ティモンディ前田裕太の“おとな”入門

切っても切れない親子関係とどう向き合う? ティモンディ前田裕太が自身の猛烈な反抗期から学んだこと

猛烈な反抗期を経てわかったこと 私は、中学時代、非常に強い反抗期を迎えていました。 親の言うことは全て無視をし、弟には酷い言葉やキツい態度をあえて選んできました。 色々なストレスを、身内になら発散してもいいと思っていたの…

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「目指せ、理想の大人」をメインテーマに掲げて始まった、「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」。自身の経験や見聞きしたエピソードから思考を広げてきた「コラム形式」から、次のステップへと進みます!
その内容は、「お悩み相談」です。これまで約1年半のコラム連載を通して、食・あそび・勉強・旅…と、様々なテーマで「(理想の)大人とは?」について考え、目指してきた (そしてこれからも目指していく)前田さん。その経験を生かした視点で、皆さんから寄せられたお悩み相談に答えていきますよ◎第32回は、自分は「アダルトチルドレン(子供時代の家庭環境や親の行動に起因する心の傷を持って大人になった人のこと)」なのではないか、というお悩みです。

[今回のお悩み]

「自分はアダルトチルドレンかもしれません。切っても切れない親子関係にどう向き合えばいいでしょうか」

私は36歳独身の実家暮らしです。社会人2年目のころから親の存在が自分の人生にとって影響を大きく与えてきたのではないかと疑問に思い、そこから親に対する不信感、嫌悪感を抱くようになり、必要最低限の会話しかしなくなりました。

アダルトチルドレンという言葉がありますが、私もそうなのかなと思っています。一般的に言われている明らかな虐待などはありませんが、アダルトチルドレンに関するものを読むと自分も当てはまるように思います。

私は子供の頃から、自分のやりたいことを全て否定され、そのうちに何を言っても否定されるのは自分が悪くて信用されていないからだと思うようになり、何かしたいと思うことを諦めました。親を裏切るような行動を起こすこともできず、波風立てないように生きて今に至っています。

この状況を打開するために行動しなかった自分が悪いんだとわかっていますが、同じように生きづらさを感じている方が他にも居てるのではないかと思っています。

切っても切れない親子の関係、どう向き合えば良いのでしょうか。

(奈良県・30代・女性・会社員[医療職])

身内だからって分かり合えるわけではない

親とはいえ、自分とは考え方の異なる他人です。

身内は特に物理的、精神的に距離が近いからこそ、分かって当然、と思ってしまう感情が双方にあるかもしれません。

言い換えれば“こうあるべき”という自分の理想を相手に押し付けてしまいがちでもある訳です。

そのせいで、相手との適切な距離感を見失ってしまい傷つき傷つけて、関係を上手く構築できずにいる人も少なくないと思います。

これは親に限らず言えることですが、もしも関係を改善させたいと思う相手なのであれば、良好な関係を築くために、何か手段を講じてみなければなりません。

今まで、状況を変える行動をしなかったことを今更考えても何も現状を変えることには繋がりませんから。

悪い影響があるものとは物理的に距離を置こう

法律上、親族である人間とは切っても切れない関係があります。

けれど、自分ではない人間、という意味では、友人と何も変わりません。

今の相談者の方に良い影響を与えないのであれば、距離をとるという選択は何も悪いことではないと思います。

もしも、今の状況に悩んでいるのであれば、まずは一人暮らしをすることを勧めます。

実家に住んでいる以上は、いくら不信感を親に持っていたとしても、生活のどこかを甘えてしまっていて“頼っている”状態に変わりありませんから。

そもそも子供が親に対して頼って当然、という姿勢を貫けるのは未成年まで。

まずは精神的にも自立した大人になるために、親元を離れて生活をするのも1つの手だと思います。

猛烈な反抗期を経てわかったこと

私は、中学時代、非常に強い反抗期を迎えていました。

親の言うことは全て無視をし、弟には酷い言葉やキツい態度をあえて選んできました。

色々なストレスを、身内になら発散してもいいと思っていたのでしょう。子供ですね。

高校も、そもそも家から通えるような距離の場所を選ぶ気が更々ありませんでした。そこで愛媛県の高校を選択して、親元を離れて寮生活をすることにしました。

家を離れると、反抗期バリバリの私には、親のいない生活が本当に清々した気持ちになる最高のものでした。

もちろん、誰も世話をしてくれる人がいない生活は大変なことも多かったけれど、それ以上に、当時感じていた家でのストレスがなくなった喜びが大きかったのです。

けれど、それも最初だけ。

一見そこまで大したことに思えない日々の雑務も、毎日やらなければならないとなると、精神的負荷が蓄積されていく。

洗濯なんて、洗濯機に入れてボタンを押せば良い楽な作業と思っていたけれど、これを当たり前に毎日やらなければならないとなると大変さは変わってくるんです。

料理も掃除もそう。

「ああ、なんだか親は当たり前に家事をこなしていたけれど、大変なことをしていたのだな」とそこでようやく身をもって知ったのでした。

とにかく現状からの脱却あるのみ

親に感謝しなさい、だなんて言葉はみんないくらでも耳にしたことがあるでしょうし、頭では分かっているでしょう。

ただ、実際に自分自身が感じないと、その言葉に何も納得できないと思います。

私は、この高校時代の寮生活で、ようやく親への感謝という言葉の、その中身が理解できたのでした。

私のような心の変化が訪れるかは分かりませんが、少なくとも他人に対して、していて良かったな、と思う経験でした。

その一人暮らしという体験は、過去の自分自身を否定し続けてきた親に対する感情の融解になるかもしれませんし、より自分らしく生きてみよう、と自分の人生を謳歌できるきっかけになるかもしれません。

どんな結果になるかは私には分かりませんが、今の状態が健全ではないと思えるのであれば、行動するのみ、だと思います。

【お知らせ】
「ティモンディ前田裕太の“おとな”入門」は、今回をもって最終回となります。お悩み相談をお寄せくださった方々、そして、2年8か月ものながきにわたりご愛読いただきました皆様に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

「子供は乾く前のセメント」という言葉の意味~担当編集者からのひとこと~

『子供は乾く前のセメントのようなもの。落ちたものはみんな跡を残す』

児童心理学者、ハイム・G・ギノットの言葉です。ギノットは50年以上前に亡くなっていますが、数年前、人気漫画『ミステリと言う勿れ』に、主人公・久能整のセリフとしてこの言葉が登場し、「心に響く」と話題を呼びました。

この言葉を知って、私の“跡”について考えたとき、思いついたのは、「山手線が苦手」ということです。

子供のころ、夏休みは、地元の北海道から母の実家がある埼玉に遊びに行っていたのですが、地元とは比べものにならないくらい暑い東京で、移動手段として主に利用していた山手線は、いつも超満員。

その息苦しさに、山手線が「東京のつらい夏の暑さの象徴」になってしまったことが原因だと思うのですが、いまだに、山手線は少し窮屈な気がしてしまうのです。

この例は取るに足らないものですが、自分には、そういう“跡”が他にもたくさんついているのでしょう。

ただ、「セメントに跡」と聞くと、悪いことのように感じますが、嬉しかったこと、楽しかったことでついた「良い跡」もたくさん残っているはず。そう思えたら、もっと自分のことを好きになれそうな気がしました。

前田裕太(まえだ ゆうた)
1992年8月25日生まれ、神奈川県出身。愛媛県の名門、済美高校野球部の同期である高岸宏行とのお笑いコンビ「ティモンディ」のツッコミ担当。趣味はサッカー観戦、読書。テレビ番組で画力を披露したり、複数メディアでコラムを執筆するなど、マルチな活動で注目を浴びている。

ティモンディ
高岸宏行・前田裕太によるお笑いコンビ。コンビ結成は2015年、グレープカンパニー所属。高岸のポジティブなキャラクターや、二人の野球経験と身体能力などがバラエティ番組で引っ張りだこに。コンビの野球経験をいかしたYouTubeチャンネル『ティモンディチャンネル』の登録者数は約28万人。

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