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湿気の多い名古屋の夏はジメジメ。じっとしていても汗が噴き出してくる始末。日によっては沖縄よりも気温が高いこともあるので本当にイヤになる。こんな暑い日は「きしころ」に限る。えっ、それは何かって!?きしめんの「ころ」の略に決まっているではないか……。

名古屋の夏といえば、「きしころ」に決まっとる。/名古屋エリア限定グルメ情報(4)

 あ゛~っ、暑い。  湿気の多い名古屋の夏はジメジメ。じっとしていても汗が噴き出してくる始末。日によっては沖縄よりも気温が高いこともあるので本当にイヤになる。こんな暑い日は「きしころ」に限る。  えっ、それは何かって!? きしめんの「ころ」の略に決まっているではないか。ナニ?「ころ」の意味がわからないって!?

「ころ」は、地元の名古屋でもよく「冷やかけ」や「冷やしぶっかけ」などの冷たい麺にたとえられる。  実際に麺もつゆもキリッと冷えたものを出す店も多いが、実は正しくない。  なかには常温に近い温度で出す店もあるのだ。今でこそ少数派だが、冷蔵庫がなかったころは、これがスタンダードだったのだろう。だから、「ころ」とは、「温かくない麺」ということになる。  その語源だが、冷たくても香りの立った、濃いめのつゆを使うことから、「香露(こうろ)」が訛ったものという説もある。「香露」という洒落た表現と名古屋を代表する大衆グルメであるきしめんとあまりにもかけ離れすぎている(笑)。  きしめんを1ランク上の、格式高いものにせんがために、「後付け」したのだろうと思う。

 東区泉の『みそ煮込みの角丸』の三代目店主で愛知県東麺類組合会長の日比野宏紀さんによると、 「『きしころ』の『ころ』は、石ころやさいころ、あんころ餅のように、小さいものや丸いものを指すときに使う『ころ』と同じ意味だと思います。麺はひと玉、ふた玉と数えますしね」とのこと。

 これが『みそ煮込みの角丸』の「きしころ」(680円)。  麺とつゆが冷たいだけで、温かい「かけきしめん」とビジュアルはまったく同じ。  きしめんの麺やつゆについては、いずれ詳しく紹介するが、冷たくてもパンチのあるダシの味と香りが楽しめるのが「きしころ」の醍醐味だろう。  店によっては、浅めの器に盛られたきしめんに濃いめのつゆをかけて食べるスタイルの「きしころ」もあり、それはそれで旨い。ある程度は定義しているものの、絶対にこうでなければならないというルールはない。  このユルさもまた名古屋めしの楽しさだ。

 そんな「きしころ」の美味しさを再認識してもらおうと、愛知県東麺類組合が中心となって、市内外の麺類食堂42店舗による「第3回きしころスタンプラリー」を開催している。8月31日(木)まで、5店舗食べ歩くごとに500円の金券が進呈される。  このイベントのために考案した限定メニューを出す店もあるそうなので、いろんな味を楽しんでみてはいかがだろうか?

みそ煮込みの角丸 愛知県名古屋市東区泉1-18-33/☎052-971-2068/[営]11時~19時半(土は11時~14時)/[休]日、祝/交地下鉄桜通線ほか久屋大通駅1B出口から徒歩5分 第3回きしころスタンプラリー http://www.aichi-udonsoba.com/2017年きしころスタンプラリー開催!!/

永谷正樹(ながや・まさき) 1969年生まれのアラフィフライター兼カメラマン。名古屋めしをこよなく愛し、『おとなの週末』をはじめとする全国誌に発信。名古屋めしの専門家としてテレビ出演や講演会もこなす。

※写真や情報は当時の内容ですので、最新の情報とは異なる可能性があります。必ず事前にご確認の上ご利用ください。

この記事のライター

永谷正樹
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