チャーラー祭り参加12店のスタンプをコンプリート! 圧巻だったのは「ゴロゴロ叉焼チャーハン」。その名の通り、ブロック状のチャーシューがゴロゴロと入っている。しかも、チャーシューは柔らかくてしっとりとした食感。お米にも肉の…
画像ギャラリー『おとなの週末Web』で好評連載中の「ニッポン“チャーラー”の旅」から端を発した(!?)、スタンプラリー型の食べ歩きイベント「チャーラー祭り2024夏 supported by おとなの週末」が、2024年8月31日まで愛知県内の中華料理店全12店を舞台に開催中。公式アンバサダーを務めるライター・永谷さん自ら全店制覇を目指してきましたが、今回でついに制覇します!
「チャーラー」の名を冠した町中華の新店
筆者は公式アンバサダーとして祭りの楽しさを伝えるべく、自ら参加店を訪れて実食レポートを届けてきたが、いよいよ今回で最終回を迎える。
まず、向かったのはJR中央本線の千種駅と鶴舞駅の高架下の中間くらいにある『チャーラー飯店』。ここは台湾まぜそば発祥の店『麺屋はなび』の総大将、新山直人氏が監修した町中華のブランドだ。
筆者としては店名に「チャーラー」を冠しているのが何ともうれしい。筆者自身、「半チャンセット」や「半チャンラーメン」、「ラーチャン」などの呼称は特にこだわっておらず、その土地で昔から呼ばれているものを使えばよいと思っている。
だから半チャン飯店やラーチャン飯店があってもよいのだ。おいしいのは言うまでもなく、店主の生き方や常連客とのふれ合いなど店ののれんをくぐったときに体感する物語こそが町中華の楽しさなのである。
『チャーラー飯店』は今年2024年2月にオープンしたばかり。ゆえに物語はチャーラー祭りにエントリーしたことも含めて時間をかけてゆっくりと作り上げていくのだろう。
さて、『チャーラー飯店』が提供するメニューは、定番中の定番である中華そばと半チャーハンの「チャーラーセット」(1150円)。昔ながらの町中華にありがちなビジュアルを見ただけでヤラれてしまう。こんなの、おいしいに決まっているではないか。
チャーハンを食べると中華そばが食べたくなる
では、まず中華そばからチェックしてみよう。丼の中央に鎮座するナルトがノスタルジーを掻き立てる。2枚ものるチャーシューは厚みがあって食べ応えがありそうだ。具材はほかにも海苔とメンマ、ネギが入る。
まずはスープをひと口。ややオイリーなのは客層に若者が多いからだろう。とはいえ、五十路の筆者でもこれくらいなら平気。醤油の味と香り、そして鶏ベースのダシとのバランスが素晴らしく、レンゲを持つ手が止まらなくなるほど。
麺は細麺のストレート。パスタのアルデンテのようなしっかりとしたコシがあり、噛むと小麦の香りが広がる。巷の町中華で使用している縮れのある中太麺とは完全に一線を画している。これは台湾まぜそばで一世を風靡した『麺屋はなび』の新山直人氏のこだわりかもしれない。
麺とスープの余韻が口の中で充満したところでチャーハンへシフト。こちらも大きなチャーシューがゴロゴロと入っていて、見るからに旨そう。レンゲでチャーハンをすくって口の中へと運ぶ。味はやや濃いめで食感はしっとり。いやー、旨い! チャーシューの旨みが米粒にまとわりついている感じ。わかるかなぁ。
チャーハンを食べると中華そばが食べたくなり、中華そばを食べるとチャーハンが食べたくなる現象、名付けて“チャーラー無限ループ”を久しぶりに味わった。欲を言えば、チャーハンのあまりのおいしさにハーフサイズでは物足りなかった。今度来るときはフルサイズを注文しようと思う。
チャーラー祭りのゴールに筆者が選んだのは
チャーラー祭りの最後に選んだのは、名古屋市南区にある『中国料理 千早苑』。この店が最後になったのは、筆者の自宅からいちばん遠かったこともあるが、あえて最後にしたのである。それは、チャーラー祭りを主催する愛知県中華料理生活衛生同業組合の理事長、神野公秀さんが営む店だからである。
よくもまぁ、海のものとも山のものともわからない筆者の「チャーラー祭り、やろうぜ!」という提案に賛同してくださったものだと思うし、開催するまで、いや開催後も祭りのために尽力していただいた。神野さんには本当にいくら感謝しても足りないほどである。
チャーラー祭りで『千早苑』が提供しているメニューは、夜限定の「ゴロゴロ叉焼チャーハンとゴマだれ冷やしつけ麺」(1320円)。チャーハンもつけ麺もフルサイズゆえにかなり食べ応えがありそうなセットだ。
店を訪れたのは平日の夜だったが、店内はほぼ満席。辛うじて小上がりの席に座ることができた。店の横にある駐車場はガラ空きだったので、客は近所から歩いて来たのだろう。テーブル席ではビールやハイボールを片手に盛り上がっていた。居酒屋的に利用することができるのもまた町中華の魅力である。
これが「ゴマだれ冷やしつけ麺」。やや縮れのある中太麺をゴマだれに浸して食す。うん。甘すぎず、酸っぱすぎずちょうどよい塩梅。何よりもゴマの風味がすばらしい。夏場はこういう味が恋しくなるんだよなぁ。
麺の横にちょこんと添えられたキュウリとバンバンジーも実にイイ仕事をしている。ゴマだれとの相性もよく、車で来ていなかったらこれを肴にキンキンに冷えた生ビールを楽しみたいところだ。
チャーラー祭り参加12店のスタンプをコンプリート!
圧巻だったのは「ゴロゴロ叉焼チャーハン」。その名の通り、ブロック状のチャーシューがゴロゴロと入っている。しかも、チャーシューは柔らかくてしっとりとした食感。お米にも肉の旨みがしっかりと染みわたっている。チャーハンとしての完成度はかなり高い。
冷やしつけ麺のゴマだれとチャーハンの相性はすこぶる良く、少量のゴマだれをチャーハンにかけて食べても旨かった。この組み合わせは、これまで数多くのチャーラーを食べてきた筆者にとっても新鮮な感動を覚えた。もちろん、チャーハンのクオリティが高いからこそ、汎用性も幅広くなるのだ。最後の最後にチャーラーの奥深さを思い知らされた。
チャーラー祭りの開催は、2024年6月15日(土)から8月31日(土)までの約2ヶ月半。それだけ期間が長ければ余裕で全店制覇できるだろうと高を括っていたが、筆者が実際にコンプリートしたのは8月1日(木)。マイペースに巡っていたせいか1ヶ月半もかかってしまった。
しかし、まだ祭りが閉幕する8月31日(土)までまだ時間があるので、今からでも決して遅くはない。何しろ、4日間で全店制覇を成し遂げた人までいるのだから。ぜひ、この機会に参加店へ足を運んで、チャーラーのおいしさや楽しさを満喫していただきたい。
最後になりましたが、参加店のみなさま、愛知県中華料理生活衛生同業組合のみなさま、そして、チャーラー祭りの主旨にご賛同いただき、サポートしてくださった『おとなの週末』編集部のみなさま、ありがとうございました!
取材・撮影/永谷正樹
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