帯広豚丼の「はげ天 本店」 最後に「帯広豚丼」をご紹介します。東京でも多くの取り扱い店がありますので、食べたことのある方も多いと思います。帯広は開拓時代から養豚業が盛んだったようですね。そののち、豚肉や調味料が大変貴重な…
画像ギャラリーやっと暑い夏が終わり、過ごしやすい10月に入りました。芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋、そして馬肥ゆる秋!ということで、2回にわたり、競走馬のふるさと北海道を取り上げたいと思います。
総走行距離650kmの究極の“ハシゴ”!
日高地方を中心とした場産地グルメのご紹介は次回に回すとして、まず今回は北海道の肉料理の特集です。と言うと、「ジンギスカン!」という声が聞こえそうですが、いやいや北海道の肉と言えば、ご当地“焼きとり”の両横綱をまずは味わってい頂きたい。
ひとつは「美唄(びばい)やきとり」。もうひとつは「室蘭(むろらん)やきとり」で、どちらも地元の歴史と文化に育まれ、今や道内で大人気のご当地グルメになりました。
両市の距離はざっと200キロメートル。そう簡単にハシゴは出来ませんが(笑)、焼きとり好きにはどちらも食べて欲しい!
加えまして、北海道の肉料理と言えば、筆者の大好きな「帯広豚丼」を取り上げないわけにはいきません。あのタレ具合にはまり、びん入りの「帯広豚丼のたれ」は我が家の冷蔵庫にいつも鎮座しています。
美唄と帯広は200キロメートル、帯広と室蘭は250キロメートル、総走行距離約650キロメートルの肉の旅をお楽しみください。
名店「やき鳥たつみ」のもつ串を入れた「もつそば」
まずご紹介するのは「美唄やきとり」。びばい、名前からして旅愁と食欲をそそります。最初に「美唄やきとり」を食べたのは札幌にある「元祖美唄やきとり 福よし」でした。
20年ほど前、筆者は北海道によく出張に行っていました。そのころ出会った同店は美唄に本店がありますが、札幌にも何軒か店を構えています。もつ始め鶏肉の様々な部位と玉ねぎを一つの串にさして焼いた「もつ串」が代表的な串で、複雑な触感と甘いタレのマッチングにお酒が進みます。
締めは「もつ串」を温かいかけそばに入れた「もつそば」。これまで食べた蕎麦とは全く違う風味に一気に虜になったものです。そして7年前には、ついにご当地美唄で「もつ串」を食べてまいりました。
訪問したのは地元の名店「やき鳥たつみ」。「もつ」と「もつそば」をビールとともに食べる幸せを今でも鮮明に覚えています。美唄は旭川と札幌の真ん中くらいにあり、かつては炭坑で栄え、その労働者が好んで食べていたといわれています。
また、たまねぎの産地としても有名で、まさに歴史と文化に育まれたご当地グルメ。ぜひ現地でお召し上がりください。
室蘭「やきとり岸屋」豚肉の“やきとり”
続いてご紹介するのが「室蘭やきとり」。美唄が炭坑の町なら室蘭は鉄の町。1880年代に初めて鉄工所が開設され、今では鉄鋼各社の高炉が林立する日本でも有数の鉄の町になりました。
工業地帯からほど近い場所にあるのが「中島町」という飲食街で、多くの「やきとり」名店も軒を並べます。筆者が好きなお店は「やきとり岸屋」。肉を焼く煙と大勢のお客様の人いきれが店に充満し、これだけでビールのアテになりそうです。
いただいたのは「精肉」と「トントロ」と「タン」。ここで気づかれた方もいるかと思いますが、「室蘭やきとり」は基本的に豚肉です。
昭和初期、豚のモツ焼きなどが多くの屋台で提供されており、鳥肉よりも安く手に入る豚肉が「やきとり」と称されるようになったと言われています。肉の間には美唄同様、玉ねぎが入ります。これがシャキシャキして、いい味出すんですよね~。
そして、最後の味付けとして欠かせないのが「洋からし」。肉はプリプリ、甘いタレとからしの相性が抜群でビールの最高の相棒です。室蘭は人口に占める焼きとり屋の割合が全国1位と言う声もあるそうな(室蘭観光協会のサイトより)。鉄の町が育んだ「絶品やきとり」をどうぞお試しください。
帯広豚丼の「はげ天 本店」
最後に「帯広豚丼」をご紹介します。東京でも多くの取り扱い店がありますので、食べたことのある方も多いと思います。帯広は開拓時代から養豚業が盛んだったようですね。そののち、豚肉や調味料が大変貴重な時代、洋食料理人がうなぎの蒲焼きをイメージし、試行錯誤の末に豚丼が完成したと言われています。どうりで鰻好きの筆者の口にぴったりな訳だ、と妙に納得しました(笑)。
ではお店の紹介を。帯広豚丼といえば、駅前の「ぱんちょう」が発祥のお店と言われています。ところが豚丼のお店はお昼だけやっているか、夜にやっていても店じまいが早い!
筆者のようにまずはビールを飲みながらゆっくり時間を過ごし、締めに豚丼を味わいたい人向けのお店がなかなか無い。そんななか発見したのが、帯広駅前の繁華街にある「はげ天 本店」でした。
同店はもともと天ぷら屋さんとして昭和9年に創業、今では豚丼も有名なお店にもなりました。お店は料亭っぽい上品な内装で、白木のカウンターが目に鮮やかです。お酒を飲みながら軽くサラダを食べて、締めに豚丼。何物にも代えがたいパターンが実現したのであります(笑)。
とは言え20時にはラストオーダーですので、時間に余裕をもってお運びください。ちなみに東京銀座が本店の「ハゲ天」とは全く関係がないとか。また、帯広は「はげ天」、東京は「ハゲ天」、トリビアの泉(古い…)的な情報もご紹介まで。
「でっかいどお」は肉料理の宝庫
筆者がお薦めする北海道のベスト肉グルメ、いかがでしたでしょうか?
昭和50年代に「でっかいどお。北海道」という広告がありましたが、北海道650キロメートルの旅は、どうにも止まらない肉料理の宝庫なのでした。
文・写真/十朱伸吾
おとなの週末Web専属ライター。旅と食とビールと競馬をこよなく愛する。ツーリングとゴルフも趣味。ツーリングの成果でダイエットにも成功。