1年の多くを日本のどこかで過ごしているトラベルライター間庭典子。街を歩き、街を学ぶ『街ナカ旅』に目覚め、出張のついでに数日延泊するように。「テンションあがる『街ナカ』ホテル」OMOはそんなときの名サポーター。100%以上活用するためのトリセツをレクチャーする。
画像ギャラリー1年の多くを日本のどこかで過ごしているトラベルライター間庭典子。街を歩き、街を学ぶ『街ナカ旅』に目覚め、出張のついでに数日延泊するように。「テンションあがる『街ナカ』ホテル」OMOはそんなときの名サポーター。100%以上活用するためのトリセツをレクチャーする。
街ナカ旅アスリートだっておこもり滞在をしたくなる時もある
街ナカ旅にハマりすぎて、街ナカ旅という種目のアスリートのように、限られた滞在時間でできるだけ多くの場所を巡るかに躍起になっていた私。
白馬の取材をしたときにも自転車をレンタルし、あり得ないくらい行動範囲を広げ、すべての温泉に入りまくり「こんなに短期間で多くの場所をまわったメディア関係者は初めてです・・・しかも車を使わず・・・一体、何者なんですか?」とPRに驚かれたこともあったっけ。(ちょっと自慢)
けれどたまには宿の中だけで過ごしたくなる時もある。けれどもいわゆるラグジュアリーな「おこもりリゾート」じゃダメなのだ。ビンボー症の私は、必死で宿内のコンテンツを消化したくなってしまう。まるで取材の延長のようにはりきり、施設内をくまなく回り・・・とかえって疲れてしまうこともしばしば。
ライター業としてはあるべき姿かもしれないが、せっかくのプライベート。クールダウンしてなにもしない贅沢を味わいたいもの。
旭川で取材があった際に、利用したのが「OMO7旭川 by星野リゾート」。
ここは最初にできたOMOの施設で、開業前のプレオープンのときに、割引価格で滞在した経験がある。そのときにはまだ一部工事中で、まだ全貌がつかめない状態だったが、観光ホテルをリブランドして、サウナ施設などの人気の施設を生かしながら、スタイリッシュなロビーに改装されていた。
おなじみのご近所マップも充実していたので、その後もカフェに立ち寄るなど、旭川を訪れるたびに利用していたのだが、今回は久々の宿泊だ。
大雪の予報、外出して冬の北海道らしいことをしたいが…
昼頃に取材を終え、そのまま日帰りで帰るという選択肢もあったが、せっかく旭川まで来たのなら、なにか冬の北海道らしいことをしたい。幸い、12月のその日は大雪予報で、「MAY RETURN(メイリターン)」(戻るかもしれません)と呼ばれる条件付き運航。そこまで飛べても、着陸できない状態なら引き返しますよ、という不安定な天候。無事にたどり着けたら、雪景色を楽しめるに決まっている!
なんとかその便は旭川空港に着陸でき、バスで30分ほどの市内へ。
一面の銀世界とかこのことで、パウダースノーをさくさくと踏み進み、“雪ナカ散歩”を楽しんだ。ランチは知る人ぞ知る名店、塩ラーメンが人気の「すがわら」へ。信じられないくらい澄んだ透明のスープに感動。100円でメンマ増しにして、半チャーハンをプラスした「王道セット」というやんちゃな昼ごはんにした。
これからざくざく雪の中を歩き回るのだから、カロリーオーバーも気にしない!
ところが・・・なんだか仕事が終わった緊張が解けたのか、すっかりダウナー系なリラックスモードになり、15時きっかりにチェックインすると、一歩も外に出たくなくなった。フットワークの軽さだけが取り柄のライターなのに・・・!
でも先生だって走る師走。さんざん無理した疲れが出たのだろう。無理はせず、本能に身を任せることにした。
サウナで汗かきデトックス整い、潤すラウンジでまったりと
まずは地下にある「サウナプラトー」へ。ここはカードキーをかざすと、宿泊者は何度でも行き来できる温浴施設。本格的なフィンランドサウナとミストサウナがあり、「かけながしの水風呂」がある。この水風呂がかなりしゃきっとして、心地よいのだ。
なぜかプールのようにぬるめの広々とした浴槽があり、アクアウォーキングができる。翌日には男女入れ替えとなって、違うタイプのサウナが楽しめるのもいい。
前回、利用したときにはまだ改装前で、普通の温浴施設だったが、今は旭山動物園をイメージした動物たちのアートや、白クマやカバたちがサウナに入っているフォトスポットもある家族で楽しめそうなデザインに。ぬるめのお湯だから小さなお子さん安心して入れ、なかなかキッズたちも生き生きとしていた。
ラウンジには星野リゾートの温浴施設ではおなじみな無料のアイスキャンディーが。カラフルなデトックスウォーターも2種類あり、サウナで整った後の身体を潤してくれた。
ここに文庫本を持ってきて、ごろごろしながら読んだりして、出張の合間のフリータイムを満喫した。
夜も一歩も外に出ず館内でアクティビティを満喫
フロント前のラウンジ、OMOベースにはウェルカムドリンクのラウンジがあり、その日はもろこし茶がふるまわれていた。これがまた疲れた体と心に染み入る優しい味。19時から22時にはスパークリングワインを自由に注げるカウンターがオープンし、ゲレンデ帰り、ディナー帰りのゲストたちで賑わった。
私は昼のラーメンがまだ残り、そんなにお腹が空かなかったので、ブックトンネルと呼ばれるライブラリーカフェで本を読みながら、ゆるゆるとワインを飲んでいると、旭山動物園に関する講座が始まった。毎回、テーマを絞っている冬のテーマは「白い動物の話しかしない、旭山動物園講座」。
冬仕様でこたつになった大テーブルで、大人も子供も好きな飲み物を持ち寄りながら、クイズあり、ゲームありの講座に参加して、盛り上がる。「俺、絶対2番だと思う!」なんて向かいに座ったキッズの姿に頬が緩み、大こたつを囲んで、参加者に一体感が生まれたりして、和やかだ。最後は参加者全員にお菓子が配られ、30分の講座は終了。
またもやサウナに入り、21時を過ぎるとさすがに小腹が空いてきた。チェックインしてから一歩も外に出ていない。旭川には大好きな居酒屋も、焼き肉屋もあるのだが、なんとなく外に出る気になれない。
施設内のOMOカフェで白ワインとつまみを注文することにした。頼んだのはカナダのソウルフードという「プーティン」。ポテトフライにグレイビーソースをかけてとろけるチーズと一緒に食べるというメニュー。
シンプルだけれど、なんか懐かしい感じもするけれど、出会いそうで出会えなかった初めての味。しんしん降り積もる粉雪をゆったりとした気持ちで眺めて、なかなかいいときを過ごせた。うん、寝る前にまたサウナに行っちゃおう。
冬ならではの「衣替え」も季節を楽しみたくなる要素
OMOの楽しいところは、季節に応じて機能やディスプレイが変わること。白い動物たちがキュートなクリスマスツリーやご近所マップのまわりにあるクリスマスまでのアドベントカレンダー、こたつの大テーブルなど、ホワイトシーズンを楽しむための仕掛けが満載。さらには夏に来たときには旭山動物園のぬいぐるみが一緒に選べたコーナーがスキーレンタルのための空間に変身。
スキーやスノーボードのメンテナンスするための道具がそろったワックスバーなどもあり、スキーヤーたちを本気でバックアップしている。ラウンジの一部もスキー板のギャラリーのようなディスプレイになり、気分があがる。
ゲレンデで思いっきりスキーやスノーボードを楽しんだ後に、サウナで身体をほぐすのもいいだろう。旭川の「街ナカ」ホテルでしっかりと英気を養うことができる。
朝も北海道ならではの海鮮山わさびごはんやスモークサーモンのワッフルなどのご当地メニューを満喫。名物の焼き立てパンも一口サイズだから、いろんな味が楽しめる。ご当地メニューや旬の素材を味見気分でいろいろ試し、昼に何を食べるかの参考にしたり、お店をリサーチしたり、そんな時間も楽しい。
観光したくなる旭川市役所で木工家具と展望台を楽しむ
朝は隣にある旭川市役所の展望テラスを探訪。ここは最近、役所内の椅子などをすべて旭川の木工家具で揃えて話題となっている。実際に様々な椅子やベンチに座り比べてみることができ、家具好きとしてはこれもまたワクワクする。やり投げの北口榛花選手をはじめ、旭川出身のアスリートのギャラリーなどもあり、なかなか見ごたえがある。
無料で見学できる展望台は晴れた日は絶景で、もちろんここにも旭川が誇る木工家具が並ぶ。1階の食堂もメニューが豊富で気になった。旭川市役所は知る人ぞ知る観光スポットでもあるのだ。パウダースノーの感触を楽しみながら、周辺を散歩して、またもやサウナでぬくもった。
「街ナカ」ホテルで雪ごもりしたら、なんだか元気になってきた。粉雪を踏みしめて歩く駅までの道のりも、なにかのアクティビティのようにテンションが上がってくる。なんだか遠くまで足をのばしたくなってきた。
ええい!最北端の稚内、街ナカ旅に行こうか。よし、行こう!
冬こそ雪ごもりの季節。時には「街ナカ」ホテルで、あえて街に飛び出さず、館内でじっくりとエネルギーチャージするのもおすすめだ。
文/間庭典子
まにわ・のりこ。東京都杉並区出身。婦人画報社(現ハースト婦人画報社)退社後、米ニューヨークを拠点に活動。帰国後はフリーライターとして情報を発信。全国各地の宿、インテリア誌では200軒以上の住宅を取材するなど、旅芸人なみのフットワークを誇る。仕事柄、ラグジュアリー系リゾート体験も豊富だが、「青春18きっぷ」を使って旅する“18きっぱー”でもあり、JRのほぼ全路線制覇。地の酒、肴を味わえる居酒屋や市場めし、ひなびた湯治場を巡るのも大好き。