量も豊富で、食べ応えあり。舌も胃袋も満足させる逸品だ!
具は野菜とチャーシュー。野菜は炙られ、むらなく熱が通り香ばしさが加わっている。もやし主体の食感に玉ねぎとニラが変化をつけてくる。
チャーシューも強く風味が前に出ることがなく、豚肉の食感が特徴だ。全体に、単独で強い自己主張をする具材がなく、抑制的な刺激が調和して、深い充足感が残るように調整されている。
そして、しっかりとした量がある。舌の印象としては半ライスが欲しくなるが、食べ進めるうちに中年の胃袋は「いや、これで充分」と信号を脳に送り始める。もたもたしていると細麺は伸びやすく、味が落ちるので、その意味でもさっさと食べきるのが吉だ。
後半は味に変化をつけたくなるので、同時に展開されている『金山寺味噌のねぎみそ唐揚げ~青唐辛子を添えて』(税込660円)から、青唐辛子を拝借して刺激を加えるのもいいだろう。
こうして検証してゆくと、『飯田店主おすすめセット』(税込2013円)が無駄な構成になっていないことがわかる。 『味噌らぁ麺~五重(いつつがさね)の味噌』 + 『金山寺味噌のねぎみそ唐揚げ~青唐辛子を添えて』 +『ミニごはん』のセットだ。これこそ完璧な味覚の構成になることは間違いない。
ただし、食べきるには若い胃袋が必要だ。いや、少しばかりの気合と、昼飯ではなく夕飯という心の準備があれば、中年男性でも行けるかもしれない。今回はちょっと調子が悪かっただけだ。そう自分に言い聞かせながら、今日のところは箸を置くことにしたい。
『飯田商店』店主・飯田将太氏/1977 年神奈川県生まれ。料理好きが高じ、大学卒業後は東京の日本料理店で修行。25歳で地元に戻り、叔父のラーメン店を継ぐ。その後ラーメン作りに没頭し、2010年現在の「飯田商店」を開店。追求し続けた一杯は全国のファンを魅了し、「TRYラーメン大賞」で4連覇の殿堂入りを果たす。
文・写真/深澤紳一(ふかさわ しんいち):PCゲーム雑誌から文芸誌、サブカルチャー誌まで幅広い寄稿歴をもつライター。レーシングスクールインストラクターなども務めつつ、飼犬のために日々働く愛犬家。
TRYラーメン大賞関連本
『25周年記念 TRYラーメン大賞全国版 ~25年の軌跡と日本全国の本当に旨い一杯~』
【発売日】2024年12月2日(月)
【定価】1320円(税込)【判型/ページ数】A5判、128ページ
【発行元】株式会社講談社ビーシー/講談社
『第25回 業界最高権威 TRYラーメン大賞2024-2025』
【発売日】2024年10月23日(水)
【定 価】1100円(税込)【頁 数】140ページ
【発行元】株式会社講談社ビーシー/株式会社講談社