『ポンちゃんラーメン』は長野県発の、知る人ぞ知る御当地インスタントラーメンだ。信陽食品株式会社が昭和39年に売り出したのが始まりで、なんと今年で60年も愛されているブランド。知る人ぞ知る長野県民のソウルフードとも言える。ここではカップラーメン版をレポートする。
画像ギャラリー『ポンちゃんラーメン』は長野県発の、知る人ぞ知る御当地インスタントラーメンだ。信陽食品株式会社が昭和39年に売り出したのが始まりで、なんと今年で60年も愛されているブランド。知る人ぞ知る長野県民のソウルフードとも言える。ここではカップラーメン版をレポートする。
『ポンちゃんラーメン』は長野県民のソウルフード?
ポンちゃんとは、パッケージに印刷されたタヌキのキャラクターのことだ。 信陽食品のオリジナルキャラクターである。
『ポンちゃんラーメン』(税込236円)の原点は昭和39年(1964年)の袋麺の発売にまで遡る。長野県の信陽食品株式会社が販売するポンちゃんラーメンは、以来60年にわたって、長野では知られたブランドとして浸透してきた。
通販で買えるほか、長野県のアンテナショップ『銀座NAGANO』でも取り扱いがあるので、じつは都内の店頭でも購入できる。
土地に密着したインスタント食品といえば北海道の『やきそば弁当』が有名だが、長野では『ポンちゃんラーメン』がそれにあたる。よく知られているのは袋麺のほうだが、今回はカップラーメンを取り上げよう。
胡椒のパンチが前面に出た『しょうゆ味』!
沸かした湯を規定量いれて、待つこと3分。出来上がりの見た目は一般的なインスタントラーメンと変わらない。
麺はクセのない、普通のインスタントラーメンだ。縮れた麺がスープや具とよくからむので、味の役割としては引き立て役に相当する。麺の量は60gと一般的なカップラーメンに近い。
スープは胡椒の香りとパンチが効いていて、すするだけで体が温まる。寒いところで食べたい味だ。具のメインはワカメとトウモロコシで、多めに含まれたトウモロコシが食感に変化をもたらしている。
赤ピーマンが嬉しい『みそ味』
『みそ味』は、みその風味は抑えめで、食べやすさを優先させた印象だ。スープだけだと物足りない濃さだが、麺がよくスープを吸うので、組み合わせてすすると丁度いい。
具はしょうゆ味と同じだが、食べ比べると『しょうゆ味』のときは目立たなかった、赤ピーマンが自己主張してくるのが面白い。
『しょうゆ味』と『みそ味』に共通して言えるのは、具なり麺なりを個別にみるよりも、できあがったラーメンを勢いよくすすったときの印象がいいことだ。個別の魅力よりも、部品が組み合わされたときの完成度でインスタントラーメンが成立している。
『おとなの駄菓子』として、小腹がすいたスキマ時間に食べたい。
総合的な印象としては、食事として食べるタイプのカップラーメンではない。ちょっとした空き時間に、小腹を満たすのに丁度いい選択肢だ。食器棚の上の方に買い置きしておいて、なにを食べても食べなくても中途半端なときに食べたいカップラーメンだ。
というわけで、『ポンちゃんラーメン』は「おとなの駄菓子」という評価が適切だろう。カップラーメンを食べるという行為が欲しいときこそ、『ポンちゃんラーメン』の出番ということができる。
長野県民の心にも、時間の隙間に差し込まれた思い出として、『ポンちゃんラーメン』は刻み込まれているのではないだろうか。
文・写真/深澤紳一(ふかさわ しんいち):PCゲーム雑誌から文芸誌、サブカルチャー誌まで幅広い寄稿歴をもつライター。レーシングスクールインストラクターなども務めつつ、飼犬のために日々働く愛犬家。