「五島列島」で購入した「レモングラスカステラ」が、期待通りの“逸品”だった件について

長崎県の西端に位置する五島列島は、日本の国境の島として知られている。その現地で手にしたのが杉谷本舗の『レモングラスカステラ (税込985円) 』だ。偶然ながら、高級砂糖として知られる和三盆を加えた新バージョンが登場したばかり。五島列島のレモングラスを使ったという、その味を早速レポートしよう。入手方法についても付記しておく。

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長崎県の西端に位置する五島列島は、日本の国境の島として知られている。その現地で手にしたのが杉谷本舗の『レモングラスカステラ (税込985円) 』だ。偶然ながら、高級砂糖として知られる和三盆を加えた新バージョンが登場したばかり。五島列島のレモングラスを使ったという、その味を早速レポートしよう。入手方法についても付記しておく。

レモンカステラじゃないです。レモングラスカステラです!

目を引き付ける、垢抜けたデザインのパッケージ。和三盆が使われているのが新バージョンの特徴だ。

レモングラス(檸檬草)はイネ科オガルカヤ属の多年草で、ミカン科ミカン属のレモンとは別物だ。香り成分のシトラールが共通しており、香りがレモンに似ていることからレモングラスと呼ばれている。東南アジアではポピュラーなハーブで、料理の香り付けのほか、整腸効果のあるハーブティーとしても喫することができるようだ。

長崎名産のカステラに、長崎県の西に位置する五島列島で栽培されたレモングラスを加えたのが、今回紹介する『レモングラスカステラ(税込985円)』だ。2024年6月から、砂糖の一部に和三盆を用いた新バージョンが登場している。

小洒落たデザインと、しっかり密封されたパッケージ

長崎カステラの老舗である『杉谷本舗』と、五島列島の福江島の『グリーンティ五島』のコラボと記載されている。

五島列島の福江島の店頭で、ひときわ目を引いたのが、このパッケージだった。小洒落ている。五島列島で採れたレモングラスを使い、基本的に五島列島でしか売られていないというのも気になった。実際、製造元の杉谷本舗の通販でも、この商品は見当たらない。

例外的に取り扱われているのが、アンテナショップの『五島列島マルシェ』で、ここの通販で買い求めることができる。いっとき取り扱いがなかったが、新バージョンが新製品としてサイト上に復活しているようだ。

開封すると、カステラの杉谷本舗と、五島列島最大の島、福江島のグリーンティ五島のコラボ製品である旨が記されている。グリーンティ五島は圃場(農地)と加工でJASオーガニック認証の対象となっている。

内袋はしっかりと密閉されており、水分や害虫の侵入を妨げている。その中の台紙にあるのは『菓須帝羅』の文字だ。

除湿剤とともに密封されているレモングラスカステラ。『菓須帝羅』とある。

べたつかない甘さと、野趣を残したレモングラスのハーモニー

開封。カステラの黄色にレモングラスの緑が混じった、うぐいす色をしている。
レモングラスは料理やハーブティーにも使われる。

内袋を開封すると、甘い香りが立ち昇る。5切れのカステラは、ティータイムのお供にちょうどいいサイズだ。うぐいす色の地肌が、レモングラスが含まれていることを明示している。予想されたレモンの香りは、さほど強くない。

ひときれ皿に取り、フォークで切ると、上等なカステラ特有のしっかりした手応えが指先に感じられる。口にすると、爽やかな含み香と甘さがまず来てから、次に野趣のある苦みが来る。華やかさよりも、力強さが前に出ているように感じられる味だ。

緑茶でも紅茶でも構わないが、濃いめのお茶がよく合いそうな印象だ。力負けしない、ボディの強いものが似つかわしい。

レモングラスの苦みは強くないが、芯がしっかりしている。これに砂糖の甘さがベタついて混ざると後味に悪影響がありそうなので、そこを解決するために和三盆を使ったのではないか。

爽やかな香りと砂糖の甘さ、そこに野趣のある苦さが加わって、深みのある印象が舌の上に残る。

カステラのバリエーションには抹茶カステラというものがある。使われる抹茶の種類によって印象は変わるが、このレモングラスカステラを食べてから振り返ると、基本的にはどれも洗練性が前に出ていたように感じられる。

香りこそ爽やかだが、このレモングラスカステラは芯が強い。グリーンティ五島のレモングラス自体が「活きが良い」ものなのだろう。抑えきれない野性的な風味が底流にある。その強さに釣り合うように甘味も強めに調整され、後味をすっきりさせるために和三盆を加えた、という構図にみえる。

単品でも美味いが、濃くて熱いお茶と組み合わせると完成度が格段に上がる。疲れを抜いて元気を授かりたいとき、体に活を入れたいときに、レモングラスカステラとお茶のセットで召し上がることをお薦めしたい。

文・写真/深澤紳一(ふかさわ しんいち):PCゲーム雑誌から文芸誌、サブカルチャー誌まで幅広い寄稿歴をもつライター。レーシングスクールインストラクターなども務めつつ、飼犬のために日々働く愛犬家。

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