日本庭園ド・ビギナーなオレ、「おとなの週末」ライター池田である。いや、もちろんいいなとは思うわけよ。だけどもうちょい押さえどころを知ったらもっと楽しいんじゃ?というわけで、そんな私でも満喫できて、何なら“開眼”しちゃいそ…
画像ギャラリー日本庭園ド・ビギナーなオレ、「おとなの週末」ライター池田である。いや、もちろんいいなとは思うわけよ。だけどもうちょい押さえどころを知ったらもっと楽しいんじゃ?というわけで、そんな私でも満喫できて、何なら“開眼”しちゃいそうなお庭とその魅力を教えてもらったんだな。お聞きしたのは、庭園情報メディア「おにわさん」のイトウさん。全国約2000カ所の庭園に足を運んでいるっていうから凄し。
【今回の水先案内人】「おにわさん」by カレンフジ(庭園情報メディア)イトウ マサトシさん
2016年より日本全国の庭園を紹介しているウェブメディアの編集者。これまでに足を運んだ庭園は2000カ所以上。
[HP]https://oniwa.garden
『日本橋庭園』 @日本橋 東京の真ん中 日本最古のデパート屋上 空を映す水盤と植栽が美しい
日本庭園ド・ビギナーなオレ、ライター池田である。いや、もちろんいいなとは思うわけよ。だけどもうちょい押さえどころを知ったらもっと楽しいんじゃ?
というわけで、そんな私でも満喫できて、何なら“開眼”しちゃいそうなお庭とその魅力を教えてもらったんだな。
お聞きしたのは、庭園情報メディア「おにわさん」のイトウさん。全国約2000カ所の庭園に足を運んでいるっていうから凄し。
イトウ(以下イ)「最初はココ、日本橋の三越本店・本館屋上にある『日本橋庭園』へぜひ」
池田(以下池)「おお〜、なんだここは!天空のオアシス!?デパート屋上でしょ?と侮ってたんだけど、空抜けが最高に気持ちいいし、開放的だ」
イ「作庭は2019年と新しいのですが、一見現代的にして日本庭園のエッセンスが詰まっています」
池「というと……?」
イ「庭園中央に配された池。水盤が空の青や植栽の緑を映し込む様がいいんです。そして池の形はスクエアなんだけど、中に配された石の形や並び。京都・龍安寺の石庭を見ているような気持ちになります」
池「む。確かに。石は3個、5個、7個と配置されていますね。そこに波紋が広がるのもいいなあ」
イ「レトロな趣の日本橋三越本店の現在の本館は、国の重要文化財にもなっている。そんな建物の屋上に日本庭園というコントラストもいいですよね」
池「大屋根のテラスがあって、下のデパ地下で買った弁当を広げてもいいし。東京ど真ん中とは思えない癒され具合。四季の草花が楽しめるのもいい」
イ「ちょうど皇居と標高が同じだそうで、皇居の植生に習った緑を再生したそうですよ」
『蕎麦処くに作』 @町田 美しい木戸と日本家屋 貴重な自然が残る庭を愛でながら十割蕎麦を味わう
池「お次は、庭園を愛でるとともにおいしい食事も楽しめたりするといいなと思うのですが……」
イ「町田に、趣ある日本家屋とお庭、おいしい十割蕎麦が揃った『蕎麦処くに作』がありますよ」
池「木戸の門から玄関へと続く石畳がいいですね」
イ「もともと現店主の祖父・石川国作さんの私邸であり、奥様とともに作庭し大切にされてきたお庭だそうです。その石畳はかつて路面電車に使われていた敷石の御影石を再利用したものだそうです」
池「玄関を上がって中に入るとどこか懐かしくも清々しい日本家屋。柔らかい光が差し込んで、そこから眺める植栽や自然石なんかもぐっとくる」
イ「時間をかけて手入れされ、家屋と調和した美しさというのはこういう私邸ならではかもしれません」
池「立派な槙(まき)の木があるし、よく見ると大小さまざまに素敵な石がそこここにあるような……」
イ「佐渡の赤石や京都の貴船石、玄関前の大きな石は6億年くらい前の深海石だとか…。石推しですね」
池「そして山形・鳥海山の清流水が育む上質な蕎麦粉の十割蕎麦。みずみずしく香りよく最高でした!」
『日本橋庭園』
[住所]東京都中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本店 本館屋上
[電話]03-3241-3311(代表)
[営業時間]10時〜19時 ※百貨店営業に準ずる
[休日]不定休
[交通]地下鉄銀座線・半蔵門線三越前駅から徒歩1分
『蕎麦処くに作』
[住所]東京都町田市森野1-27-11
[電話]042-722-7264
[営業時間]11時半〜14時半(14時LO)、17時〜20時半(LO20時)※夜は土曜のみ
[休日]年末年始ほか不定休
[交通]小田急線町田駅北口から徒歩4分、JR横浜線町田駅から徒歩10分
「おにわさん」に聞く ゆるりと楽しむ庭園めぐりのコツ
僕は「庭ってなんかいいな」っていう感覚、言語化できなくても、そういう感覚をまず大事にしたいなと思っています。その上で、庭園をより楽しむためのおすすめがふたつ。
ひとつ目は、ボランティアガイドを利用したり、施設の方にお話を聞いたりすること。たとえば手入れの仕方とか見どころを質問してみてください。所有者の方の思いが溢れるように出てきたりして、発見があったり、見方も広がります。
ふたつ目はゆっくり歩く。周囲を見渡しながらあえて倍の時間をかけるくらいのつもりで。そうすると「あの花何だろう?」とか「立派な石だな」とかいろんな要素が目に入ってきます。心も落ち着いてより五感で楽しめます。
また、何度も足を運ぶのもいいですね。季節ごとにそのときにしか見えない景色がありますし。今回文化財や石の話をしていますが、見るポイントを「水」にしても面白いです。
「東京の名湧水57選」で検索すれば湧水を利用したお庭も探せます。たとえば国分寺の『殿ケ谷戸庭園』などがおすすめ。武蔵野台地と関東平野の境目の崖線とそこから湧き出る水をデザインに生かしている。
好きな庭園ができたら庭師に注目するのもやはりよく、有名どころでは「七代目小川治兵衛」とか。
都内では麻布十番に近い『国際文化会館(旧岩崎邸)庭園』など、和のお庭がモダン建築や東京タワーを借景にしているのもとても魅力的です(談)
撮影/松田麻樹、日本橋三越本店(全景写真)、取材/池田一郎
※2024年5月号発売時点の情報です。
※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。