普通って何? と考えさせられるたまごサンド
黄色いお宝を箸でそおっと持ち上げ、はふっと勢いよくかぶりつけば、ぷるぷるジューシーなダシ巻きの中からマヨネーズを挟んだ食パンがふわっ。最初に舌に当たるのがたまごが先かパンが先か、逆というだけでこうも印象が変わるのか。
言うなればダシ巻きの主張強め、とろけるたまごサンドって感じ? 確かにこれは見た目も味も、普通のたまごサンドではない。しかも当然ながらお酒のアテにぴったんこ。こりゃいくらでも飲めるわ。焼酎おかわり~、濃いめでね!
ていうか、そもそも普通って何なんでしょう。誰かの当たり前は自分の当たり前じゃない訳で。人間だってたまごサンドだってもっと自由でいいのだよ。うーん、このひと切れが大事なことを教えてくれている気がして、いつもどこかで「こうあるべきでは?」と思ってしまう古い固定観念がこびりついた自分の脳ミソを取り出してじゃぶじゃぶ洗いたくなった。
店主の若林勇さんにお話を伺うと、イメージは「和風のフレンチトースト」なんだそうだ。「明太子やシラス等を入れたダシ巻きがあるように、食パンを入れてもいいんじゃないかと。他と同じでは面白くないからね!」
ポイントは店で提供する定番のダシ巻きよりもやや甘めの味付けにしていること。パンの間にマヨネーズを挟んだのは「サンドイッチの定番調味料だから」だって。シンプル~。このちょっとしたマヨの酸味がいいアクセントになっている。
「何でもそうだけど、ヒットさせようと意気込みが強過ぎるとスベる。何気なく作ってみたら評判になって、今じゃうちのナンバー5に入る人気メニューですよ。テイクアウトもOK。温かい焼きたてもいいけど、冷めても味が締まっておいしいよ」
なるほど。気負わない姿勢がヒット作を生む秘訣というワケか。確かに私も「読者のみなさんに喜ばれる企画を!」と考えれば考えるほど気合が入り過ぎてボツになること多数……。
ちなみに創業30年になるこの店はビーフシチューの天ぷらなど常識を覆すヒット作がいろいろ。最初は魚が自慢の居酒屋だったけど、料理を作るのが好きで、自分が食べたいものを試していたらオリジナルメニューがどんどん増えていったんだとか。
そう、誰かの普通や基準は関係ない。自分が好きなこと、そして独創性を貫くってかっこいいよなあ。やっぱり酒場は学び多き学校ですね、勉強になります!
■『鮮魚と手作り料理の店 海里』
[住所]東京都北区赤羽1-41-16
[電話番号]03-5249-1558
[営業時間]11時半~13時、17時~22時※土は夜のみ営業
[休み]月・日・祝
[交通]JR京浜東北線ほか赤羽駅北口などから徒歩3分
取材・撮影/肥田木奈々







