もはや高速道路を利用するのに欠かせなくなった「ETC」。深夜の割引を利用すれば30%引きだし、「ETCマイレージサービス」を利用すれば、なんと最大5割引きになる。また、ETC専用の料金所が増えたこともあってか、利用率は95.1%にまで達しているという。そんなETCだが、なんと古い車載器が使えなくなる「2022年問題」「2030年問題」があるというのだ。
画像ギャラリーもはや高速道路を利用するのに欠かせなくなった「ETC」。深夜の割引を利用すれば30%引きだし、「ETCマイレージサービス」を利用すれば、なんと最大5割引きになる。また、ETC専用の料金所が増えたこともあってか、利用率は95.1%にまで達しているという。そんなETCだが、なんと古い車載器が使えなくなる「2022年問題」「2030年問題」があるというのだ。
高速道路を利用する車両の95.1%がETCを利用する
高速道路を使う場合、今ではETCの利用が当然になった。国土交通省によると、高速道路を利用する車両の95.1%がETCを使っている(2.0を含む)。またETC2.0に限った場合でも、利用率は35%を上まわる。
このETCで気になるのが2022年・2030年問題だ。まず2022年問題とは、2007年以前に生産された旧規格のETC車載器が、電波法の改正によって使えなくなることだ。しかし期日が延長されており、2025年2月時点では、継続使用できる猶予期間に当たる。注意したいのはその後の対応だ。時期は未定だが、猶予期間が終了すると、旧規格に基づくETC車載器の使用は法律に抵触する。
そして多くのユーザーに関係するのは2030年問題で、情報漏洩やデータの改ざんなどに備えるセキュリティ規格の変更に基づく。国土交通省はこれらのサイバー攻撃に備えて、ETC規格の刷新を決定しており、既に新規格に対応したETC車載器も販売されている。
そして2030年頃にはETC車載器を完全に刷新するともいわれているが、セキュリティ問題が顕在化すると、その時期が早まる可能性もある。
あなたのETCは「新セキュリティ規格」に適合していますか?
ユーザーの対策としては、自分のETC車載器が「新セキュリティ規格」に対応しているか否かをチェックする必要がある。識別方法としては、車載器の管理番号で確認する、車載器セットアップ申込書/セットアップ証明書で確認する、車載器本体のマークで確認する、といった方法がある。
自分のクルマが装着しているETC車載器が新セキュリティ規格に対応していれば、2030年問題もクリアできるため、そのまま使い続けられる。新セキュリティ規格に対応していない場合は、買い替えをする必要が生じる。
買い替えの場合は、従来型ETCか、それともETC2.0にグレードアップするか、という選択もある。これはユーザーのニーズに応じて変わる。ETC2.0には、通行料金の自動決済に加えて、落下物や積雪情報を知らせる安全運転支援機能、さらに渋滞回避支援、災害時支援のサービスがある。これらを必要だと感じたらETC2.0を選べば良い。
ただしETC2.0を使うには、情報を表示するためのカーナビ画面やスマートフォンが必要だ。知らない場所へ出かける機会がほとんどなく、スマートフォンを含めてカーナビを使わないユーザーは、従来型のETCで十分だと思う。
なおETC車載器の価格は、新セキュリティ規格に対応している従来型ならセットアップ料金を含めて1万2000円から1万8000円程度で、ETC2.0になると2万4000円から3万5000円くらいになる。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/Adobe Stock(アイキャッチ画像:Kumi@Adobe Stock)