「QUON(くおん)チョコレート」というブランドを知っていますか?
看板商品は、日本全国のさまざまな食材を使い、その種類150以上というカラフルな「QUONテリーヌ」。2014年に愛知県豊橋市でスタートしたこの小さなブランドは、今や全国61拠点43店舗に拡大し、バレンタインシーズンには全国の大手百貨店の催事で、商品のチョコレートを求める行列ができるほど人気となりました。
新作「ショコラテリーヌ ブロック」に込められた想い
2026年、QUONチョコレートが贈るバレンタインの象徴となる新作が、岐阜のブランド「キッチン・アリアオ」とのコラボレーションで誕生した「ショコラテリーヌ ブロック」です 。
この「ショコラテリーヌ ブロック」は、ベトナム産56%、ブラジル・トメアスー産62%、サントメ産66%、コロンビア産70%という4ヵ国のカカオとカカオ濃度の違いを楽しめる商品。厳選されたカカオの個性を、バターをたっぷりと使った濃厚なテリーヌに封じ込め、舌の上でとろける味わいを堪能できます 。

特筆すべきは、共同開発パートナーである「キッチン・アリアオ」の背景です。このブランドは、軽度の発達障害を持つお子さんの将来の自立を願い、母親が「お店を持つこと」を夢見てスタートさせました 。1本1本丁寧に焼き上げられたテリーヌには、単なるスイーツ以上の「未来への願い」が込められています 。
1000万円の借金から始まった挑戦
なぜ、このコラボが生まれたのでしょうか。それは、QUONチョコレートの代表・夏目浩次さんの創業時からの信念によるものです。物語は、2003年、愛知県の小さな商店街に彼が創業したわずか10坪のパン屋にさかのぼります 。
夏目さんは、当初から「障害者といった社会的に不利な立場にある人々が、誇りを持って働き、正当な対価を得られる場所」を作ることを模索していました。けれど、パン作りは熟練の技術が必要であり、工程も複雑。一度失敗するとやり直しがききません。夏目さんは、あっという間に1000万円の借金を抱えてしまいます。誰もが安定して高品質なものを作る難しさに直面する中で、夏目さんが出合ったのが「チョコレート」という素材でした。
チョコレートは、失敗しても一度溶かせばやり直すことができます。また、温度管理などのルールを守れば、多様な特性を持つ人々がそれぞれのペースで作業に加わることが可能です。また、フルーツやハーブ、お茶といった多種多様な素材を受け入れる包容力もあります。QUONチョコレートでは、チョコレートに混ぜ込む茶葉やハーブを粉砕し、石臼で挽くのは人の手作業。
この「やり直しがきく」という優しさと、「混ぜることで新たな価値が生まれる」という特性が、夏目さんの目指す「多様性の受容」という哲学と合致したのです。








