって……なんて思っている人にこそ試して欲しいのが、この沖縄産あぐー豚だ。
カツオと昆布でとった琥珀色のダシから湯気が立ってきた頃合いで、まずは野菜を投入し、その上にバラ肉を広げて火を通す。しゃぶしゃぶ禁止が旨みを逃さぬ作法とか。島マース(塩)やシークヮーサー胡椒で味わうと、品のある爽やかな甘みが広がった。
あぐー豚バラ肉コース 5500円
たっぷりのった脂身だってクドさは全く感じない。「あぐー豚は一般的な豚肉に比べて融点が低く重さがないんです」と店長の菊地さん。素材の質もさることながら、フレッシュな状態を保つために切り置きせず、客の到着に合わせて準備する。そのためコースのみの完全予約制。他に石垣牛リブロースが付くコースもあり。
[住所]東京都豊島区西池袋3-31-15 ロイヤルプラザ2 5階A
[電話]03-6903-1240
[営業時間]17時~23時半(最終入店21時半)
[休日]無休
[交通]JR山手線ほか池袋駅西口から徒歩5分
『羊のロッヂ』 @西早稲田
フレッシュなラムのコクと風味をストレートに堪能
山小屋風の店内に入れば、食欲を刺激するラムの香りに満ちていた。店主の越坂部さんは大学卒業後、ジンギスカン専門店で働いたことがきっかけとなり、羊肉愛が大爆発。国内はもちろん世界各国の羊料理に触れ、たどり着いた調理法こそシンプルな“焼き”と“しゃぶしゃぶ”だったという。
ロッヂコース 3780円
コースもそれら両方を楽しめる組み立てで、まず肩&ウデロースを上部の鉄板で炙って食べ比べたら、いよいよ本番。舌に吸い付くような、なめらかな口当たりから噛むほどに旨みとコクが広がって、素材の“純”そのものの味の深さに目を見張る。それも冷凍ではなくチルドで輸入した上質な豪州産のラム肉ゆえだろう。
最後は羊のエキスが溶け出したスープで作る卵麺で最高のフィナーレを飾ろう。
[住所]東京都新宿区西早稲田3-19-3
[電話]03-6457-3929
[営業時間]11時45分~14時LO(土・日・祝のみ)、17時~22時半(22時LO)
[休日]月(祝は営業し翌火休)
[交通]地下鉄副都心線西早稲田駅1番出口から徒歩5分
『神田 焼き鳥 とり囲』 @小伝馬町
水炊き風 濃厚スープのハイブリット鍋
このスープに浸かりたい……。そんな鍋に出合ったのはビジネス街にある、とあるマンションの地下でのこと。昨年11月末からこの焼鳥店で始めた新名物がご覧の鶏しゃぶだ。
鍋を満たす純白の水炊き風スープは国産鶏ガラを8時間じっくり煮込んだもので、コラーゲンを感じるまったりとした口当たりから凝縮したエキスが炸裂する。
濃厚白濁スープの炭焼き鶏しゃぶしゃぶ 1人前 2178円
くつくつ沸いたそれに新鮮な大山どりの身を浸すこと約10秒。ムネ肉はさっぱりとした味わいにコクを増し、皮目を炙ったモモ肉からは澄んだ甘みが広がった。
白菜やねぎなどの野菜だって、スープが沁みたらご馳走に早変わり。もちろん新鮮でクセのないレバーやイクラの醤油漬けをあしらったささみなど、鍋の前を盛り上げる串や一品料理も上々だ。
[住所]東京都千代田区岩本町2-8-10 神田永谷マンション地下1階
[電話]080-4173-9494
[営業時間]11時半~14時半(14時LO)※平日のみ、17時~23時(22時LO)、土・祝16時~22時(21時LO)
[休日]日
[交通]地下鉄日比谷線小伝馬町駅2番出口から徒歩3分
『笑ウ鴨ニハ福来ル(ワラガモ)』 @吉祥寺
鴨とねぎのテッパンの相性に思わず笑み
“鴨ねぎ”なんて言葉があるように、このふたつは大昔からおいしい組み合わせの大定番。それをストレートに表現したのがこの鍋だ。
まずは和風ダシが張られた鍋に山のように盛られた白ねぎと九条ねぎをごっそり入れる。ひと煮立ちしたところで鴨の身に火を通し、クルッと巻いてパクリ。シャキシャキとした歯応えから、鴨のコクがやってきて、それぞれの甘みが相乗作用で増していく。
ワラガモセット 2人前 6000円
また身を藁で燻製しているのもポイントで、ふわりと感じる香りも心地良い。実はこの旨さをグレードアップさせる手もあって、それはしゃぶしゃぶの前に焼き鴨を堪能すること。鍋にしみ出た脂と香ばしさがツユの味をさらに深めてくれるのだ。両方を楽しめる「ワラガモセット」で注文するべし!
[住所]東京都武蔵野市吉祥寺南町2-8-8
[電話]0422-24-9383
[営業時間]17時~23時(22時LO)
[休日]月(祝は営業し翌火休)
[交通]JR中央線ほか吉祥寺駅南口から徒歩3分
『地酒や もっと』 @南大塚
穴熊のイイトコロ全部、余すことなく堪能
穴熊って知ってます?クマと言うよりはタヌキ似で巣穴を掘る習性がある。そして、しゃぶしゃぶにすると旨い!
日本全国の燗酒を扱う同店では、料理もお燗に合うものがばかり。穴熊のしゃぶしゃぶもそのひとつだ。鹿児島の猟師から仕入れる穴熊は不知火や安納芋を食べて育ったことで肉質が芳醇。脂身の多い肉をごくごく薄くスライスし、カツオダシに実山椒と柚子を加えたスープの中で脂をすすぐように火を入れる。
穴熊のしゃぶしゃぶ 1人前 2800円
ダシをまとった穴熊を口に入れたらお燗をひと口。温められて開いた酒の複雑な香りが穴熊の濃厚な味わいをどんどん深くして、ふう……幸せなため息がもれる。スープは脂が溶け出し甘やか。こちらも飲み干して自然の恵みを余すことなくいただきたい。
[住所]東京都豊島区南大塚2-44-2
[電話]03-3946-6008
[営業時間]17時~23時
[休日]日もしくは月
[交通]JR大塚駅南口から徒歩2分
撮影/西崎進也(なみの上、ことぶき、羊のロッヂ、笑ウ鴨ニハ福来ル)、鵜澤昭彦(とり囲、もっと)、取材/菜々山いく子(なみの上、ことぶき、羊のロッヂ、とり囲、笑ウ鴨ニハ福来ル)、藤沢緑彩(もっと)
※2024年2月号発売時点の情報です。
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