会社員である以上「こだわりがない」ことは強み!~担当編集者からのひとこと~ 私も、絶対にこれを実現するんだ!という高い志を持って働き始めたわけではないので、どちらかというと、相談者様タイプだなあ、と勝手に共感しております…
画像ギャラリー「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!
その内容は、「お悩み相談」です。これまで約1年半のコラム連載を通して、食・あそび・勉強・旅…と、様々なテーマで「(理想の)大人とは?」について考え、目指してきた (そしてこれからも目指していく)前田さん。その経験を生かした視点で、皆さんから寄せられたお悩み相談に答えていきますよ◎第23回の今回は、仕事で「やりたいこと」がない……「縁の下の力持ち」ではだめですか?というご相談です。
[今回のお悩み]
「どんなことでもチャレンジさせてもらえる恵まれた職場ですが、特にやりたいことがありません。縁の下の力持ちではだめでしょうか?」
仕事で「やりたいこと」がなくて悩んでいます。
出版社に就職し文芸編集部に配属されて数年です。若手でもどんどんチャレンジさせてくれる環境で、とても恵まれていると思います。
それなのに、「やりたいこと」が見つかりません。
他の人は「いつかこの作家さんとお仕事をしたい」「どうしても雑誌でこの特集をやりたい」「本にまつわるこんなイベントをやりたい」など、「やりたいこと」をいくつも持っています。
しかしわたしは「なんでもやりたい企画にチャレンジして」と言われても浮かびません。
そんな自分に失望したりもしましたが、考え方を変えて、誰かが引き受けなければいけない仕事を率先してやったり、部内の誰かの「やりたいこと」をサポートしたりして、そんな「縁の下の力持ちでいる」ことが自分のやりたいことなのだと気づきました。
それでも裏で「積極性がない」「意欲がない」「ビジョンがない」と言われているのを知ると、やはり具体的な「やりたいこと」がない自分が情けなく思えてきます。
自分の「興味のあること」を企画にして失敗したらどうしよう、と怯えているだけなのではないかと感じます。
一方で、「やりたいこと」があるのがそんなに偉いのか、自分だって部内で一定の役割を果たしているはず……とも思ってしまいます。
愚痴みたいになってしまって恐縮なのですが、前田さんはどう思われますか。
(東京都・30代・女性・会社員)
どんな役割の人も尊重されるべき
仕事に貴賎は無いですからね。
不本意ですよね。如何なる役割であっても、蔑ろにされるようなものはない。
私もね、芸能界で仕事をしていて不本意な扱いをされることが多いですよ。
台本に私の名前が無かったのでスタッフさんにどう立ち回ったらいいのか聞いたら「後でナレーションにするところ喋って」だなんて言われたこともある。
「邪魔しないでいてくれたらいいですから」とか「特に何もしないでいいです」と言われたことも。だったらコンビに仕事をオファーしなくて良かっただろ、だなんて思うのだけれどね。
仕事なんで言われたことをやったし、求められてなくとも出来る限り自分の出来ることをやったのだけれど、荒みますわな。
お互いリスペクトを持って仕事をしたいものですよ。
当然、私にも非はある。相手は相手で私をどう扱ったらいいか分からないが故に、そういう扱いになるのでしょうから。
けれど、最低限の敬意を持ってもらいたい。
テレビに出してやっている、というスタンスが透けて見える時に辟易するけれど、テレビの世界で頑張りたいと思っている以上は甘んじて受け入れるしかないですわな。
大切にされる程のポジションにつけばいいだけの話ではあるんですが。
どうしたら企画がまとまるかな、だなんて思考でいつも仕事してますがね。スポットライトが当たって、自分を表現できる人の方が評価されるんです。
まあ、そりゃそうなんですよ。仕事の性質上、そういうスターが評価されるのは至極当然。
芸人という職業上、そうなるのは当たり前なのですが、どういう流れで話を振った方がいいか、とか、他の演者さんとのバランスだとか考えて動く仕事をする人間だって必要な訳ですよ。
そんな陰での役回りの人を蔑む必要はないじゃない、と思うので、相談者の方の気持ちは少なからず分かります。
愚痴が積もって山となってしまっているので、この辺でやめておきますが。
「職場の“評価基準”の中で自分にできること」とは?
ただ、評価基準って職場ごとに違いますからね。
周囲を変えるのは難しいですから、こればっかりは不服ですが自分が変わるのが早い。その業界の価値基準に合う行動をする必要がある。
私も不服なのであれば、与えられる機会で、評価されるような形に自分を落とし込んで見せる必要がある訳で。芸能界なんて、他人に武器を魅せるのが価値ですから。
どんな環境でも自分を発揮できないと、今の仕事で良いと言ってもらうのは難しいんです。まだまだ課題だらけですわ。求められた方向で、自分を表現できるように頑張らないといけないわな。
相談者の方は、企画を考えて実行することが評価される環境なのであれば、その枠の中で自分に何が出来るか、落とし込んで考える必要がありますね。
やりたいことがなくてもいいと思うんですよ。
やりたいことは趣味でやって、仕事はお金を稼ぐために頑張る、という考え方だって悪いことじゃないと思うんです。
その場合、資本主義の基本理念に基づいて”お金を稼げそうな企画”を考えてみたらいいかもしれません。結局、お金を生むことが出来る人を社会は評価しますからね。
こだわりが無いからこそ、他の人ではやらない選択だったり発想が生まれることだってあるんですから。
って、何も会社の事情も知らない芸人が何を言っているんだ、と自分でも思いますが。
陰の者同士、周囲の価値基準に合わせて無理のない範囲で自分をアジャストできるといいですね。お互い頑張りましょう。
会社員である以上「こだわりがない」ことは強み!~担当編集者からのひとこと~
私も、絶対にこれを実現するんだ!という高い志を持って働き始めたわけではないので、どちらかというと、相談者様タイプだなあ、と勝手に共感しております……。
ただ、やりたいことが特にない、ということは、どこでどんな仕事を任されても「こんなはずじゃなかった」という不毛な感情を持たずに働けるということで、それはとても良いことですし、異動や組織変更などで部署や立場が変わることが往々にして起こる会社員である以上、強みですらあると感じています。
そして、相談者様のように、集団の中で、自分はどんな役割をすべきなのだろうか、と考えて行動に移し、貢献できるのは素晴らしいことですし、どんな集団でも、相談者様のような「縁の下の力持ち」は絶対に必要だと思います。
とはいえ、例えば営業職なら、まず求められるのは売上をあげることであり、集団において「縁の下の力持ちタイプ」であろうが「リーダータイプ」であろうが、「売上」が「評価基準」に直結してしまうのではないでしょうか。
ですので、「編集者」という、アイディアを出し、企画を形にすることが求められる部署にいるのであれば、それを成功させることが、集団で評価されるための最低条件になってしまうのかもしれませんね……。
私自身も、周囲からどんな働きを期待されている=何をすれば評価されるのか、そしてその「評価基準」の枠の範囲内で、自分ならどんなやり方をすれば良いのか、改めて考えたいと思いました。
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前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。
ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。