「うな重バーガー」の衝撃!浜松で1泊4食うなぎの旅 関東風・関西風の境目の街で大満喫

うなぎの蒲焼きの調理方法は東西で分かれている。背中を割いて蒸しを入れてから焼く「関東風」、お腹を割いてから直接焼く、地焼きの「関西風」。その境目が静岡県浜松市といわれている。それ故、浜松ではどちらも楽しめるのだ。一挙両得。まとめて食すうなぎ尽くしの旅に出た。

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うなぎの蒲焼きの調理方法は東西で分かれている。背中を割いて蒸しを入れてから焼く「関東風」、お腹を割いてから直接焼く、地焼きの「関西風」。その境目が静岡県浜松市といわれている。それ故、浜松ではどちらも楽しめるのだ。一挙両得。まとめて食すうなぎ尽くしの旅に出た。

【浜松で食べるならココは外せない!!】

関西風『鰻処 うな正』 @三方原

ふっくら肉厚の身から溢れ出すきれいで深い旨み

『うな正』が使うのは幻とも称され“共水うなぎ”。大井川の伏流水の元、ストレスなく時間をかけて育てられるため数が限られ、全国でも扱われる店が少ないからだ。

店主の伊藤正樹さんは「食材ありき。その旨みを引き出すことが私たちの仕事」と語り、一尾ごと、身質に合わせて丹念に焼き上げていく。

例えば地焼きでは通常入れない蒸しを入れるが、関東風のように脂を落とすのではなく「身をほぐし、共水らしいきれいな脂をまとわせる」という。「きめの細かい身の質感を感じてほしい」とも。

共水 上うな重 5900円

『鰻処 うな正』共水 上うな重 5900円 甘過ぎず、辛過ぎず、うなぎの旨みを引き出すタレには、昔から専用のたまり醤油が使われている

焼き上がったうなぎは見るからにふっくら、そして品よく力強い姿。口に含めば優しくも緻密な身質の中に旨みが詰まっていて、じんわり広がる。

ジューシーな脂は甘くクリアで、香りがいい。隅々まで気を行き届かせないとこの味は出ないだろうなあ。白焼きもつまみもいちいち旨い。

『鰻処 うな正』

[住所]静岡県浜松市北区三方原町467-4
[電話]053-437-3451
[営業時間]11時〜15時(14時LO)、17時〜20時半(19時LO)※売り切れ次第終了
[休日]火・水
[交通]JR東海道本線ほか浜松駅からバスで35分

【食事から呑みまで満喫 中心部&東寄りコース】

関西風『関西風炭焼 うなぎ専門店 鰻丸(まんまる)』 @大瀬町

地焼きのおいしさってこれか!と目から鱗が落ちるかもしれない。関西風の名店で16年修業して独立。100%備長炭を使い、大きさや脂の乗り方で火の入れ方も調節。

外側は見事にカリリと焼け、サクサクした食感。それでいて中はトロリ。カラメル感のあるタレの甘み、口の中に広がる香ばしい香りと力強い旨み、それが渾然一体となって混ざり合う。

白焼とタレの染みたご飯の中に蒲焼きがいる「まむし膳」もおすすめ!

まむし膳 白焼 5500円

『関西風炭焼 うなぎ専門店 鰻丸(まんまる)』まむし膳 白焼 5500円

[住所]静岡県浜松市中央区大瀬町1602-1
[電話]053-435-1519
[営業時間]11時〜14時、17時〜20時
[休日]火
[交通]遠州鉄道積志駅から徒歩20分、浜松ICから車で9分

関東風『魚料理専門 魚魚一(とといち)』 @浜松

浜松駅からも近い繁華街・肴町にあるこちらは遠州灘や浜名湖、天竜川などからの新鮮魚介を楽しめる魚料理専門店だ。そしてここでは逸品「うなぎの刺身」が味わえる。普通うなぎは生では食せないが独自の技術を開発し、商標登録も取得。

うなぎの刺身 2980円

『魚料理専門 魚魚一(とといち)』うなぎの刺身 2980円

薄造りを熟成ポン酢でいただくと、しっかり弾力のある歯応えのあと、噛むほどに脂が溶け出して旨みと甘みが追ってくる。ほかではちょっと出合えない新しい味。浜松にて遭遇!

[住所]静岡県浜松市中央区肴町318-28 ペッシェビル3階
[電話]053-458-6343
[営業時間]11時半〜14時(要予約、コースのみ)、17時〜23時(22時LO)
[休日]日(月が祝の場合、営業)
[交通]JR東海道本線ほか浜松駅北口から徒歩7分

呑みの〆もうなぎ!『酒處 ひら山』

最後は居酒屋でゆっくり呑み、かつうなぎで〆たいなら上記『魚魚一』と同エリアの『酒處 ひら山』がいい。肝や腹身など、うなぎ串盛り合わせで一杯やれるし、最後は「うなぎおむすび」(2個660円)や「うなぎタレ玉子ごはん」(495円)で〆られる。白身がメレンゲになったウナギタレTKGもパリパリ海苔のおにぎりも最高!

うなぎおむすび 2個660円

『酒處 ひら山』うなぎおむすび 2個660円

老舗で茶漬けも!『中川屋』

中心街からは少し離れるが天竜川近くの『中川屋』まで足を運び「うなぎとろろ茶漬」(5555円)をいただくのも一興だ。明治10年創業の老舗は雰囲気もよし。焼きは関東風だ。

まずは茶碗にご飯とうなぎをよそって混ぜて食べたら、2杯目はわさびや薬味とともにおダシを回しかけ、最後はお茶漬けにとろろもかけて。いやあ滋味に富んだ味!

うなぎとろろ茶漬 5555円

『中川屋』うなぎとろろ茶漬 5555円

【王道から変化球まで多彩!浜名湖・舘山寺コース】

関西風『高橋屋』 @舘山寺 ※「高」ははしごだか

浜名湖産を中心に養鰻場まで指定して仕入れにこだわり、蒸さずに備長炭でパリッと焼く関西風。時季によるが、天然ものと食べ比べや路地池の青うなぎなども登場する。

人気はうなぎ本来の旨みを味わってしいという白焼きのご飯セット。自分でさらに炙って食べられるよう七輪と共に登場。塩、ニンニク醤油がおすすめだ。

パリサクっとした焼きに身はホロリとやさしい。力強いうなぎの味が引き出されご飯がすすむ!

白焼き 一尾4500円+500円ご飯セット(香の物、肝吸、デザート付き)

『高橋屋』白焼き 一尾4500円+500円ご飯セット(香の物、肝吸、デザート付き)

[住所]静岡県浜松市中央区舘山寺町2303-4
[電話]053-482-8460
[営業時間]11時〜14時半、17時〜20時半
[休日]不定休
[交通]JR東海道本線ほか浜松駅より遠鉄バス舘山寺温泉から徒歩3分

関東風『U』取材拒否ですがめちゃ推しなのでご紹介

2階の座敷からは浜名湖が一望。場所のヒントは浜名湖遊覧船乗り場(フラワーパーク港)の近く。取材班思わず絶句のおいしさの関東風。

ふっくらと厚みのあるうなぎは箸でスッと切れ、照り照りのタレと相まって口の中でとろける。そして飲み込む先からうなぎの香りと味わいが返ってくる。

メニューは基本うな重のみだ。昭和の雰囲気漂う昔ながらの佇まいもまたいい感じ。

『U』

関東風『うなぎ専門の店 志ぶき』 @舘山寺

こんがりした焼きと柔らかな食感に、気持ち濃いめのタレがよく合う関東風。うな重はもちろん、人気のひつまぶしほか、さまざまなメニューで楽しめるのがいい。

取材班のお気に入りは、しっかりした蒲焼きの旨みと酢飯、海苔、わさびの相性が抜群でくいくい食べられる「うなぎ姿寿司」。皮目がバリっと焼けた蒲焼きが入り、熱々フルフルでダシがよく効いた「うなぎ茶碗蒸し」もよし。うなぎの旨みを三つ葉の香りが引き立てる。

うなぎ姿寿司 4850円(小鉢・肝吸い付き)

『うなぎ専門の店 志ぶき』うなぎ姿寿司 4850円(小鉢・肝吸い付き)

[住所]静岡県浜松市中央区舘山寺町2252-1
[電話]053-487-0153
[営業時間]11時〜15時、18時〜20時半 ※土・日・祝は17時〜20時
[休日]水、月の夜(祝の場合は営業、翌休)
[交通]JR東海道本線ほか浜松駅より遠鉄バス舘山寺温泉から徒歩5分

うな重がバーガーに!『ぷらんとばーがーはうす』

舘山寺温泉街のハンバーガー店『ぷらんとばーがーはうす』で“うな重バーガー”(ドリンク、ポテト付き)を発見!サイズが分かれるが、中でも大特上(2980円)のビジュアルは圧巻。

うな重バーガー(ドリンク、ポテト付き) 大特上(2980円)

『ぷらんとばーがーはうす』うな重バーガー(ドリンク、ポテト付き) 大特上(2980円)

巨大なうなぎの蒲焼きが1尾、うなぎも練り込まれたパテと共に挟まっている。トマトソースと相性よく、口の中で合わさると新しいおいしさ。土・日・祝のみ営業

食すほどに目から鱗 浜松のうなぎは深い

だもんで、浜松に来た。関西風の地焼きも食べたいし、ふわりとした関東風もよき。養鰻始まりの地、浜名湖を控え、うなぎ屋の数もハンパない。ならばいろんな絶品うなぎを巡る、浜松ならではの満喫旅を探せというのがお題だ。

1泊4食(昼・夜×2)をどう組み合わせるか、ふたつのコースを提案したい。まず浜松駅を起点にビジネスでもアクセスしやすい中心部コース。もうひとつは観光地でもある浜名湖&舘山寺温泉街へ足を伸ばすコース。どっちの場合にもぜひ行きたい1軒も選んだ。

「かんざんじロープウェイ」

で、数ある中から今回その1軒としたのが『うな正』。幻とも呼ばれる共水うなぎを使うのだが、ともかく仕事が丁寧。1尾ずつの身質に合わせ、東西いいとこ取りの仕事でうなぎの持つ滋味や香りを引き出してくれる。く~。

『鰻処 うな正』共水うなぎ白焼 5800円

『鰻処 うな正』共水 うなぎ白焼 5800円 断面を見ればふっくらしてきめ細やかな身質もわかる。本わさびと岩塩で食せば甘ささえ感じる

で、第一のコース。目玉はふたつある。まずは『鰻丸』。ここで取材班は「え、今まで食べてた地焼きって何だったの?」と開眼。炭火で焼かれた外側のサクサク食感に中はとろり。絶妙すぎる。地焼き未経験ならぜひここから!

そして『魚魚一』。カメラマンKが馴染みの(なぜだ?)地元スナックママから得たネタ。ここには何とうなぎの“刺身!”が。一見フグの薄造りのようなそれをガブリと口に入れると、噛むほどに旨みが滲み出してくる。一杯やらずにはいられない……。

浜名湖周辺では訳あってイニシャルだが『U』。だって今回浜松で食した関東風の中ではピカイチだったので。ふっくら厚みがあって照り照りのうなぎは極上のふんわりで飲み込むとまた味わい深し。思わず一同無言でかっ込んだね。

さらに舘山寺温泉街には数十歩ごとにうなぎ屋が点在。さすが浜名湖のお膝元だ。そしていろんなスタイルがあり、選択肢も多彩なのだ。ニンニク醤油で食す『高橋屋』の地焼きの白焼きや、『志ぶき』のうなぎ姿寿司にも意表を突かれる。浜松のうなぎ、4食じゃ足りないぞ!

『高橋屋』白焼き 一尾4500円+500円ご飯セット(香の物、肝吸、デザート付き)

『高橋屋』白焼き 一尾4500円+500円ご飯セット(香の物、肝吸、デザート付き)

撮影/小島昇、取材/池田一郎

2024年8月号

※2024年8月号発売時点の情報です。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

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