チャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」…
画像ギャラリーチャーハンとラーメンのセット、略して“チャーラー”。愛知で親しまれるこのセットメニューを愛してやまない現地在住のライター・永谷正樹が、地元はもちろん、全国各地で出合ったチャーラーをご紹介する「ニッポン“チャーラー”の旅」。第35回となる今回は、チャーラーのルーツを思い起こさせる、愛知県春日井市の『仙楽』へ。「ふわ玉チャーハン」を食べて思ったこととは。
『仙楽』は筆者のチャーラーの旅の出発店と同じ名前
この日はJR中央線勝川駅の高架下にオープンするスイーツ店の撮影。14時スタートなので、その前に勝川駅近くの店でランチを済ませてから現場へ向かうことにした。
店はすでにリサーチ済みである。前から機会があれば行こうと思っていた愛知県春日井市の『中華料理 仙楽』だ。
実は私が小学5年生くらいの頃に生まれて初めてひとりで食べに行ったのが『仙楽』という中華料理店だった。スーパーの敷地内にあり、当時、たしかラーメンが1杯350円だったと思う。あっさりとしたスープが旨かったなぁ。チャーハンも食べたことがあるから、私にとってチャーラーの旅の出発店なのである。
思い出たっぷりの『仙楽』という店名もさることながら、ソソられたのはメニューの豊富さ。ランチメニューだけでも20種類以上あり、ここだけのオリジナルメニューも多い。昼は混雑すると聞いていたので、ピークタイムを避けた。到着したのは12時50分頃。ラッキーなことに店の前にある駐車スペースが1台だけ空いていた。
店内に入ると、テーブル席はほぼ満員。奥の円卓がある座敷席へと案内された。4~5人の席を独占するのは申し訳ないような気がするが、混雑のピークも過ぎているだろうからお言葉に甘えることに。
注文するメニューも事前に決めてある。「ふわ玉チャーハン」+「ミニラーメン」(1017円)だ。以前から私は、「チャーハンもラーメンもメインであり、チャーラーはひとつの料理である」と言ってきた。
このメニューの場合、ミニラーメンがどうしてもサブ的なポジションになってしまうのは否めない。しかし、メインかサブかはサイズではなく、味で決まるのだ。だから食べてみないことには判断ができない。
10分も経たないうちに料理が運ばれた。言うまでもなく、ふわ玉チャーハンが右でミニラーメンは左。お盆の左上にあるのは豆板醤と紅ショウガだ。ふわ玉チャーハンは写真で見るよりも量が多い。大盛りにしなくても十分満足できそうだ。
ふわとろの卵がチャーハンの塩気をマイルドに
では、気になるラーメンからチェックしてみよう。ミニサイズにもかかわらず、具材はチャーシューとメンマ、ワカメ、ネギ。おそらく、この内容とボリュームはフルサイズのラーメンとほぼ同じだろう。麺とスープの量だけがミニサイズなのだ。
味は町中華のシンプルな醤油ラーメン。クセもなく、とても食べやすい。スッと身体に馴染んでいくようなやさしい味わい。まるで私が小学生の頃に食べたラーメンではないか。まさか、あの『仙楽』と何か関係があるのだろうか。
ラーメンはミニとはいえ、サブではなくメインであることがわかった。では、次にチャーハンだ。レンゲでフワフワ&トロトロの卵とともにチャーハンをすくって頬張ってみる。おっ、強火で炒められたチャーハンの熱を卵が封じ込めている。卵は味付けされておらず、チャーハンの塩気をマイルドにしてくれる。
チャーハンの具材はチャーシューとハム、ネギ、卵とシンプルだが、やはり卵がイイ仕事をしている。チャーハンそのものの食感はしっとり系だが、それに卵のふわとろ感が加わるのである。こんなの、旨いに決まってるじゃないか。
何でこう、人はふわとろの卵にソソられるのだろう。ちなみにノーマルな「チャーハン」の値段は605円。「ふわ玉チャーハン」の単品は753円。卵がのるだけで148円も違う。でも、注文するなら絶対に後者だろう。
ただひとつ、惜しいと思ったのは、豆板醤の存在だ。ラーメンにもチャーハンにも加えてみたが、ただ辛くなるだけで今ひとつ味変を楽しむことができなかった。ふわとろの卵に豆板醤ではなく、チャーシューのタレなどを少量かけて甘辛く味付けすれば、よりおいしくなると思った。
いや、そんな面倒くさいことをしなくても十分に旨かったけどね。次回は「辛口海鮮チャーハン」+「ミニラーメン」(1017円)を食べてみたいと思っている。
撮影・取材/永谷正樹
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