居心地に感動…! 《京成線のせんべろ》 覆面調査隊が選んだ「もつ焼き」「すし」「旨酒場」 ベスト5店を大公開(青砥編)

京成線「せんべろ」青砥

薪窯で焼き上げる『ピッツェリア プテカ』 路地奥の入り口を開けると真っ先に目に飛び込んでくるのが薪窯だ。 こちらのピッツァは、ナポリから船便で入れたこの窯で、店主の櫻井さんが1枚1枚焼き上げるほんまモンのナポリピッツァ。…

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懐にやさしく、旨いツマミがずらりと揃う

青砥といえば、いくつかの路線が乗り入れるターミナルではあるが、正直、これまではわりとノーマークだった。でも今回、何度も足を運ぶうちに、すっかりホームな気分、大ファンになってしまった。

よそから来てもあまり“お客さん”扱いされることなく、距離が近いというか。気取りがない下町というか。ひと言で言うなら、実にウェルカムな感じ、なのだ。

駅前を歩くと、鉄道と並行に伸びるサンロードを中心に、そこここに気になる路地があっていい店が隠れている。『忠治』のあるサンロード横丁しかり、『梅ぞの鮨』の北口中通り商店街、『小江戸』のある小路もそうだ。で、思い切って扉を開けると、活気があり、いい気の満ちた酒場が待っている。

下町といえば、焼酎を謎のエキスと炭酸で割った「ボール」こと、下町ハイボールという向きには、『小江戸』で自慢のもつ焼きと小江戸ハイボールがいい。はたまた『一笑一杯』なら、バイスやホッピーを筆頭に、いろんな割材やシロップでサワーをアレンジして楽しむこともできる。

早い時間からワイワイ賑わっているのも共通。懐に優しい価格なのに、旨いつまみが揃うのも心意気だ。

一方、お隣の立石ならもつ焼きのイメージが強いが、青砥を歩いていて思ったのは、この街、何だか魚がおいしい店が実に多い。

千住の河岸が近いのも理由のひとつかもしれないが、当たり前の顔してレベルが高いし、コスパが抜群。昨今、お魚好きには朗報だと思う。

『忠治』の黒板メニューに並ぶ刺身を食せば「魚ってほんと旨いな」としみじみするし、『梅ぞの鮨』でご主人と話をしながらあれこれ握ってもらうのも楽しい。この2店は代表格だ。ぜひお試しあれ。

(*お店の情報は<『店舗情報:京成線《立石》に続く「せんべろ」の店「堀切」「青砥」』>をご覧ください)

女性も子どももOK『もつ焼き 小江戸』

口開けとともに待ち構えていたかの如くお客さんが入ってくると、店は一気に活気づく。

店名にもつ焼きと冠するけれどもつ焼き屋然とし過ぎることなく、女性も子どももOK。店主の大島さん曰く「地元の人のための社交場」。なんて言うか“元気が出る酒場”だ。

大島さんは、昨年惜しまれつつ店を閉じた立石の名店『江戸っ子』で修業をされていて、まずはもつ焼きが旨い!パツパツテカテカでひと切れが大きく、頬張れば口の中に肉感溢れる感じ。

『もつ焼き 小江戸』(手前)串焼きお任せ5本セット (奥)小江戸刺し(タン・ハツ・レバー) (ドリンク)小江戸ハイボール 本日のお任せは、カシラ、テッポウ、つくね、ハツ、レバ。歯応えよく旨みも濃い。下町のいわゆる“ボール”(オリジナルの焼酎ハイボール)ともよく合う。低温調理でピンク色の刺しは塩とゴマ油で

鮮度抜群の「小江戸刺し(タン・ハツ・レバー)」を口に放り込み、「小江戸ハイボール」でゴクゴクやるのもいい。でもお楽しみはまだまだ。自家製ぬか漬けや季節の小鉢、ピカピカの刺身にも気合が入る。楽し過ぎる。

旬の刺身がずらり『忠治』

暖簾をくぐってガラリと入れば、昔ながらの酒場らしい落ち着いた佇まい。「店は昨年暮れで42年。葛飾区には70年いるよ」というご主人・井上さんの語り口調にもどこかほっとする。

で、ここに来たらまず何を食べたいって、魚だ。

「うちは黒板商売だから」という黒板には本日の刺身が10種類ほどズラリ。石巻の底引き網漁からの直送。そして千住の河岸でご主人が目利きした旬の魚は、いずれもみずみずしく、甘く、脂がのっている。

何を選ぶか迷うのも楽しみだ。

『忠治(ちゅうじ)』(右手前から時計回りに)スズキ刺身、寒ブリ刺身、活ホッキ貝刺身、(ドリンク)樽酒 吉乃川 甘い香りのホッキ貝、みずみずしいスズキ、きれいに脂がのった寒ブリ。ひと目で惚れ惚れする魚が期待を裏切らず旨い

名物「しめじ土瓶蒸し」。香りよく、ダシよく、熱燗で割ってもよし。しめじにエビや銀杏、三つ葉やゆり根と、中身も品のいいつまみになる。旨い日本酒もいい塩梅に揃っている。酒が進む。

名物「旨肉大根煮」がほろり『一笑一杯』

最初は夜のみ営業だったのが、コロナでのランチ営業を経て11時半からの通し営業に。それだけ「昼も続けてよ」という声が強かったわけで、早い時間から地元の人で賑わっている。

そして何やら明るい。「ニコッと一杯やってほしい」という店名通り。元気一杯な女将・恵美さんの人柄もあるな。

1階のカウンター沿いにはどぶ漬けされた炭酸や割材がずらり。自分で引き抜いて申告するシステムも楽しい。

『一笑一杯(いっしょういっぱい)』(手前)旨肉大根煮、(奥)牛たたき、(ドリンク)赤ホッピーセット 必食の「旨肉大根煮」は箸を入れるとほろり、口にジュワンと旨みが広がる

つまみも多彩だ。恵美さんの実家が肉の卸でいい肉がリーズナブル。名物「旨肉大根煮」がほろりと美味で、牛たたきも見逃せない。

毎日丸で取る鮮魚もいいし、おかずをチョイスして食べながら一杯やれる定食飲みもアリだ。顔を出すのが楽しみな店!

老舗すし屋で一杯『梅ぞの鮨』

寿司屋になって40年。同じ場所でその前は祖母が甘味屋から蕎麦屋をやっていたという趣を感じる店構え。駅前にこんな店があったら、ついつい立ち寄って一杯やって握ってもらうなと思う、そんな店だ。

話好きで構えたところのないご主人・米山さんが立つカウンターは居心地よく、つまみも多いし、にぎりは1貫からOK。

『梅ぞの鮨』(手前から時計回りに)小肌、中とろ、ひらめ、大海老、穴子 千住の市場を中心に、マグロは豊洲から入れるというネタはよく吟味され、やや小ぶりのシャリとよく合っている。肉厚の「大海老」も昔から人気

「なるたけいいタイミングで焼いてあげたい」という玉子焼きは、ダシが効いてみずみずしく優しい味。鮮度よく「え、旨い!」と感動する人の多い「くじら刺し」も◎。

そして「下町だからできる原価率」という寿司だ。腹いっぱい食べても大丈夫。町寿司はこうでなくっちゃ。

薪窯で焼き上げる『ピッツェリア プテカ』

路地奥の入り口を開けると真っ先に目に飛び込んでくるのが薪窯だ。

こちらのピッツァは、ナポリから船便で入れたこの窯で、店主の櫻井さんが1枚1枚焼き上げるほんまモンのナポリピッツァ。ふんわりモチリ、風味抜群の焼き上がり。これで一杯やるのが最高だ。

窯内は500℃にも達し、全方向から火が入るゆえの仕上がり。

1分とかからず焼けるので目を逸らさない、櫻井さんの表情がいい。

『ピッツェリア プテカ』岩のりとしらすのさっぱりピッツァ 岩のり、しらす、モッツァレラにパルミジャーノも削って。生地は甘く、香り良く、こんもりした縁までおいしい

人気のピッツァのひとつ「岩のりとしらす」。海が近いナポリにはこんなラインナップもあるそう。驚くほどたっぷりのしらす、パルミジャーノもふんだんに削られ、海の香りとチーズも一体に。

前菜や日替わりの黒板メニューもあるのでピッツァともども満喫したい!

…つづく<『東京のうなぎの名店6選 うなぎ好きの『おとなの週末』編集部がおススメ!』>では、『おとなの週末』の編集部員、ライターが、「ここはおいしい!間違いなし!」という極上の店を自信を持ってご紹介します。

『おとなの週末』2024年4月号より

(本記事は2024年4月時点のものです)

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