冬の雪道で安定度や走破性で選ぶなら、なんといっても4WD(四輪駆動車)が安心だ。とはいえユーザーによって使い方は様々だろう。そこで人気の四駆SUVの中から燃費や走破性、コスパをポイントに、それぞれオススメを3台選定してもらった。あなたが欲しいのはどの「四駆」?
画像ギャラリー冬の雪道で安定度や走破性で選ぶなら、なんといっても4WD(四輪駆動車)が安心だ。とはいえユーザーによって使い方は様々だろう。そこで人気の四駆SUVの中から燃費や走破性、コスパをポイントに、それぞれオススメを3台選定してもらった。あなたが欲しいのはどの「四駆」?
■人気のSUVの中から3つのポイントでベストを選んだ
雪道やキャンプ場などの未舗装路で立ち往生しにくい4WD(4輪駆動車)は、さまざまな車種に設定される。その中から、燃費、悪路走破力、コスパ(価格の割安度)に優れた車種をそれぞれ選んでみたい。
選ぶ基準は、車両のカテゴリーが4WDと親和性の高いSUVとした。価格は250~350万円に収まり、機能や装備の割に求めやすい買い得車を選出している。
■燃費で選ぶ4WD:トヨタヤリスクロスハイブリッドG・4WD(275万5000円)
燃費の優れた4WDならヤリスクロスハイブリッドに注目したい。後輪を専用のモーターで駆動する4WDのE-Fourを搭載して、GのWLTCモード燃費は28.1km/Lに達する。SUVの4WDとしては最高水準の燃費性能だ。
ヤリスクロスは全長が4180mmのコンパクトなボディだから、車両重量も1250kgと比較的軽く、モーター駆動を併用するハイブリッドだから動力性能にも余裕がある。
フロントマスクを鋭角的に仕上げた都会的な外観も人気で、2024年には1か月平均で約6700台が登録され、SUVではトップ水準の売れ行きとなった。
■悪路走破力で選ぶ4WD:スバルクロストレックツーリング4WD(323万4000円)
4WDのメカニズムは、もともと悪路を走破するために開発された。SUVが人気を得た背景にも、大径タイヤ、厚みのあるフロントマスクなど、悪路向けのSUVが採用していた機能やデザインがある。
つまり走破力の高い悪路向けのSUVこそ、4WDの本命だが、今は購入しにくい。車種の数が減り、トヨタランドクルーザー70/250/300は、すべて受注を停止している。ランドクルーザー250は、定額制カーリースのKINTOであれば契約できるが、リース期間を満了したら返却せねばならない。購入とは異なる。
コンパクトな悪路向けSUVのスズキジムニーには、5ドアボディのノマドが加わったが、短期間で5万台の注文が入って受注を停止した。
そこで取り上げるのがスバルクロストレックツーリング4WDだ。インプレッサをベースに開発されたSUVだから、外観はランドクルーザーシリーズやジムニーシリーズとは大幅に異なるが、最低地上高(路面とボディの最も低い部分との間隔)は200mmを確保して悪路のデコボコを乗り越えやすい。
4WD車には、Xモードと呼ばれる悪路向けの制御も備わり走破力は高い。水平対向4気筒2Lエンジンを使ったマイルドハイブリッドのe-BOXERにより、動力性能にも余裕がある。しかも最低地上高が200mmに達する一方で、全高は1575mmに抑えたから、舗装路での走行安定性も優れている。
内装は上質で、後席の足元空間も広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半だから、ハリアーに相当する広さだ。悪路走破力に加えて、舗装路での走行安定性や居住性も優れているから買い得だ。
■コスパで選ぶ4WD:スズキフロンクス4WD(273万9000円)
全長が4mを下まわるコンパクトSUVだが、4WDの価格は273万9000円だ。価格設定に買い得な印象はないが、メカニズムや装備は相当に充実する。
まずパワーユニットは、直列4気筒1.5Lマイルドハイブリッドを搭載する。装備も充実しており、衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、後方の並走車両を検知して知らせるブラインドスポットモニター、ヘッドアップディスプレイ、アルミホイール、全方位モニター付きメモリーナビなどを標準装着する。
コンパクトSUVの場合、全方位モニター付きメモリーナビは19万円前後でオプション設定することが多い。つまり通常ならフロンクスの価格は、4WDが255万円、2WDなら235万円という設定だ。このようにフロンクスは、価格の割に装備を充実させたから、コスパが優れている。
文/渡辺陽一郎(わたなべ よういちろう):自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。執筆対象は自動車関連の多岐に渡る。
写真/トヨタ、スバル、スズキ