熟練した職人により、1本ずつ手塩にかけて作られる生ハム “ハモン セラーノ”。それはヨーロッパを代表する歴史あるグルメのひとつであり、財産。なかでも本物の味わいとされる本国お墨付きの味わいや魅力とはどんなものか、スペイン料理シェフの作元慎哉さんに語っていただいた。
長期熟成が生み出す上質な生ハム
ハモン・コンソルシオセラーノ。それは上質な豚肉、代々受け継がれてきた職人の高い技術、そしてそんな職人たちが長い時間をかけて情熱を注いだ、まさに宝だ。ヨーロッパの高い品質基準を守り、本物の味を世界に伝え続けているのが「Jamon ConsorcioSerrano (ハモン・ コンソルシオセラーノ)スペイン ハモン セラーノ協会」。
協会で厳しく規定された製法、品質管理を経てようやく完成したハモン セラーノは、熟練した職人によりさらに1本ずつ選別され、協会が認めた真のハモン セラーノとして消費者に届けられている。その証が下記の認定マークだ。
100%スペイン産原料を使い、スペイン国内で製造された伝統的なハモン セラーノであることを示すと共に全マークに管理番号を振り、製造工程をトレースすることもできる。原木に付けるのはもちろんのことスーパーなどで見かけるスライスパックにもこのマークはきちんと印字されている。
そしてこの味に惚れ込んだのが、本場の味を学ぶべく渡欧し、現地の名店で腕を振るった経験もある作元慎哉シェフだ。その魅力をこう語ってくれた。
「まず、味わいや香りのクオリティが抜群に高く、しかもブレが少なく均一に保たれていることですね。これほど質の高い生ハムは他にはありません」
そう、協会で認定されたハモン セラーノは、一般的なそれよりもぐんと長い12ヶ月以上という熟成期間を設けており、この長い時間がゆっくりと味を育んでくれるのだ。さらに個体によって異なる重量に合わせ、摺り込む塩の分量を算出するという徹底した管理を行なうと共に、熟成中にも職人がその進み具合を確かめつつ、最高の状態へと作り上げていく。
噛むほどに膨らむ旨みと長く続く余韻
そうして生まれたハモン セラーノを協会認定のコルタドーラ(カット職人)でもある奥様の典子さんにカットしてもらうと、まるで花びらのような美しさに思わずため息がもれた。シェフによればこのカット技術も重要で、切り手によっても味が変わってくるんだとか。
「少し置いて、常温に戻してから召し上がってみてください。融点の低い上質な脂の繊細な甘みを味わえますよ」と作元シェフ。
舌に乗せれば吸い付くような、なめらかな質感からふわりと熟成香が広がって、噛むほどにまろやかな塩味を帯びた豚肉のコクが膨らんでくる。口中から消えた後の余韻もひたすら長い。
カットする部位によっても食感や味わいが異なるので、食べ比べできるのも原木ならではの楽しみ方だろう。
さらにシェフは、ハモン・コンソルシオセラーノを使った家庭で簡単に作れるおつまみレシピも教えてくれた。
「ハモン セラーノは、それ自体が完成された料理です。手を加えるならシンプルがいちばん。バゲットにフレッシュトマトと一緒に乗せて、オリーブ油をひと振りするだけで、絶好のワインのお供になりますよ。そしてこのハモン セラーノにベストマッチするのがカバですね」
こちらも伝統的な製法と最低9ヶ月〜36ヶ月以上という長期瓶内熟成を経て造られる、スペインを代表するスパークリングワインだ。繊細で豊かに調和した泡、そしてバランスのとれた酸味が、後味に残ったハモン セラーノの余韻を柔らかく包み込み、その風味をぐっと膨らませてくれている。
ハモン・コンソルシオセラーノとカバ、時が磨き上げて生まれた両者の相性を確かめながら、じっくり堪能して欲しい。
“D.O.CAVA& Jamón ConsorcioSerrano From Europe, Crafted in Spain, perfected by time”
お話を伺った人:スペイン料理シェフ 作元慎哉さん
都内スペイン料理店オーナーシェフ。スペイン ハモン セラーノ協会(Consorcio del Jamon Serrano Espanol)のキャンペーン・アンバサダー。奥様の作元典子さんはスペイン ハモン セラーノ協会認定カット職人の“コルタドーラ”でもある。
https://perfectedbytime-jp.eu/
撮影/貝塚 隆 取材/菜々山いく子