いつかは挑戦したかった夢の特訓や大冒険。必死になにかに挑む“おとなのサマーキャンプ”をこの夏はおすすめしたい。沖縄では「琉球唐手滞在」!本格的な道場での稽古とラグジュアリーなリゾートを同時に味わえる夢の合宿体験です。
敷地内の海が見える道場で特訓
那覇空港から車で約1時間。沖縄県読谷村(よみたんそん)に2020年7月にオープンした滞在型リゾート「星のや沖縄」は100室すべてがオーシャンフロント。海とつながるインフィニティプールは圧巻で、沖縄と類似するイタリア・シチリア島の料理法で沖縄の食材を生かした「琉球シチリアーナ」も独創的。海に面した長細い敷地にはプール、スパ、ダイニングが点在し、洗練された空間でなんだか違和感のある「道場」というサインが。沖縄ラグジュアリーの最高峰でありながら、海に面した本格的な「道場」が敷地内にあるのだ。
「道場」では沖縄発祥である琉球唐手の体験レッスンが受けられる。そして琉球舞踊鑑賞、朝の鍛錬深呼吸や夜の調律深呼吸などのエクササイズ、ウェルカムドリンクとして沖縄伝統のぶくぶく茶がふるまわれる「海辺のひととき」など、アクティビティの拠点となっている。道場にはキッチンも併設され、キッチンガーデンでハーブを摘んだり、料理教室など、沖縄の食文化を学ぶ場でもある。
そして今回、体験するのが沖縄発祥の武術、空手の心得を学び、自分と向き合う「琉球唐手滞在」という2泊3日のプラン。技を学ぶだけでなく、歴史や成り立ち、受け継がれてきた精神にも触れる。1日90分の稽古を3日間重ね、最終日にはなんと板を割る試割りにも挑戦するなど、まさに合宿!おとなのサマーキャンプには最適だ。
1日1組、2名までのプライベートレッスンで、立ち方や拳の握り方から丁寧に教えてくれるので、まったくの初心者でも気負わずに参加できる。2日目には沖縄古来の武器術や古武道も伝授され、武道経験者はその奥深さに震えるだろう。私自身、日本空手協会の道場に通い、本土に伝わった伝統空手を学んできたので、沖縄の地でその源流に向き合うのは夢のような体験だった。
伝説の先生が登場
そしてここからが本当のスペシャルなのだが、指導してくださったのは上地(うえち)流空手道拳優会の新城清秀師範。指先までもを鋼のように鍛え上げる上地流を継承するまさにレジェンドで、これが映画やゲームならまぎれもなくラスボス級。将棋を学びたいなあと思ったら、いきなり羽生善治九段が現れるようなものだ(藤井聡太七冠でないところがミソ)。
空手を学ぶものならば、対面しただけで実在したんだ!と感動する伝説の先生なのだ。稽古中には沖縄の空手の歴史、ご自身の体験や次世代に伝える現在の取り組みなども語っていただき楽しかった!驚くことに海外指導などで沖縄を離れない限り、ほぼ毎回、自ら星のや沖縄でのプライベート指導をしているのだそう。「沖縄の空手、そして心を伝えるために自らが動きたい」と語り、その超人的な技を惜しみなく披露し、伝授。その真摯な指導により、本来の琉球唐手は競技ではなく、大事なものを守り、実践で戦うための武術だということが伝わってきた。
2泊3日の稽古では、沖縄空手を学ぶ上で最初に習得する普及型1を覚え、古来から伝わる武器、サイを両手に持って型の応用を学んだ。実際に棒で攻撃を受けてみるなど、実戦ではどう技を生かすかを体感する。上地流の門下生が実際に日々鍛錬する下肢鍛え、小手鍛えなども体験。(いや、痛い! 翌日、しっかり青タンに…!)
記念撮影では師範自らのポーズ指導も!しい構えを指先まで調整してもらい、ちょっと見だけは達人の域に。最終日には星のやのマーク入りの道着を着用し、記念写真付き修了証も受けとり、爽快な達成感を味わえる。映画カラテキッズに心揺さぶられたおとな世代には、ぜひチャレンジして欲しいサマーキャンプだ。
この「琉球唐手滞在」がすごいのは厳しい稽古だけではないことだ。参加費8万4300円(税・サービス料10%込)の中には、3回の稽古以外に、指圧トリートメント(1回)、稽古の後に自分と向き合う動禅瞑想(2回)、そして心と体を癒す泡盛とオードブルなども含まれている。プールやビーチで涼み、熱を冷ますもよし、ライブラリーでゆったり過ごすもよし。琉球の伝統芸能を披露する宵の座では日によって空手の演武も。